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メディアグランプリ

「インタビューを行なう」という快楽について


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:村尾悦郎(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
僕が大好きなインタビューについて、インタビューがもたらしてくれる快楽の話をしよう。
 
現在、僕は山口県長門市の地域おこし協力隊として、「ながとと」というWebサイトを運営している。市内のローカルな話題を取り扱う「ローカルメディア」として立ち上げ、「ながとの新たな“おもしろい!”を作りだす」をモットーに、市の観光サイトには掲載されないディープな地元の情報を日々掲載している。
 
そんな「ながとと」のコンテンツの中で最も人気があり、かつ僕自身も作るのをとても楽しみにしているのがグルメ系のインタビュー記事だ。観光で街に来ただけではなかなか見つけられない、地域の方々が通う食堂や居酒屋を口説き、お店の歴史や人気メニューの誕生秘話などを語ってもらう。
 
これが地域のみなさんに非常に好評で、「あの記事読んで腹減ったから、お店に食べにいったよ!」、「あの店の大将とは、ほとんど話したことがなかったけど、まさかあんなに客のことを思ってくれてたとは思わんかった。ちょっと感動したわ」など、嬉しい感想を直接いただけたりする。
 
そんなインタビュー記事づくりを先ほど「快楽」と述べたが、これが少々複雑な「快楽」で……なぜなら僕はインタビューするのが大好きなのだが、同時にとても怖くも感じているからだ。
 
基本的に僕の性格は後ろ向きでオドオドしがち。特に初対面の人とのお話が非常に苦手で、できることなら良く知った友達と、馴れ合いの会話をヌクヌクと死ぬまで続けていたいタイプの人間だ。インタビュー直前、現場につくまでの憂鬱さったらない。
 
「怒らせたらどうしよう……」
 
「良い人だと評判の人でも、そんな人格者をもし敵に回してしまったらどうしよう……」
 
「っていうか忙しいのに時間取ってもらって、迷惑がられてたらどうしよう……」
 
不安でたまらなくなり、(自分でお願いしておきながら)入口の前で逃げ出したくなる。
 
だが、そんな時は心と体を切り離し、ドアをエイヤっと開けるよう決めている。ドアの前でモジモジしていては時間がもったいないし、誰も背中を押してくれないから自分で押すしかないのだ。
 
現場に入り、やや上ずった声で挨拶し、インタビューを受けてくれたお礼と、媒体の説明を軽く行なう。挨拶→お礼→媒体説明の流れはしっかりとイメージトレーニングを事前に行ない、現場成功させることで自分の緊張を(少しだけ)ほぐしてくれる。
 
雑談しながらメモとペンを用意し、レコーダーとカメラのセッティングを終えたらいよいよインタビュー開始。まずは「お店はいつごろからはじめられましたか?」など、お決まりの質問からはじめる。
 
当然だが、インタビュー相手は芸能人やミュージシャンではなく一般の方。向こうも緊張しているのでお互いにジャブを打ちながら様子を見る。インタビュー相手にもいろんなタイプの人がいて、口数が少なく一問一答のようになってしまう方、本題だろうが脱線しようがとにかく喋りまくる方、「緊張」が「恐れ」に変質して必要以上にガードが固くなっている方など、さまざまだ。
 
写真についてもはじめは表情が硬く、使えるものはほぼない。だが、シャッターは必要以上に切り続けるようにしている。シャッター音を聞いてもらうことで、相手に「そういう環境」だと慣れてもらうためだ。
 
こうした中で「きっかけ」を探す。記事の核になる言葉を探るのだ。こちらが用意した質問の意図を超えて、話が転がりだす瞬間を掴まえられるよう、転がりだした話を切らさないよう、待ち構える。
 
「僕はこの街と『共生』したいという思いがあります」
 
「あるお客さんに『馬鹿にならなきゃいかん』といわれたんです」
 
こんな話が始まればしめたものだ。「それはどういうことですか?」などと話を展開し、言葉をたぐり寄せながら「これがうまく繋がればタイトルになるぞ」、「そうすると5分くらい前の話と今の話をセットにしたほうが良さそうだな」、「さっき、いい笑顔の写真が撮れたから今の話の間に挟むと臨場感がでそうだな」など、会話と記事の構成が頭の中を一気に駆け巡る。
 
この瞬間がたまらない。恐怖を乗り越え、会話の歯車を二人で回した先に、記事のひな型が頭の中で生まれる。たぶん、バンドの演奏が「ノってきた」瞬間……グルーヴと言えば当てはまるのだろうか、あの感覚はこれに近いのだろうと思う。
 
しかし、こちらは舵切り役。ハイになるのを抑えつつ、話題の方向性があらぬ方向に泳いでいかないよう、あいづちを打ったり、脱線しそうな会話を切り替える質問を投げかける。
 
そうして一通り話した後、「では最後に、今後の展望をきかせてください」などと、もう一度お決まりの言葉を投げかけてなんとかフィニッシュする。
 
インタビューが終わった後、僕はいよいよ興奮気味になる。「地元の人でも知らない話を聞いてしまった!」、「これを文字にして早く読んでもらいたい、驚く顔が見たい!」と、まだできあがってもいない記事が届いた瞬間を想像してニヤついてしまう。今、文字に起こして、気持ち悪い奴だなと自分で思う。
 
でも、気持ち悪いけど、クセになってしまうのだ。もっといろんな人に会って、いろんな話をして、おもしろい記事を作ってみたい。僕は人が怖い。でも、人と、人から出てくる言葉が好きだ。
 
 
 
 
*** この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。 https://tenro-in.com/zemi/70172

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2019-04-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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