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メディアグランプリ

夢を叶える簡単な方法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:上野建(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「5年ぶりくらいかな」
5年前、大学以来の友人のKは東京での営業の仕事を辞めた。営業の成績はまあまあで、そのとき周りの人間は、その仕事を辞めないほうがいいとアドバイスした。
理由まで同じだった。
「もったいない」
そして、もうやめたあとの予定は全くなかった。数ヶ月の旅を除いて。
正直、私もKが会社を辞めてどうするんだろうと不安になった。
「結局さ、俺が会社を辞める時にとめた人間の意見というか常識は正しかったと思うよ。間違ってるとは思わない」
でもさ、その人たちの常識ってこれくらいの範囲なんだよ。
彼は10センチくらい手をひらいた。
「この手の外側に無限に世界は広がってることを人は知らない。ほとんどの自分の知ってることがすべてだと思っているんだよ」
 
会社を辞めたKは予定どおり、旅に出た。
沖縄まで自転車で行った。
結局、その旅の途中で一番気に入った広島は尾道に住むことにした。
仕事はない。
ちょうど、そのころ尾道でチョコレート屋さんを始めようとしていた人がいた。人手が足らず、たまたま知り合ったKに手伝ってくれと声をかけた。もちろん、チョコレートの知識は皆無だった。それでもKいわく、
「で、まあ、ほかにやることなかったし、その声をかけてくれた奴と話が合ったからさ、やってみようかなって思ったんだよ。だから、別にチョコレートじゃなくてもよかったんだよ」
 
そして、彼から、南米へカカオの買い付けに1人でいった話を聞いた。彼は、携帯を軽快に操作し、一枚の写真を見せてくれた。カカオ農園で、真っ黒に日焼けした笑顔で現地の人と肩を組んだKの写真だった。
同僚が別の地にカカオを買い付けに行ったが山賊に出会って、いきなり首にナイフを突きつけられ、身ぐるみを剥がされた話も聞いた。
映画のような話だった。
でも、すべてが現実の話なのだ。
 
Kは、今回、東京銀座のデパートでの出店のために広島から出張で来ていた。そして、その合間に私と会うことになった。
しらない場所で、チョコレート屋という全く未知の仕事をはじめ、数年で銀座のデパートに出店できたことを私は単純にすごいと思った。
5年前には想像もできなかった。
「おれもさあ、自分が今、こうしていることなんて全然想像できなかったんだよ。何年か前にさ、チョコレートをはじめて、当然、なんも分かんなかったけど、ま、やりてぇなって思えたからさ、やった。やったら、できた。マジでさ、なんでもできるんだよ」
「正直さ、はじめさ、俺もKがチョコレート屋さんに5年も続くと思ってなかったけど、実際、今の働き方を見聞きしていうとさ、すげえって思うよ」
「あー。俺もさ、不思議っちゃ不思議なんだけど、でも最近思うんだよ。無理とか言うやつは、大抵、はじめから何もしてないやつでさ、やってる奴は、ただ必死にやって、全てはそのあとからついてくるんだよ。やればできるし、できないことはない」
 
「写真で食っていこうと思うんだ」
スタバのアイスコーヒーのカップの水滴をなぞりながら私は言った。
大学からの友人Kは、間髪入れず言った。
「絶対やったほうがいい。多分、いろんな人が反対すると思うけど、そいつらの話は気にしなくていい」
 
私が撮った写真を見る前に賛成してくれたことに驚きながらも、私は、最近撮った女の子の写真を数枚Kに見せた。
Kは驚いた様子だった。
「え、スゲーじゃん。普通に。全然仕事になるっしょ。絶対やれよ。これさ、女の子はモデルさんを雇ったりしたの?」
「いや、最近知り合った友だち。モデルじゃないよ。作品集を作るためにさ、片っ端から知り合いの女の子にお願いしてるんだ。結構かわいいんだけどさ、さらに、俺が撮ったから」とジョーダンをいうと、笑いながらKは、
「そうやって、やりたいことを宣言するのはすげえ大事だよ。できるかとかどうかとか関係なく、宣言すると、なんか流れがくるんだよね。知り合いが、こんな仕事して欲しい人探してるとか言ったらさ、あ、俺の知り合いにいるわ、みたいになったりさ。お前なら写真で絶対に成功するよ」
 
Kは笑いながら言った。
「とかいう話をしておいてなんだけど、俺、今の会社やめようかと思ってるんだ」
驚いた私は、なぜ? とたずねた。
「4人で今の会社を始めてさ、最初はファミリーとかブラザーって感じだったんだけど、売上も伸びてきて、従業員が増えてきてさ、なんか変な言い方なんだけど、会社っぽくなってきてさ、立ち上げからふわっと参加してるから俺、一応、役員だったりするんだけどさ、会社っぽくなってきたのを見ていると、あれ? 俺がやりたかったのってこういうことだったのかな? って思ったり。もちろん、今の会社が間違ってるとは思わないんだよ」
 
私は思った、Kはまた次のステップに進もうとしている。
 
「独立してさ、チョコレートを作るのは続ける。今度は俺ひとりではじめようと。 “俺たちの店”から次は“俺の店”をやろうと思って」
そしてKは最後に言った。
「やりたいことを口にするとさ、ネガティブな意見を言ってくるやつがいるけど、そういう奴の話はまず、耳を傾ける必要はない。奴らは“自分がやらなかったこと”を肯定したいだけなんだよ。夢を叶えるのに必要なことは『ただやるだけ』なんだ。簡単なことだよ」
 
 
 
 
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2019-04-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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