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白髪頭もたまには役に立つ


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記事:多田昭仁(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「また白髪、増えたんじゃない?苦労しているでしょ?」
数年ぶりに会う友人にはなぜか白髪が増えたねと言われることが多かった
 
大学1年生のころから、白髪がぽつぽつと目立つようになっていた。いわゆる若白髪だ。
最初のころはがんばって抜いていたが、抜いても抜いても生えてくるので、次第に面倒になり放置するようになった。
大学を卒業するころには、全体に白いものが混じるようになり、かなり目立つようになってしまった。
友人からは決まったように、「苦労しているんだね」と言われたが、苦労して白髪になるのは完全な都市伝説。
かつてマリーアントワネットが牢獄に入れられ、一晩で白髪頭になったという漫画があったが、黒髪が白くなることはない。
白い髪が生えてくるのである。
ストレスが過度にかかれば、たいがいは白くならずに抜けるのが髪である。
 
社会人になってからも白髪の増え方は止まらず、どんどん白髪率が上がっていった。
入社時が5%ぐらいだったとして、30年後には95%が白髪である。
毎年、いいペースで白髪が増えていった計算になる。
白髪頭、気にならなかったと言えば嘘になる。
数年ぶりにあう友人からは必ず白髪が増えたことに触れられ、苦労が多いのだろうと、いらぬ心配をされる。
10年ぶりにあった親戚の叔母からは、いったいこの10年に何があったのと心配される始末である。
そして、なによりも悩みの種は、年より上に見られること。
白髪率が上がるに従い、実年齢よりも年上に見られがちになっていた。若いころはどうということもなかったが、40代、50代と年を重ねるごとに加速度的に見た目が老けていくのは自分のことながら悲しいものである。
 
実は30代のころに、髪を染めたみたことがあった。
友人からは5歳若返ったなどと言われたが、とにかく手間がかかった。染めてから数週間で根本が白くなるので、却って目立つのだ。
1年もたたずして、髪を染めるのはあきらめた。
染めるのをやめて、いったん髪を短くして、白髪頭へのリスタートである。
髪を染めてから知り合った人には驚愕の白髪頭となってしまった。
 
こんな白髪頭との付き合いもかれこれ30年を超えた、ある日突然に
「その白髪頭、絶対に得していますよね!」
と、言われたのだ。
彼女の名前は美幸さん。身長が172cm。わたしの身長とまったく同じ。
ヒールを履かれて並んで立つと、完全に見下ろされる。
そのくせ、横に座るとなぜか、こちらの方が少し高くなる。
 
その彼女が白髪頭は得をすると言うのだ。
彼女曰く、この白髪加減はなかなか見ないので、初対面の人でもすぐに覚えられるし、遠くからでもすぐに見つけられると言うのだ。
 
確かに、仕事などで初対面の方にもすぐに顔を覚えてもらえた。別の席で再会したときも、こちらは忘れていても、相手はだいたい覚えていてくれていた。
待ち合わせの時も、こちらが気付く前に相手が気付いて、こちらに近寄ってきてくれたことが多かったように思える。
まったく役に立たないと思っていた白髪頭が実はいろいろな場面で役に立っていたのだ。
 
美幸さんも女性で身長が172cm、ヒールを履くと相当に目立つ。彼女も若いころは無駄に身長が高いと思っていたそうだが、とにかく目立つことがわかってから、高身長を最大限に活かすことにしたのだという。
彼女の身長とヒール効果は初対面でもすぐに覚えてもらえるし、遠くからでもすぐにわかる。
確かに彼女のことはすぐに覚えたし、待ち合わせをしたら遠くからでも間違いなくすぐにわかることだろう。
残念ながら彼女と個人的に待ち合わせをしたことは、まだない。
 
同年代の友人たちも、身長や体形のこと、髪のこと、顔のことなど、お互いに外見のことを気にしているが、太った痩せた以外の外見の特徴はそうそう簡単には変えることができない。
そんな外見にコンプレックスを感じてしまうより、その特徴を活かせるほうが何倍も得だということだ。
 
これからは白髪頭が役立たずだなんて思わず、一緒にうまくやっていこうという気にさせてくれた美幸さんとの出会いであった。
 
ただし、彼女が指摘したもう一つのわたしの特徴。
ぽにょぽにょしたお腹。
これは、健康上、よろしくないのでさっさとダイエットしてなくそうと密かに心に誓ったのであった。
 
 
 
 
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2019-04-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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