苦手意識は思い込み
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:佐々木靖子(ライティング・ゼミ日曜コース)
プレゼンが得意な人はいるだろうか?
ここでいうプレゼンとはただ人前で説明するということではない。
自分の伝えたいこと、主張などをパワーポイントなどのソフトで資料を作り、
相手に伝えることだ。
私は、昔パソコンのインストラクターをしていたこともあり、人前で話すことに苦手意識はそれほどない。だが、自分の主張を資料にまとめるということ、つまり「書くこと」がとても苦手だと思っていた。
そう、あの日までは。
「プレゼンのUXサービススキルコンペに参加してみませんか?」
ある日、突然、社内の教育部門から一本のメールが届いた。
UXサービススキルコンペって何だろう? 普段、教育部門とは接することがない私にとって、はてなマークでいっぱいだった。が、そういえば、先日会社の研修で、UXスキルアップ研修に出たことを思い出した。
UXというのは、User eXperienceの略で、「ユーザーがひとつの製品・サービスを通じて得られる体験」を意味しているそうだ。要は顧客が期待しているもの以上の物やサービスを提供する、というためには顧客視点に立って物事を考えよう、といったマインドだ。
ちなみに、わが社は情報システムを提供するコンピュータ会社であり、営業、SEをごまんと抱えている会社である。このUXサービススキルコンペというのは、わが社では半年に1回やっているコンペで、顧客提案のスキル向上を目的とし、営業やSEが毎回出ている大会である。
私が所属しているのは調達部門で、客に提案することは、まずない。
これまで、私のようなコーポレート部門はこの大会には出ていなかったそうだ
おそらく顧客提案する機会もない部署なので、お声もかからなかったのだろう。
今回より、出たくても出るチャンスがなかった人へのために、コーポレート部門の混合チームも出場できることとなった。1チーム4人制なのだが、なかなか人が集まらなかったのだろう。3人集まったチームの最後の1人として私が選ばれた。
「まぁ、せっかくの機会だから出てみようかな。お声もかけてくれたことだし」
そんな軽い気持ちでの出場だった。そして、当日を迎えた。
出場チームは6チーム。1チーム、3~4名なので、全体で約20人ほどのメンバーが当日集合した。集合は9:00 いよいよ課題が発表された。
『顧客の問題を解決するデジタライゼーションサービスの提供』をわが社の製品を使ってプレゼンをしてください。とだけ言われた。あとは自分のチームで考えて解決してください、と。
目の前が真っ暗になった。なぜならば、私はわが社の製品を知らないのだ。顧客先常駐が多かったので自社の製品を使ったことがないのだ。まずい。そんな不安を抱えながら、初めて会うメンバーと課題に取り組むこととなった。
そして、やはりコーポレートチームだからなのだろう。誰もわが社の製品を詳しく知っている人がいなかった。「参加したのは失敗だったかもしれない。いくらなんでもわからない人の集まりでできるはずがない」 そんな気持ちでいっぱいになった。
開始9:30.商品を決めて、キャッチコピーをつくり、パワーポイントで資料作成。
決められたフォルダに、14:45までに事務局が決めた共有フォルダに格納すること。
それ以降の修正は許されない。そして、その後、各チームでプレゼンをするのだ。
かろうじて、製品を知っている人の知識を頼りに、なんとか資料作りが進んでいった。
それにしても時間がない。お昼は資料つくりをしながら弁当を食べた。気持ちが焦るばかりで味がしなかった。
知らないなりに、何とか資料を作りこみ、時計を見たら14:40.ぎりぎりのところで間に合った。だが、いかんせん、知らない商品をプレゼンするというのは自信がない。
ただ、唯一の救いは、想定以上に資料作りがうまくいったところだった。
知らないからこそ、ほかの人の意見を素直に聞き、何かあれば教えを請い、アドバイスに従う。
そして何よりも、自分が商品を知らないからこそ、製品知識がないお客様の気持ちに寄り添って資料が作れるのだ。
そして、プレゼン。結果から言おう。なんと優勝してしまった。
普段から顧客に提案している営業、SEを差しおいて、私たちコーポレートチームが優勝してしまったのだ。資料がわかりやすく、丁寧に記載してあったところが評価されたようだ。
資料作り、つまり書くことが苦手だ。私はこれまでずっとそう思っていた。だが、きっとそれは苦手だと「思い込んだいた」のかもしれない。できるだけ書くことを避けてきた。だから苦手なのではなく、もしかしたら経験が足りないだけかもしれない。だとしたらひたすら書いてみたらいい。
「書く」ことが苦手だと思っていた私が、気づいたらこのライティング講座を受けている。無意識に経験を積めば苦手意識がなくなるかもしれない。そんな気持ちから申し込んだのかもしれない。私の「書く」という苦手意識が消えたら、人生思ってもみない方向に動くかもしれない。
今はそんな期待でいっぱいだ。
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