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メディアグランプリ

効率化に追われる現代人におススメしたい無駄のたのしみ方


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:田中 翠子(ライティング・ゼミGW特講)
 
 
効率化。コスパ。時短テクニック。時短術。
こうした言葉につい反応してしまう、なんてことはないだろうか。
 
世の中がめまぐるしく変わり続けるいま、ビジネスの世界でも、家庭でも、無駄を省いて、時間と資源を最短距離で成果につなげる方法が求められている。
そのため、多くの人が興味を持っているテーマだと思う。
 
時短・効率化によって生み出される成果は、もちろんすばらしいものだ。
今まで無駄にしていた時間や資源を、仕事や人生をより良いものにしていくために使える。
とてもまっとうで、だれもが正しいと感じるだろう。
 
しかし、本当に時短・効率化はつねに正しいのだろうか?
 
なるべくはやく、無駄なく、と考える思考の中で、ふと息苦しいと感じることはないだろうか?
世の中のスピード感が加速して便利になる一方で、自分を取り巻くスピード感も加速して、忙しくなっていたりしないだろうか?
 
少しでも思い当たるふしがある人に、おススメしたいことがある。
 
それはフィルムカメラで写真を撮ることだ。
 
なぜ、いまどきフィルムカメラなのか。
それには理由がある。
 
私は5年前から、ある写真家が主催するフィルムカメラのサークルに参加している。
なかなか初心者の域を脱出できず、知識・技術的にはまだまだ未熟だが、自分なりのフィルムカメラのたのしみ方を見つけた。
 
フィルムカメラは、無駄と不便が多い。
失敗しても削除できない、そもそも失敗していてもわからない、フィルムを一本撮り終えたら交換しなければならない、デジタルほどたくさん撮れない、現像に時間がかかる、すぐにSNSにアップできない……
 
そんな不便なカメラであえて写真を撮ってみましょうとおススメする理由は、無駄と不便が世の中に必要だということを思い出させてくれるからだ。
 
どういうことか?
 
フィルムの現像には、手間と時間がかかる。
自分で現像する技術を持たない私のような人は、業者に依頼して現像してもらうことになるが、現像を依頼してから完了するまでにかかる時間は、はやくて数時間、遅い場合は10日~2週間くらいかかることもある。
 
デジタルカメラに慣れている現代人にとっては、じれったく感じられるかもしれない。
 
しかし、ここがフィルムカメラのおもしろさでもある。
 
「あのきれいな景色、ちゃんと撮れているかな」
「空の青さはどんな色に写っているかな」
「ねらったとおりの雰囲気の写真になっているかな」
 
現像された写真を見るまでの待ち時間は、いろんな不安と期待が入り混じって、ワクワク、ソワソワする。
このワクワクとソワソワに身をまかせてみると、一見、無駄に思える「現像を待つ時間」はたのしい時間になる。
 
この「待っている時間をたのしむ」という感覚は、忘れがちだけれども心地いい。
無駄な時間は、じつはたのしむ価値のある時間なのだ。
 
 
また、あるとき、フィルムカメラのサークルの主催者である写真家が言っていたことがある。
 
「自分が想像していたよりもすごいものが撮れたとき、よっしゃ! って思うでしょ? そういうのがないとつまらないじゃない」
 
そう、フィルムカメラには奇跡が起きる。
 
ご存知のとおり、デジタルカメラはモニターで撮影結果をプレビューしながら撮影することができるので、予想していた結果と実際の結果の間にはほとんどギャップがない。
しかし、フィルムカメラはプレビュー画面がないので、現像してみないとどう写っているかわからない。
 
ねらったとおりの画像を、ねらったとおりに撮る再現性こそが、写真、つまりカメラの技術なのだとは思う。プロはある程度コントロールできるのかもしれない。
しかし、そうは言っても、フィルムカメラで撮った画像を予想しきるのはむずかしい。
光の微妙な加減や、カメラとフィルムのそれぞれの特徴と組み合わせなどによって無限のパターンがあるだろうし、デジタルカメラのように賢く補正してくれない。
 
ワクワク、ソワソワしながら待った末に現像されてきた写真は、ダメだ、失敗した! と頭を抱えたくなるものになっていることもある。
しかし逆に、すごいのが撮れた! と予想を超えた驚きをくれる「奇跡の一枚」が生まれることもある。
 
無駄と不便が多いフィルムカメラには、こうした奇跡が起きる「遊び」のようなものがあるのだと思う。
 
無駄と不便から「遊び」が生まれ、「遊び」があるからこそ撮った人の想像を超えるすばらしい写真が撮れることがある。
 
つまり、無駄と不便は、写真の世界には必要なものなのだと思う。
 
 
これと同じことが、今の日本の社会にもあてはまるかもしれない。
 
今、日本の社会の中には、
無駄をなくす=正しい
という流れがあるようにも感じられる。
 
時間を効率的に使ったり、最短距離で成果を出すことにこだわったりすることで、「時間がかかること」や「無駄」がどんどん省かれ、じゃまもの扱いされているのではないか。
 
しかし、「時間がかかること」や「無駄」は本当になくなるべきなのか?
 
写真の世界に限らず、「時間をかけること」や「無駄」から「遊び」が生まれ、楽しむ気持ちや、新しいことへのヒントや、想像を超える結果が生まれることがあると思う。
 
そういう「遊び」をなくした社会は息苦しい。
 
だからこそ、たまにはフィルムカメラのようなアナログな趣味をたのしんでみて、忘れていた視点を思い出してみることが必要だと思う。
 
フィルムカメラを持っていないという人は、あの富士フィルムがつくった名機、「写ルンです」を使ってみてほしい。
最近は、復刻版や「写ルンです」専用のカバーやストラップが販売されているなど、ひそかなブームが続いている。
写りもなかなか味があるので、デジタルカメラで撮った写真を見慣れた人にとっては新鮮に見えるかもしれない。
 
まずは、次のおでかけのお供に「写ルンです」を連れていって、遊んでみてはどうだろうか。
きっと、「無駄」は「無駄」ではないことを実感できると思う。
 
 
 
 
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

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2019-04-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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