才能はトレーニング
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:十川蒼来(ライティング・ゼミGW特講)
『才能』
この二文字を目にすると自然とため息が出てくる。
「こんなの、元々もってるものでしょ……」
才能なんて神様が与えてくれたもの。どうあがいたって自分が欲しい才能を手に入れる事なんてできない。
『才能』なんて、私には無い。
(自分の取り柄とは何だろう。)
少し考えてみる。
音楽は好きだ。中学の部活で吹奏楽部に入るぐらい。だけど、それについてすごく詳しいわけでもないし、楽器も習っていたわけではない。
勉強はできない。だから嫌いだ。しかも、
(なんで毎日机に縛られながら勉強しなければならないのだろうか?)
と思ってしまうぐらい。
こう考えると、果たして自分には才能なんて微塵もないと頭を抱えてしまう。
(じゃあ、なんで才能がある人とない人にわかれるのだろうか。)
そう思った。
では私が思う、才能がある人はどうだろうか。
私の同級生に絶対音階をもっている人がいた。
絶対音階とは、ある音を聞いてその音が瞬時に分かるというものだ。音を聞いて、ドかミかも怪しい私には、その才能はうらやましかった。
彼に私は聞いてみた。
「絶対音階って、どうやったら身につけるの?」
彼は答えた。
「絶対音階は小さいときに訓練しないとできないよ」
確かに彼は幼いころからピアノを習っていたそうだ。今ではそれに加えオーボエという楽器のレッスンにも行っている。
それを聞いて私は、
「そっか、だから才能あるんだね」
と。すると、
「楽器は練習すれば絶対うまくなるよ」
と彼は言った。
その時私は、彼が言った言葉の意味をしっかりと理解していなかった。
私がようやく理解したのは中学3年生の時。
受験を控えていた私は悩んでいた。なぜなら、このままの学力では志望校に落ちてしまうから。
(この学校には自分がやりたい部活があって、珍しく学校独自の授業がある。校風も自由度が高くていい雰囲気。ここに入りたい。)
本気でそう思っていたはず。しかし、心の片隅では
(最後、ダメだったら志望校を変えよう。落ちたら私立に行くことになっちゃう。諦めよう。)
と思ってしまっていた。
模試の結果を母に見せて志望校を変えることを伝えると、
「何もしないであきらめるの?」
母の言葉に驚いた。
なんか見透かされているようだった。
私には小さいときから決めつけてしまう癖があった。だから、何もやってもいないのにできないと決めつけて諦めてしまう。
今まで、勉強という勉強をしなかったからやり方が分からない。そして、問題点だと思っていても目を背けていた。その結果、『自分はバカだから、才能がないから』という言い訳を自分にし続けてしまった。
そうだ、私は良い意味でも、悪い意味でも何もしていない。
私は、勉強に対する意識も、時間も何もかけていない。
私はバカではなく『勉強する』ということを勉強してこなかった人なんだと思った。
ここまで来てようやく気付くことが出来た。才能というのは、自分が待っているもの、好きなこと、興味があることを『究極的に磨いたもの』だということを。
才能は『トレーニング』だと思う。
トレーニングは自分の体を鍛えるためにする。継続的に続けなくてはすぐに体がなまってしまう。また、大変だからと言ってトレーニング自体をしないと、体は弱くなっていく一方だ。
才能も同じで、練習を続けないとパフォーマンスの質は落ちる。そして何もやらないのは持っている才能を溝に捨てることと同じではないかと考えた。
絶対音感の彼は今、部活も含めて平日は3時間、休日7時間は最低楽器を弾いている。私だったら、いくら音楽が好きでも正直嫌になる。それでも彼はいつも楽しそうに楽器を演奏している。聞いているこっちも楽しくなる音楽を奏でてくれる。これは、彼に才能があるからではなく、音楽に対する好きという気持ちから成り立っている。彼は好きという気持ちを原動力に時間、労力を費やしている。これは無意識でしている努力だと思う。『才能』という2文字では片付けられない。ものすごい努力家なのだ。彼は『努力をすることが出来る』という才能を持っているということに気づいた。
今の私は、部活でいう幽霊部員と等しい。トレーニングをやりたくないからゆえに、目の前の状況から逃げ出してしまっている。また、逃げ出す癖がついてしまったのか、自分が『満足できるまでやり遂げた』と思えるようなことが少なくなっている気がする。今回ライティング・ゼミに参加したのは、『私もやり遂げることが出来る』という自信をつけたいという想いもあって参加した。
みんな、必ず才能になる素は持っているはずだ。それをトレーニングして自分のものにするのかはその人しだいだ。自分の欠点と向き合い一個一個解決することが必要だと考えた。
とりあえず、嫌いな数学から逃げないで、たまった宿題を終わらせたいと思う。
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