「都会っ子な私が初アジアで感じた新アジア」
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:津留崎 倫子(ライティング・ゼミ火曜コース)
「アジアに行こうよ」
仲のいい旅行好きな友人に突然LINEで誘われた。
海外旅行は好きだけど、アジアという選択肢がまず無かった。
「何故アジアなん?」と送信してみる。
「私アジア好きなんだ~。タイかベトナムどっちがいい?」と5秒くらいで返信あり。
アジア旅行の理由を詳しく返信されるのかと思っていたら、シンプルにただ「好き」という返信で、
しかもタイかベトナムの選択肢のみだった。
が、ヨーロッパ好きな私。世界遺産巡りの話をしてアジアから欧州へ逸らしてみようと考えた。
「フランスのモンサンミッシェルとかシャルトル大聖堂めっちゃきれいらしいよ」
「イタリアの教会にあるレオナルドダヴィンチも死ぬまでに観てみたい」
私はヨーロッパやパリの都会要素があるような街並みなどが大好きだ。
そしてアジアは正直あまり興味が無い。インスタ映えするような街並みや食べ物、最先端という言葉が大好きな私は、ヨーロッパ好きなオシャレ大好き女子!と自分で決めていた部分もあった。
その想いを込めてフランスやイタリアなどの良さを凝縮させた写真を大量送信してみた。
すぐ既読になり、すぐ「それだったら、ベトナムはフランスの元植民地だったから、かなりオシャレな街並みだし、飛行機代だけで、福岡からベトナムの首都のハノイまでなら往復これくらいだよ」
と飛行機の金額とハノイという街の写真が大量に送られてきた。
友人には私のヨーロッパの想いは全く伝わってなかった。
え? でも ハノイっていう都市めっちゃオシャレやん。
都会と融合された旧市街。洋風な建物もあって少しフランスっぽかった。
それとびっくりしたのが飛行機代だった。「ベトナムエアライン」。きちんとした航空会社なのに格安だった。
頭の中でヨーロッパまでの飛行機代と、ハノイまでを計算をしていたら、更に友人は上手に畳みかけてきた。
「しかもベトナムの物価格安だし、料理も日本人に合うと言われていてさ、実際美味しかったよ~」
「アジアめっちゃ面白いから、行こうよ~!」
写真更にめちゃ送ってくる。
でも確かにどれも素敵な風景で、ご飯も美味しそう。好奇心がむくむく出てきた。
フランスの香りが少し漂うアジア。写真と共にベトナムが気になりだした。
「行こう! ハノイ!」
そう返事して2週間後、福岡からハノイまで直行便でおおよそ4-5時間。ノイバイ空港に到着。
「初アジアだ……ベトナム来たー!!」
空港に着いた途端、気温は少しむうっとしていた。ベトナムの人がたくさんいて、日本より少し暑くて、当たり前だけど異国の香りがした。
ノイバイからハノイの市街地までは、民間バスで移動した。
少し砂ぼこりを浴びた民間バスの中は、一昔前のような曲調のノリノリの音楽が流れていて、ベトナムの人と
海外の人がたくさん乗車している。聞きなれていないベトナム語。音楽。初ベトナム初アジアで、私はずっとキョロキョロしていた。
バスの窓から最初に見た景色は、とにかくバイク。車よりバイク多っ!
子供連れ、大人二人乗りだったり。クラクションの数とか3秒に1回くらいのペースで鳴っていたけど、危ない運転をしている人が誰一人としていない。信号という信号がほとんど無いのに、事故が少ないのが驚きだった。
「ベトナムの街並み楽しみだな~散策したいな」と話しながら、30分くらいして、ハノイにある大きな駅に着く。そこから更に歩いてホテルまで行くことにした。
「ホテルはあえてハノイの中でも旧市街地にしたよ~」と友人。
ハノイの中でも濃いという旧市街地。電線も数十本が雑にそのまま電柱にかけられていたり、バイク乗りが
近すぎて何度もひかれそうになったり。ノンラーという三角とんがり帽子をかぶった叔母さんが、フルーツを売っていたり。ディープな世界になる。
街の匂いも、漢方のような、濃いフルーツのような生っぽい香りが漂っていて、歩くにつれて、街並みと香りがどんどん濃くなっていく。新しいもの好きな私だけどこの旧市街地を見ても、とにかく周りの風景や人が新鮮でしょうがなかった。不思議だけど、懐かしいような感覚もあった。
歩いていると、お店の前では、道端で何人もの人が座って談笑していたり、店番中なのに犬と一緒に椅子で寝ていたり。また女性がガニ股で、ひまわりの種なのかずっと何かを食べている風景を何度も見かけた。
驚きだったが、ベンチに座っている格好なんて気にしない。ありのままでフリーダムだった。
まず日本では考えられなかった。
私の周りの女性は、いわゆる完璧女子で、オシャレ。でもその分見かけに気を使っていて、常に人の目を気にしていた。なので同じ女性がそんなオープンで道端にいるなんて思ってもみなかった。
今の日本の光景でも、道端で大の大人がおやつ食べたりとかは絶対に見ないし、人とこんなに笑いながら、道に座って隣人と談笑したりなんてここの所全く見ていない。
途中で、屋台に立ち寄ったが、相変わらずベトナムの人はずっと楽しそうに談笑しているのだ。
途中で私の友人も交えて、ベトナムのおばちゃん達と笑いながら話していた。
「どこから来たの? このフルーツ美味しいよ~!」というニュアンスでタダで差し出してくれた。
目の前の人との関係を楽しんでいる。すべて全く格好つけていない。他人同士が家族みたいな雰囲気で過ごしていて、そこには何のしがらみもない純粋な関係に見えた。
何だか懐かしく感じていたのが少し分かった気がした。
友人も「ベトナムの人は本当温かいんだ~。国全体が隣人は家族みたいな意識なの。でも安心するせいか、おばあちゃん家来たみたいな感覚になるよね」
そう。どこか懐かしい雰囲気は、おばあちゃん家に来た感覚と似ていた。
温かくて、いつだってwelcomeで、近所の人達と談笑している関係。決して贅沢ではない暮らしの中で幸福そうに生きていた。飾らず、いつだってありのままの私を受け入れてくれるような心地良さ。
日本の中でも都会に住んでいる私は、時代の最先端が大好きだ。でも都会に埋もれて隠れてしまっていた、人との繋がりが見えた事により、外見重視の都会っ子な私は、ベトナムで丸裸になった。
余計な物が剥がれ落ちた自分は、「自分でいれる心地よさ」だ。街並みとかインスタ映えなど、外見に関する価値観がどうでも良くなっていったのが不思議だった。
ベトナムは一昔前の旧アジアではあると思うけど、ある意味今の日本には無い新アジアだった。
人との関係を大事にして、見返りなども無い。最高にシンプルな世界だ。
来て数時間。すでにベトナムの雰囲気が大好きになっていた。ディープな初アジアを心から楽しみたいと思っていた。
が、次の日に謎の腹痛に襲われ、ベッドで一日天国を旅していたのも、初アジアの良い想い出になった。
屋台のおばちゃんフルーツありがとう(泣)
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