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困ったときにつぶやく魔法の言葉


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【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:原田沙織(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 

世の中には、2種類の人間がいる。それは、ポジティブな人とネガティブな人だ。
 
そんな分類をされてしまうと、私はまず間違いなくネガティブな人間の部類だ。
 
ささいな事でくよくよ悩む。
決断をした後でも、別の決断がよかったのではないかと思い返しては後悔する。
 
その繰り返しだ。
 
1年前にした転職活動のときは、一緒に転職した仲間たちの誰よりも早い時期から悩み始め、いちばん最後に転職先を決めた。そして今でも転職が正しかったか、前の職場に残るべきだったか、今でもずっと悩んでいる。
 
自分のキャリアについて会うたび悩みを口にしていたら、とうとう友人にぴしゃりと言われてしまった。
「そんなに悩んでいても、なんとかなるようにしかならないんだから、前を向いて考えるしかないじゃない」
その一言で、ふと過去の体験を思いだした。
 
あれは、大学生の時。
その日、友人のやえちゃんと私は真夜中のバイパスのど真ん中にポツリとあるコンビ二に立って、途方にくれていた。
 
「大学生でしかやれなさそうなことをやってみたい」
そう言い出したやえちゃんに、
「そういや、私の夢はヒッチハイクをすることなんだ。旅のいちばんの醍醐味は、その地域に住んでいる人と話ができることだと思うからさ」
とふと言った私。
 
行動力のあるやえちゃんが、
「やろうよ!」
と目を輝かせた2週間後、私たちはヒッチハイクの旅の道中にいた。
 
画用紙にマジックで大きく行き先を書いて、楽しそうな表情で親指を上げる。
日本に住む人たちはみんな優しく、予想に反してあっさりと乗っけてくれた。
 
問題が起きたのは3日目の夜。
 
私たちは、いつものように車に乗せてくれた人と楽しく話をしていた。
その日の車の持ち主は愉快なサーファーさん。自分で経営しているサーフィン教室の場所まで立ち寄って見せてくれて、すごく刺激的だった。
 
事は突然起こった。サーファーさんは、急にバイパスの途中にあるコンビ二で車を止めた。
「あー、楽しかった。じゃ、ここで僕は別のルートになるから。がんばってね!」
出会ったときと同じ、愉快な笑顔であっさりその人は私たちを置いて去っていった。
 
一瞬状況が理解できず、ふたりで顔を見合わせ呆然とした。
 
時間は夜。闇の中では立っていても気づかれにくい。そして、そのバイパスは、車の通りがほとんどない道だった。
ヒッチハイクをするには最悪のコンディションだ。
 
とりあえず30分粘ったが、その間に通った車は3台。みんな足早に駆け抜けていった。
今日の宿どころか、今自分たちがどの場所にいるかがよく分からない。
 
絶対絶命とはこういう状況のことを指すんだろうな。
 
心の中でそう呟いた。あまりに崖っぷちに追い詰められて、面白くなってきた。
 
状況を受け入れると、やるしかないという気持ちがわいてきた。
 
「さあ、どうしようかな、でもなんとかなるさ!」
 
二人でそう言って笑いあう。その瞬間、目の前にコンビ二に入るために停まった車があった。
やえちゃんと私は、車に乗せてもらえないか自ら交渉するために走り出した。
 
あの時、悩んでばかりで現状を受け入れていなかったら、きっとその日宿に泊まることはできなかったし、何よりダンディだけど、すごくお茶目な男性の、学生時代のやんちゃで楽しい思い出話を聞くことはできなかっただろう。
 
ただ悩んでいても、状況は変わらない。
「今立っている位置が、自分が悩んだ上で出した一番いい状態だ、私はなるべくして今この状況にいるんだ」
 
そうやって、まずは現状を受けれることが大切なのかもなあ、と私は思った。
 
現状を受け入れなければ、気持ちの切り替えをしようとも思わない。
逆に、現状を受け入れて冷静に自分を見つめることができれば、新しい行動を起こすのに繋がるのだろう。
 
そう、そしてあきらめずに行動さえ起こせば、「なんとかなる」ということを、私は経験から知っている。
 
まずは、悩むのをやめよう。
今ある状況を受け入れよう。
そして、今自分ができていることを自分で褒め、不満なことはどうやったら解決するかを冷静に考えよう。
 
「あなたが、今その環境にあるということは、大きな力がはたらいて、あなたが考えなければいけないことを、考えさせようとしているの。だから背筋を伸ばして、まっすぐ前を見て、新しいことができることを楽しみなさい」
 
背中で仕事を教えてくれた尊敬する先輩に、退職日に言われた言葉を思い出した。
 
チャレンジしているから悩むんだ。悩むことを楽しもう。
 
「いろんなことに挑戦してみよう。なんとかなるさ!」
 
そう思った瞬間、久しぶりに空がぱあっと色づいた気がした。

 
 
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2019-03-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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