メディアグランプリ

人生の教訓は、すべて恋愛ドラマから教わった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
記事:寺崎麻結(ライティング・ゼミ平日コース)

「あー、決められない」
思わず、つぶやいてしまった。

しまった、と思った。
目下、転職活動中のわたしは、
スターバックスのカウンター席に座りながら、
複数の転職サイトを、繰り返し見ていたのだ。

これで、もう何周目だろうか。

ここのところ、日課のようになってきた、
ショートサイズのドリップコーヒーが、
ほぼミルクになりかけている。

実は、カフェインが少々苦手なもので、
ミルクを継ぎ足し、継ぎ足し飲んでいるのだ。

これで、すでに3周目に入ろうとしていた。

今まで、大手からベンチャー、
営業職から企画職まで、
色々と経験してきた。

職種に至っては、
自分で望んだことではないが、
会社からの要請を、比較的受け入れてきた。

会社そのものの方向が転換しようとしている今、
違和感を覚え、
転職活動を始めた。
会社全体の方向性を、
わたしのような、ただの平社員が、
口を出せるような問題ではないのだが……。
でも、逆にそれが会社を離れようと考えるきっかけとなった。

だが、しかし、
わたしは、何がしたいんだろうか。

確かに、今の給料には納得がいっていなかった。
ただ、それに関しては半ばあきらめて、
残業を一切しないという対策を取っていた。
お金がたくさん稼ぎたいわけでもない。
でも、できれば今よりは多いほうがいいに決まっている。
ずっとボーナスも出ていなかった。

かといって、今までの経験上、
何でもやろうと思えばできる気がするし、
逆にいうと、流れに身を任せていたので、
専門的な何かがあるかと問われたら、
胸を張って言えるようなものはないような気もしてきてしまう。

はー、やっぱり決められない。

いつからこんなに決められない人間になってしまったのだろう。
20代の頃は、そんなことなかったのにな。

わたしは、ほぼミルクになってしまったコーヒーを飲み干して、
今日のところはあきらめて、帰路に着いた。

なんだかスッキリしないが、
家に帰ったら、気を取り直して、
最近ハマっているドラマを見ることにした。
ここのところ、週1の楽しみになっていた。

「初めて恋をした日に読む話」という、
原作がマンガで、イケメンが出てくるとあって、
永遠に来ないモテ期を待っているアラフォー女子には、
なんてありがたいドラマなんだ! と思い、
気軽な気持ちで見始めたわけである。

簡単なあらすじを説明すると、

恋愛もせず、勉強一筋で東大を目指していたアラサー女子の主人公が、
受験に失敗し、現在は小さな塾で講師をしている。
恋らしい恋もせず、仕事も契約社員のまま。
このままでいいのかとモヤモヤしているところに、
地元で有名な不良男子高校の生徒が東大を受けると主人公の塾に。
一緒に東大を目指すうちに、ふたりの心が通うようになり……。
さらに、元同級生のいとこや、
高校時代唯一、主人公に告白してきた男子からのアプローチに、
急なモテ期到来!

というような、内容である。

胸キュンものの、
思わず、
羨ましい!
いやいや、でも原作マンガだからなー、
いや、そもそも、主人公役、深キョンだし!
無理!ありえない!
と現実逃避のつもりで見ていたのだ。

が、しかし、
物の見事にハマって、
最終回には号泣してしまった。

冷静に考えてると、
甘酸っぱい恋愛ドラマと見せかけて、
ぬるりと、いつの間にやら現実の問題を突きつけられるのである。
そう、アラサーどころではない、
アラフォーだって、定年を迎えそうなそこのあなただって、
侮るなかれ、
実は、誰にでも当てはまる人生の教訓とも言えるようなドラマだったのである。

最終回までに、
わたしは、あるセリフに何度も胸キュン! どころではなく、
ギクリとさせられたのである。

主人公の女性塾講師が、イケメン男子高生に、
勉強を教えたり、人生を諭したり、
逆に恋ってこんなにドキドキするんだ! って気づかされたりしながら、
繰り返し出てくるのである。

「選択するということは、他を捨てるということ」

このセリフ中心に、
登場人物全員が成長していく物語といっても過言ではなかったのである。

ネタバレになってしまうので、
誰が、どうなったという点は書かないが、

例えば、
ほとんど勉強したことのなかった高校生が、
東大に入るための学科選択や科目選択。
大学受験をされたことのある方ならある程度想像がつくとは思うが、
模擬試験の結果から、
PDCA(Plan – Do – Check – Action)サイクルを回すように、
捨てる科目、力を入れる科目を選択していく。

さらに、
大切な人だから、幸せになって欲しいから、
あえて身を引く。
という、恋愛においてまでの取捨選択がぎっしり詰まっている。

さらに後を押すように。
「高みを目指せば、必ず厳しい選択をしなければならない時が来る」
という。

本来の目的のために、時として、一度、捨てなくてはならないこともあるが、引いては本当に必要なものを手に入れるための近道だったりもする。
そのために強いこころや即決力を持つ必要がある、
ということさえ教えてくれるのだ。

人生は、日々選択の連続であり、
逆に何も捨てずして、大切なものを得ることはできないということを、
改めて教えてくれたのである。

インターネット社会において、
情報なんてものは、取りに行こうとせずとも、
垂れ流しのように溢れてくる。
もしかしたら、人間そのものが本来持っている決断のスピードをはるかに超えて、
押し寄せてくるのかもしれない。

小さい頃、何かを調べるのに使っていた百科事典も、
いつの間にやら、声に出すだけで、
勝手に調べてくれる。
本当に必要なもの、欲しいものは、
強い意志を持って、手に入れようとしないと、
情報のスピードに流されていってしまっているのかもしれない。

強い意志を持って、決断できる女になると決めた。

まずは、経験の断捨離をしよう。
もういらないものを捨てて、
身もこころも軽くなったら、
仕事も恋も、
新しいステップを踏み出せる気がしてきた。

深キョンみたいに、きっちり決められる女になろう。
 
*** この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。 http://tenro-in.com/zemi/70172

天狼院書店「東京天狼院」 〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F 東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」 〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN 〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】 天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


2019-03-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事