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ダイエットの失敗が教えてくれた人生で大切なこと


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:畑 陽子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「きっと痩せたら、きれいになれるはず。
美人でもかわいくなくても、痩せたら人生が変わるはず」
 
そんなことを考える女性は少なくないと思う。
10年前のわたしも同じだった。
自分に、特に自分の見た目に自信があればなぁ……。
 
思えばその頃、ちょっとしたターニングポイントを迎えていた。
天職と思った仕事で心身ともに限界を感じ、転職を決めた時期。
「がんばってきたと思ったけど、何にもない」
気づくと目指していた目標が何だったのかさえ、よくわからなくなっていた。
 
20代後半に入り、周りの友人たちが恋愛や結婚に一喜一憂している様子を知りながら、わたしはその輪の中に入っていくことに抵抗感を感じていた。
「きっと彼女たちのようになれない。仕事に力を注ぐほうが、相手任せの結果に踊らされない気がする」
そう思っていたのだ。
そして、自分たちが選んだ方向にそれぞれの正解があると信じていた。
でも人間同士、恋愛も仕事も相手がいてこそ、上手くいったり、そうでなかったりする。
以前そうではないと思って選んだ仕事にも「相手」はいるのだ。
当たり前だ。
 
「今までのがんばりは、なんだったのだろう?」
なんだか心にポッカリ穴が開いたようだった。
 
仕事を辞めて時間も心の余裕もできると、疎遠になっていた友人たちに会う機会も増えた。
「今度は仕事はほどほどに、いろいろ楽しまないとね!」
口々になぐさめられた。
今までとは違う時間の使い方も新鮮でうれしかった。
 
思ったほど遅くはないのかも。
今さらとも思ったが、その時感じていた喪失感を取り戻せる気がしてきた。
 
平均体重から15㎏オーバー。
この現実を受け止めるために、ジムのトレーナーと共に体重計測。
「筋肉量が増えたら脂肪が勝手に燃えるからね!」
モチベーションを上げてくれた。
加圧トレーニングを開始、1ヶ月で1㎏落とすごと体重を落とすことになった。
「それならできそう! がんばってみます」
 
「加圧トレーニング後、数時間は成長ホルモンが出るから、カロリーがある飲食はダメだからね」とルールを伝えられる。
夜のトレーニングだと、食事を取ることは難しいそうだ。
もともと筋肉量が多かったため、数回のトレーニングで効果を実感していた。
痩せた自分になるために、1食抜くくらい平気だった。
 
結果が出てくると服を買うために、あと〇㎏痩せたら。
とサイズダウンした買い物にいくことが楽しみになった。
 
それから少しして就職が決まったことで、加圧をやめなくてはいけなくなったが、
でもリバウンドはしたくないとも思った。
トレーニングができなくても、食事を変えたらよいのかも。
すぐに調べてみた。
出てくる出てくる。
「マクロビオティック」「アーユルヴェーダ」「酵素」「スムージー」
全部試してみたくなった。
どうやら野菜メイン、品質と調理法にこだわりがある、トレンドのようだ。
 
以前は、仕事に集中していたパワーは気づくと「いかに痩せるか」にすっかりシフトしていた。
でもそれでよい。
もう太りたくない。
みじめな自分はごめんだった。
完全にモチベーションは「痩せる」ことにある。
 
そんな日々の中で、会社が新しい事業を始めることになった。
小さな会社なので全員新たな業務が追加されたのだが、真夏炎天下で行うイベント業務もあり、体力勝負であることは間違いない。
それでもしっかり食べることは、恐怖になっていた。
今思い返すとあきれるのだが、目標を見失うことへの反動だったと思う。
 
そう気づくまでに時間がかかった。
「仕事だけでない経験、人生を楽しむ」ことが目標であり、
そのために、「変わってしまった見た目」を元に戻すことにあったはずだった。
 
それなのに気づくとひどい貧血や吹き出物、アレルギー症状にも悩むことになっていた。
本末転倒とはこのことだ。
きっと試した様々なメソッドには良いことも多くあると思うが、わたしには合っていなかったか、やり方を間違えたのだ。
 
「また同じ失敗した!」
痩せようと思った時と同じではないか。
一つのことに取り組むと、他がまるっきりおろそかになる自分を変えようと思ったあの時だ。
対象が、仕事から痩せることに変わっただけで、バランスよく楽しむことは、やっぱりできていない。
誰に言われて始めたことでもない、自分の選択の結果だ。
 
徐々にルールを変えることにした。
「あんなにこだわっていたのに」と自分にも周りにも後ろめたい気持ちがあったが、
そもそも、こだわることが目標ではないのだ。
求めていた「バランスよく楽しむ自分」は、今ここにはいないのだ。
 
「より早く行きたいなら一人で。より遠くに行きたいなら共に行く人を探しなさい」
どこかで聞いた言葉を思い出した。
早く行くだけでよい。
そう思ってきたが、どうやらわたしの場合は、それだと結果が散々になりやすいのだろう。
 
今度こそ気づくべきだと思う。
本当の目標は、仕事でも痩せることでもない。
自分の世界から抜け出し、人との関わりを楽しむことだ。
きっと今までの失敗は、気づきを得るための長いレッスンだったし、そうしたい。
日々楽しんでいる自分を想像しながら、楽しみに待つことにしようと思う。
 
 
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2019-01-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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