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『新』の意味を改めて考えてみた


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:山田THX将治(ライティング・ゼミ書塾)
 
 
「間も無く新横浜に停車します」
久し振りの関西行きの為、私は新幹線のぞみ号に乗車していた。
乗車中に記事を書いたり調べ物をする為、窓側の電源付きの指定席を取った。これから京都迄の約2時間半、時間を有効に使おうと思ってのことだ。しかし、普段は車移動が主で列車に慣れておず、その上、旅慣れていない私は、移動中に使いやすい様にと起動の早いMacbookを購入したにもかかわらず、準備に手間取っていた。
乗車したのぞみ号は、東京駅を発車し既に品川に停車していた。新横浜に着きそうになるころ、やっとPCの準備が整った。東京駅を出た時にはガラガラだった車内も、新横浜を出る頃にはあらかた席が埋まっていた。
「そういえば、昔のひかり号は新横浜には停まらなかったよなぁ。品川だって、出来たのは最近だよな」
等と、私は頭の中で考えていた。本来なら、作業に集中しなければならないところだが、昔のことに思いをめぐらすと、なかなか離れられないのが私の悪い癖だ。
 
東海道新幹線の新横浜駅は、1964年の開業当初から存在していた駅だ。子供の頃は、なんでこんなに東京に近くに新幹線の駅が必要なのだろうと、疑問に思っていた。しかも新横浜駅の開業当時、駅周辺は全く開発されておらず、ビルはおろか建物すらまばらな状況だった。今では駅自体が高層ビルになっていたり、ホテルが隣接しライブで有名な巨大なアリーナが建って居たりする。少し離れれば、今年のラグビー・ワールドカップ決勝が行われる、日本一大きなスタジアムだってある。
開業当時はというと、横浜アリーナの裏手に位置していた、その後に私が取引することになる工場が、新幹線の車内から見えた程だった。
そう、その頃の新横浜駅は、田舎に急造された乗降客すらまばらな駅だった。
 
「よくこんなところに駅を造って、その後、ここまで開発するとは思いも付かなかったなぁ」
そんなことを私は考えながら、
「そういえば、『新』が付く駅って、田舎ばかりだったなぁ」
と考えていた。実際、二日後に帰京する際は、新大阪駅からのぞみ号に乗車する予定だった。やはり新大阪駅も、開業当時は大阪の中心部から離れた、不便な駅だったと記憶している。
それから、一度しか乗降したことは無いが、新大阪駅の一つ先、新神戸駅に至っては、トンネルとトンネルの間に無理やり造った感が有り、当然の様に街の中心部(三宮)から、中途半端に離れていたりする。
この辺り何とかならないものなのか。
 
関西へ向かった私は、京都で所用と天狼院のゼミに出席し、翌日は大阪へ移動し用事を済ませた。その翌日、予定通り帰ることにした。ただ、変ったことといえば、急用で横浜へ行かねばならなくなったことだ。横浜によるということは、新横浜駅で下車しなければならない。しかも、時間はタイトになる訳だ。
本来なら、時間的に余裕をもって帰郷するつもりだったので、ホテルは用事に合わせて天王寺に取っていた。大阪に慣れていなかったことも有り、天王寺から新大阪駅までの移動に手間取ってしまった。
それでもかろうじて、横浜での用事に間に合いそうなのぞみ号に乗ることが出来た。
 
天王寺からの在来線の車窓から、大阪の街を眺めていた。東京とは少し違うが、巨大な街には違いが無かった。
新大阪駅も、開業当時の面影は無く、巨大な大阪の街に呑み込まれてしまったように感じた。そう、新横浜駅と同じ様に。
 
新大阪駅の窓口で、新横浜駅までの指定席チケットを購入した。混み合っている中、何とか往路と同じく電源付きの席を取ることに成功した。
のぞみ号の席に着き、PCを立ち上げた私は、京都迄途切れず続く街並みを眺めながら、有ることに気付いた。
 
『新』が付く駅は、開業当時は田舎に造られた“新しい”駅だ。
しかし、インフラが整い、街が発展すると、単に“新幹線の”駅という意味で『新』がそのまま残っているのかもしれないと。
 
もし、新幹線網を整えたり都市計画を追い進めた先人達が、今の新横浜駅や新大阪駅を見たら、どう思うだろうか。
自分が考えた夢の街だと考えてもらえたら、現代を生きる私達にも、少しは自慢気に思えるのだが。
 
 
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2019-03-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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