結び、の時
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:遠藤淳史(ライティングゼミ日曜コース)
「おおお…。これはグッときた。メモしとこ」
小説やネット記事を読む中で、心の何処かに引っかかった言葉をメモするようにしている。
これといった理由は特にないけれど、後々時間が経ってからそのメモを見返した時に、違う意味合いを感じられたり、異なった響き方をするのが面白いのだ。
書いて残してしまえば忘れにくいので、備忘録のような役割も兼ねている。
軽く日記をつけたくて買った手帳は、いつの間にか私以外の誰かの言葉で埋め尽くされていた。誰かの言葉に救われていると同時に、依存もしていた。
ちゃんと、自分の言葉を書きたい。書く勉強がしたい。
そう思って始めた、4ヶ月間のライティングゼミが終わりを迎える。
ぼんやりと、何か書きたい。けれどそんな習慣もなかったし、何を書けばいいのかも分からなかったから、足踏みの状態が続いていた。
安全な巣の中で餌を待つ雛鳥のように、その時の私は受け身だった。東京に越してきたばかりということもあり、口を開けて待っていれば、自分が欲しいもの、欲しい情報が勝手に入ってくると思っていた。
当然だが、そんな都合のいいことが起こるはずはなかった。行動を起こした人に対してのみ、恩恵が受けられるのはどこでも同じだったと今になって思う。
巡り巡って私の目の前に現れた天狼院書店のライティングゼミ。
受講するにあたって、意識していたことが一つだけあった。
それは
「絶対に毎週欠かさず課題を提出すること」だった。
書かなければ、書きたいことも分からない。
これは、受講する前から薄々感じていたことで、圧倒的に自分には書く量が不足していると思っていた。野球選手を目指す人が普段の素振りを欠かすことがないように、何かを書きたい気持ちがあるならば、まず量をこなさなければ見えてこないものがあるのだと。
だから、4ヶ月を通して全部で16回、無理矢理にでも書く機会を作ってしまえば、少しは習慣づくだろうし、書いていく中で分かることもあると考えていた。
最後の課題を書きながら、それは半分正解だったと思う。
半分、と言ったのは、未だに何を書きたいのかはさっぱり分からないからだ。
けれども、やっぱり書くことは好きだと、より胸を張って言えるようにもなった。
これは個人的に、ホームページに何回掲載されたとか今週は何位だったとか、そういう目に見える結果よりも遥かに大きい収穫だった。
好きだという気持ちは才能であると、どこかの記事で読んだのを覚えている。
才能、つまり誰もが平等に持てるものではない、貴重で尊いもの。だからこそ、少しでも好きだと思えるものに出会った時は、とことん向きあって追求した方がいい。
そういった旨が書かれていた。
時には寝る時間も惜しんで、毎週悩みながら書くことと向きあったこの4ヶ月は、確実に私を変えた。
どれだけ仕事が忙しくても、何かを書くことが日々のモチベーションになっていた。
最初は「書かなきゃ」と追われていたが、気がつけば「書きたい」に変化し、姿勢がプラスの方へ向いている自分がいた。
簡単には消えることのない火種を心の中に撒いてもらったような、そんな実感が確かにあった。
そしてもう一つ、
文章を見せることに対する羞恥心を無くすことができたのも、個人的に大きな変化だ。
自分が書いた文章を誰かに読んでもらう。
知らない人に読まれるのは何とも思わなかったが、知り合いや友人となると違った。
私にとってそれは当初、裸で町のど真ん中を歩くに等しい恥ずかしさがあった。
でも「絶対に読まれたくない」という拒絶の裏側に、「やっぱり少しくらいは読んで欲しい…」という願望も見え隠れしていた。
気持ちが悪かった。
どっちやねんと、自分で自分にツッコミを入れる日々が続いたけれど、当たって砕けろの精神で、仲のいい友人と飲んだ時に思い切って読んでもらうことにした。
過去に書いた文章の中で、自分でも気に入っている出来のものを選び、URLを送った。
読み終えるまでの1分ほどの時間が、とてつもなく長く感じた。
真剣にディスプレイを見つめる友人。
目の前でスマホをスクロールする指が動くたびに、鼓動が高鳴る。
「めっちゃいいやん!」
パッと顔を上げた後の友人の第一声が、私は忘れられない。
その一言だけで、何でもできる気がした。
その一言には、少なくとも私にそう勘違いさせるほどの力が確かにあったのだ。
どれだけお金を積まれるよりも嬉しい言葉を聞けて、何だか吹っ切れた。
もっと書こう。そしてもっと見せていこう。
掌の中のディスプレイで読んだ誰かの言葉に私が救われたのと同じように、
もしかしたら、本当に何万人かに一人くらいは、
自分が書く言葉を読んで、ちょっぴり救われる人がいるかもしれない。
おこがましいかもしれないけれど、そう願いながら書き続けていきたい。
4ヶ月前、
ライティングゼミの募集要項にでかでかと書かれていた「人生を変える!」という文字。
大袈裟だ。
ずっとそう思っていたけれど、あながち間違いではない気もする。
何事も急には変わらないし変えられない。
でも私にとってこの4ヶ月間の日々は確かに、人生を変える第一歩に違いなかったのだ。
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