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干物女、恋に落ちる


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記事:西(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
私は干物女である。
症状はかなり重症な方だ。
 
干物女って何? と思った方へ説明しておくと
 
「ひうらさとるの漫画『ホタルノヒカリ』の主人公・雨宮蛍の生活ぶりを指した作中の用語として発生した。蛍がそう名付けられた生活ぶりとは、平日は毎日会社から帰ると漫画を読んで一人手酌で酒を飲み、休日は布団の中でうだうだ過ごすのが幸せという、だらけて恋愛から遠ざかっている様子のことである」(Wikipediaより抜粋)
 
特徴としては、
「恋愛はめんどくさい、メールの返事が遅い、休日はノーメイクでノーブラ、一人で居酒屋に入れるなど」(Wikipediaより抜粋)
 
大まかにざっくりと一言でまとめるとめんどくさがりなのだ。
この干物女という特徴を説明するのすら正直めんどくさかった。
ウィキペディアでコピペしてしまったほどだ。
 
外出すること。
これが私にとって一番めんどくさい。
平日は仕事で仕方なしに出かけるが、休日はできれば一歩も外に出たくない。
朝起きるのがめんどくさい。
着替えるのもめんどくさい。
メイクするのもめんどくさい。
出かけることを考えることすらめんどくさい。
もはや生きることすらめんどくさい。
 
家にひたすら引きこもってYouTubeとか映画とか見ていたい。
ゴロゴロしてたい。
誰にも会わずに。
なので休日に誘われても用事があると言って断ることが多い。
 
干物女といえど、
「一人で家に引きこもりたいので行けません」
「休日は誰にも会いたくないです」
と言えるほどめんどくさがりではないので、
「用事があるので行けません」と言って回避している。
自分の引きこもり時間を守っているのだ。
私にとって引きこもる時間は大事な栄養素の中の一つである。
糖質、脂質、たんぱく質、引きこもり、この全てがないと私は死んでしまうだろう。
 
家に食料と飲み物さえあれば快適な引きこもりライフの始まりだ。
そんな休日どうなの?と思う人もいるかもしれない。
でも引きこもりライフにも利点がある。
 
精神的に自由気ままである。(他人に気を使ったりしないので)
 
お金がかからない。(外食費、交通費がかからない)
 
お金がかからずに楽しい時間を過ごせる。
最高ではないか。
そんな干物女が楽しく引きこもり生活を送っていた。
 
ところがある日、変化が訪れた。
 
恋をしてしまったのだ。
出会ってすぐの一瞬のことだった。
まさかとは思った。
この干物女が?一目惚れ?どうしよう。
最初は戸惑いを隠せなかった。
恋なんて○年ぶりだ。
引きこもりの自分なんかが恋なんてできるわけない。
自分の気持ちを押し殺そうとしていた。
でも気がついたら考えてしまうし、仕事も手に付かない状態だ。
iphoneの通知がどうしても気になってしまう。
 
「恋はするものじゃない、落ちるもの」
誰かが言ってたのを思い出す。
仕方ない。
受け入れるしかない。
干物女といえど人間なのだから。
自分の気持ちに正直になり、出会いに感謝することにした。
 
それからというもの、毎日が変わった。
朝を迎えるのが嬉しい。
その辺を歩いているだけで楽しい。
気にもとめていなかった近所の景色が違って見える。
世界ってこんなに鮮やかだったけ。
白内障の手術を受けると世界が変わると聞くけどそんな感じだろうか。
今まではぼんやりとしか見えなかったのに、世界がくっきりとした輪郭を帯びてきたのだ。
 
今までの私は歩くことを移動の手段としか考えてなかった。
でも今は違う。
恋をしたのだから。
歩くことは「会うため」の手段になった。
歩いたらもしかしたら会えるかもしれないという一筋の希望が私を変えた。
 
今まで仕事が終わったら家に直帰していたのに。
「会う」ために必ず寄り道するようになってしまった。
 
休日は外に一歩も出ていなかったのに。
「会う」ために休日に出かけるようになった。
 
優先順位の変化に驚いた。
干物女の四大栄養素の一つであった「引きこもる」が排除され、「外を歩くこと」が優先されたのだ。
 
「恋は自分本位、愛は相手本位」
美輪明宏さんの名言だ。
 
もしかしたら恋ではなく、愛なのか?
居心地の良くて楽な「引きこもる」を辞めてまで「外に出て会いに行く」なんて。
 
「外を歩くこと」で卵が孵化する。
「外を歩くこと」で出会ったことのない新しいポケモンに出会える。
「外を歩くこと」でポケストップを回せる。
そして経験値を得てレベルアップする。
 
ある日、iPhoneのアプリや写真を整理していたのだ。
ダウンロードしてたのに使ってないアプリは全て消していた。
2年前にダウンロードしたポケモンgo。
フェイスブックやGmailのアカウント作るのがめんどくさくて全く遊んでいなかった。
消す前になんとなく遊んでみようと思った。
ポケモンのゲームをするのは実に◯年ぶりだ。
気づいたら夢中になっていた。
 
早くレベルアップしたい!
早くジムでバトルがしたい!
もっとポケモンを捕まえたい!
この欲求を叶えるために私は休日にも外をウロウロと歩き始めた。
仕事帰りに新しいポケモンに会うためにわざと遠回りするようになった。
 
ポケモンgoは引きこもりへの処方箋だった。
この処方箋は自分にとって心地の良い、ワクワクするものだ。
引きこもることと同じくらいに。
ポケモンgoでレベルアップするために「外に出る」ことも結局は自分の楽しみのためである。
これを愛なのか?と思ってる時点で恋愛には向いてないのだろう。
干物女が本当に恋に落ちるのはまだまだ先になりそうだ。
 
 
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2019-02-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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