メディアグランプリ

マンガはこころを鍛えるプロテイン


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記事:田中 翠子(ライティング・ゼミGW特講)
 
 
マンガは、日本が世界に誇れる価値を持つコンテンツだ。
しかし、その価値についてしっかり考えたことがあるだろうか。
 
マンガは、ただの娯楽ではない。
私にとって、マンガはこころを鍛えるプロテインのようなものだ。
 
プロテインとはたんぱく質のことだが、ここではプロテインサプリメントのことを指す。
プロテインは、トレーニングの後に摂取することで損傷した筋肉を修復し、筋力を増強させるものだ。
 
精神、こころにかかるさまざまな負荷を筋力トレーニングだとすると、マンガは筋肉を修復し、より強くするプロテインのような役割をはたす。
マンガは、負荷によって傷ついたこころの修復をはやめ、次の負荷に立ち向かう力をくれる。
 
ちなみに、私にとってはそういう存在がマンガだったわけだが、それはマンガに限らず、人によっては小説だったり、映画だったり、身近な人が語る話だったりするだろう。
それは、読んでいる方がそれぞれに置き換えて考えてみてほしい。
 
私は、マンガ好きの母親の影響もあってか、気がついたらマンガを読み始めていた。
私の人生のそばにはずっとマンガの存在があり、つねに私の成長を支えてきてくれた。
 
子どものころはまったく意識していなかったが、マンガから人の気持ちの機微だったり、善悪の価値観だったり、自分が何に共感するのかという認識だったり、そういった人間の土台になる部分について学び、影響されてきたと思う。
 
大人になった今でも、マンガから学ぶことや、励まされることは多い。
 
たとえば、仕事がうまくいかなくてくすぶっているとき。
 
岸本斉史の『NARUTO‐ナルト‐』を読むことをおススメしたい。
大人気作品なのでご存知の方も多いと思うが、忍者が主人公の少年マンガだ。
主人公のナルトは、物語の後半ではめきめきと成長し英雄になるが、子ども時代を描いた初期のころは落ちこぼれと呼ばれ、まわりから厄介者扱いされていた。
 
それでもあきらめず、自分の信念を貫いて努力しつづけ、しだいに仲間から認められていく姿に励まされた人も多いのではないだろうか。
 
「オレが諦めるのを諦めろ」
 
これは作中で主人公のナルトが言う言葉だ。
仕事で思いどおりの結果が出なかったり、まわりから認められていないと感じたりしたとき、この言葉に背中をたたかれた気がして、ハっとした。
 
そうだ、まだやれる。諦めるのははやすぎる。
もう一度しっかりふんばってがんばろう、と気持ちを持ち直した。
 
また、ストレス解消のためには、涙を流すことも効果的だといわれている。
 
私がマンガを読んで初めて泣いたのは、羽海野チカの『はちみつとクローバー』の最終巻を読んだときだった。好きなマンガが終わってしまうというさみしさと、ラストのせつなさで泣いてしまった。
 
思い切り泣いてすっきりした、という経験をしたことがある人も多いと思う。
これは、涙を流すことで自律神経がリラックスし、安静な状態に切り替わるからだと言われている。
意識的にマンガや映画などを見て泣いて、ストレス解消をすることを涙活(るいかつ)とも言うそうだ。
 
つまり、つらいときや悲しいときにマンガを読んで涙を流すことで、ストレスを洗い流し、こころを修復して乗り越えることができるということだ。
つらい経験をした人のこころは、乗り越えた経験が多いほどに強くなっていく。
それをマンガが支えてくれる。
 
さらに、泣いたりしなくても、マンガを読むことで頭がからっぽになり、ストレスを受け流してこころが落ち着くということもある。
私は、仕事で自然災害の被災地へ支援に行ったことがある。
被災地では被災者だけではなく支援する側もストレスを受けるため、ストレスマネジメントが重要だ。
人によってその方法はさまざまだが、私は被災地支援から自分の日常生活に戻ってきたとき、マンガを一気読みすることで頭を切り替えたことがある。
 
このように、マンガや小説、映画など物語を語るコンテンツは、こころを鍛えるプロテインのようなもので、人間がより強くしなやかに生きていくために欠かせないものと言っていい。
 
摂取した栄養が血や肉となり、身体をつくっていくのと同じように、その人が摂取した物語によってその人のこころがつくられていく。
もちろん、どんな物語を摂取するかはその人しだいだが、けっしてケチって質を落としてはいけない。
ケチって栄養が乏しくなると身体は風邪をひきやすくなる。それと同じようなことが、精神面でも起こるだろう。
物語を摂取するためにお金を払うことは、ジム通いやプロテインにお金を払うのと同じことだ。
 
マンガは、お金をかける価値のあるとても優れたコンテンツなのだ。
 
だからこそ、大人よ、おおいにマンガを読もう。もちろん、小説でもいい。映画でもいい。
最近ビジネス本や実用書ばかり読んでいる、という人にこそ読んでほしい。
もちろん、子どもにもすすめよう。
 
上司やクライアントがあなたにウエイトを追加して負荷をかけてきたら、マンガを読んで負荷に耐えぬこう。
一段重いウエイトに耐えられるこころが、いつのまにか育っているはずだ。
 
 
 
 
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2019-04-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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