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メディアグランプリ

武装女子へ。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:めいこ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
かつて、私は武装していた。
そうしないと生きられなかった。いや、そう思い込んでいた。
 
主戦場は職場で、その緊張感はプライベートにまで及んだ。
秘書たるもの、仕事は完璧にこなして当たり前。人間関係もよくしなければ。見た目ももちろん大切で、常に身なりを整えておくこと。
実際のところは、全てほどほどにしかできていなかったが、そうなるように努力はしていた。
 
なんのために?
 
もちろん、仕事を円滑に進めるために。みんなに迷惑をかけないために。秘書なんだし、ちゃんとしておかないと。
 
それだけ?
そのためにこんなに重い鎧を着て、がんじがらめになっているの?
 
だって、この戦場で生き延びなきゃいけないんだもん! 誰にも頼れないんだもん!
 
私はもともとマイナス思考型で、ものごとを悪い方へ考え、先々のことを悲観しては苦しくなるタイプである。
そして職場では、上司が厳しくて小さなミスも見逃してくれない。いつ怒鳴られるかもわからないから、周囲も私も常にピリピリしていた。
秘書という職業上は、マイナス思考がゆえの不測の事態に備える慎重さが有利に働くこともあるが、取り越し苦労に終わるのがほとんどである。
また、どうしてこんなにひねくれた思考になるのかわからないが、誰かに褒められても素直に受け取ることはできず、その言葉の裏に別の意味が隠されているに違いないと勝手に深読みしていた。
「仕事ができる」と褒められても、「一度でも失敗したら一貫の終わり」だと思っていたし、「きれい」と褒められることは、イコール「年を取ったら存在価値なし」だった。
おそらく自分に自信がないことに起因しているのだろうが、足元をすくわれないようにするのに必死だった。
 
そんな私が、いまは徐々に鎧を脱ぎ捨てている。
ずいぶん身軽になって、ジャンプもできるようになった。
挑戦すればどんなことでも叶う可能性があると本気で思っているし、まわりの女子にも武装解除をすすめている。
 
類は友を呼ぶとはよく言ったもので、親しい友人は、常識的でどちらかといえばマイナス思考型の人が多い。
 
結婚生活がいかに不満でいっぱいかを愚痴る。
太ってばかりで、いっこうに痩せないと呟く。
年を重ねるにつれ、体の自由がきかないと悩む。
 
そして、自慢しているように受け取られてはいけないから、何かいいことがあったとしても、他人に伝えることはしない。幸せを感じているからといって、ストレートに「私幸せなの」と口走ってはいけないのである。
節度ある女子たるもの、じっと身を潜めて周りの様子を伺っているのだ。
いつも頭の上に重しがのっているような変な感じである。
 
ある日、年上の友達エイコさんとお茶をした。彼女は、私の友人の中では毛色が違う。
そんなエイコさんが突然言った。
「結婚はいいものだよー」
 
「え?」
思わず聞き返してしまった。
どうして? 他のみんなは結婚生活の不満を強調してばかりいるのに。
エイコさん、そんなこと言っちゃっていいの?
 
「若い人には先々明るい話をしなきゃ。独身のあなたにも娘にも、結婚が嫌なものだと思われないように、どれほどいいことかを伝えたいの」
 
マイナス面しか話してくれない人が多い中、堂々と今自分が幸せであると話すエイコさんに驚いた、と同時にうれしくなった。
なるほど、今まではお先真っ暗と決めつけていたけれど、「この先も明るくて楽しいコトがおきる」と前提条件を書き変えればいいのだ。
とはいえ、そこまでわかっていても、長年染み付いた考え方のクセを矯正するのはなかなか大変なことである。
 
仕事の関係でブログを始めなければならなくなったが、ここでもマイナス思考が発動した。
作文も読書感想文も大嫌い。自己発信は大の苦手。自分のことを不特定多数の人に開示するなんて絶対したくない。
どうしよう、適当な理由をつけてやめちゃおうかな……。
 
迷ったものの、仕事なので断ることもできず、ビクビクしながら、スパルタな上司の話や仕事の失敗談、日々思うことを綴ってみた。
そうしたら、「書くことなんて大っ嫌い」を公言していた私が、なんと褒められたのだ。しかも複数人から。
いつもだったら、その言葉の裏を探ってしまうが、この時は内心疑問に思いながらも素直に受け取ることにした。
 
ブログを続けているうちに、いつの間にか発信することに抵抗がなくなっていた。私の言動を責める人が出てきたことは一度もない。今ならわかるのだけれど、そもそも私のブログを真剣に読み込んでくれる人なんていない(笑)。
失敗するのも平気になった。失敗したら、ネタができたとほくそ笑む。
完全武装していた私をして、この変わりようである。
そして、仕事の貴重な経験を出版しないかとお声がけいただいた。我ながら驚いたが、何が起きるかわからないものだ。
 
友達のエイコさんのように、私も武装女子の気持ちを楽にしてあげられるだろうか。
 
鎧を脱いで、頭の上の重しも自分で取り外せばいいんだよ。
前提条件を書き換えてごらん。
年を取ることがあんなに怖かった私だけれど、ワクワクすることもあるし結構楽しいよ。
 
 
 
 
***
 
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2019-05-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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