GWの私、ぞうきんみたい。中途半端ライターが初めて産みの苦しみを味わっている話
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【6月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:江戸しおり(ライティング・ゼミGW特講)
「GWの私、ぞうきんみたい」
根詰めに根詰めた私の口から自然と出た言葉だった。
私はワーカホリックだ。放っておけば1日20時間でも仕事をし続けてしまう。もし1日が30時間になっていたとしても、気づかずに25時間くらいは働いているのではないか。
世間はGWだ、10連休だと言っていても、私は今年も変わらず仕事をするつもりだった。けれどその予定は、4月の上旬頃に大きく変更されることになった。
【天狼院書店・GW特講/10日間集中コース】人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」の広告がFacebookに流れてきたからだ。
私は4年前からフリーランスのライターをしている。書いているのは某旅行予約サイトの観光地紹介記事や、某住宅設備機器会社のコラムやなんやかやだ。基本的に取材と執筆がセットになっている。
仕事はいつも忙しいし充実していると思う。それでも、自分の生み出すものに今ひとつ手応えがないのだ。苦労して取材、執筆をするのだが、提出をするとすんなりと受け取られてしまう。
「磨かれていない」
かつて私が想像していたライターの仕事というのは、苦労して取材、執筆をしても、赤ペンだらけで修正されたものが返ってきたり、もっとひどいと「こんな記事は載せられないよ」と突き返されたりする、もっと泥臭いものだと思っていた。そうやって編集者と衝突しながら、ときたますごくいいものが生まれて「この苦労は無駄じゃなかった」と汗を拭うような仕事だと思っていたのだ。
もちろんそういうライターさんも世の中にはたくさんいるはずだ。しかし、私はどうやらその階層には足を踏み入れられていない、なのにお金だけはいっちょまえに稼げてしまっている中途半端なライターらしい。
「この辺でアクションを起こさないと、いつまでも成長できない」
そんな風にいつも無意識に考えていたのだろう。私の目に飛び込んできた「天狼院書店」「人生を変えるライティング教室」のワードは、それだけで私の心に突き刺さった。しかもその続きには「なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか? 賞を取れるのか? プロも通うのか?」とあるのだ。「バズ」、「賞」……。憧れてはいるけれど、今の自分が生み出すものではおよそたどり着けないワードが並んでいる。プロも通っているというのだから、レベルも相当のものなのであろう。
これまで感覚と経験だけで書いてきた私も、そろそろきちんと学ぶ時が来たのではないか。数分後には4万数千円をためらいもなく支払っていた。
しかし、10日間で8講義。学ぶことをおろそかにしていた自分にはだいぶきつそうだ。初日が近づくにつれてめんどくさい気持ちが濃くなっていた。
初回10分前、少しドキドキしながら通信講座の動画を開く。会場にはすでに多くの人が集まっているようで、ざわめきが聞こえる。開始時間より少し早めに現れたのは、私と同じくらいの歳の女性だ。少々の焦りと嫉妬を感じながら、私がのらりくらりと生きている間に、この女性がどんな努力をしてきたのかすごく知りたいと思った。めんどくささはもう、消えていた。
初回の約3時間半はあっという間だった。自分が今までなんとなくやっていたことが、理論として目の前に可視化されている。しかも即実践で使えそうだ。
このペースなら10日間楽しんでやれる。そう思ったのもつかの間、思わぬところに落とし穴があった。
今回のゼミでは、10日間毎日2000文字程度の記事を書くという課題がある。実は開始前、2000文字の課題なんていくらでも書ける、と思っていた。なぜなら私は普段、1日に数万文字を書き続けているからだ。
しかし、講義終盤で明らかになったのは、課題がフリーテーマということだった。初日はなんとか提出できたが、一定基準を超えてweb天狼院書店に掲載されるという目標は叶わなかった。
2日目は朝からテーマ決めの段階でつまずいてしまった。同じ「書く」という作業なのに、普段の、誰かが作ってくれた企画に乗っかるだけのライティングとは全く別物だ。私は自分の中から生み出されたものを言葉にしてあげた経験があまりない。私が書くのはいつも、知らない誰かの人生だったのだ。
「そうか。きれいなものでも汚いものでも、本当は人に知られるはずのなかった誰かの感情を、言語というツールで可視化するから、作品としての文章が生まれるんだ。誰かが身を削るような思いをして生み出したものだから、人の心を動かすんだ」
そう気づいた私は、徹底的に自分という器に入っているものを絞り出してみることにした。
でも、全然出てこない。ちらほらとかけらのような物は出てくるけれど、求めるクオリティのコンテンツに昇華できる気がしない。「これは? いやだめだ。じゃああれは? 話が膨らまない」まるで小説家が原稿用紙をぐしゃぐしゃに丸めて放り投げるように、アイデアが生まれては消えていった。
「GWの私、ぞうきんみたい」
絞っても絞っても出てくる。
もう絞れないよ。
いや、まだまだ絞れる。
どこまで絞ったら終わるのだろう。
それでも私のなかに「つらい」なんて気持ちは1ミリもなくて、むしろ楽しいくらいだった。
そうしてぎゅうぎゅうに絞り出して出た最後の一滴が、無事に記事として完成し、なんとかweb天狼院書店に掲載していただくことができた。
明日、私の雑巾はもっともっとかたく絞らないといけないだろう。けれど、きっと辛くない。むしろ、すごく楽しくなる予感がしている。
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
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