本嫌いの私がライティングゼミに申し込んだ訳
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【6月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:金子佳美(ライティング・ゼミ日曜コース)
「ワクワクした?」
「すこしね。知らない人がこれを読んだら買いたいか? というとぶっちゃけそこまてでではない。でも読みたくなる可能性は十分にあると思うよ。書く系の学校とかセミナーとか言ったことあるの? 」
私は「行ったことない」と答えた。
「天狼院のライティングゼミがあるよ」
「へぇ行ってみようかな? 仕事や他にやることあるし、違う趣味にも通いだしてしまったし…」と私が答えると
「やりたいことは今が旬だからやると楽しいよねえ。一見バラバラでも“点”と“線”がつながっているときがあると思うわ」
私に天狼院のライティングゼミを紹介してくれた人がそう言った。
そしてすぐに申し込んで通い始めた。
しかし、私は本が嫌いなんだ。
本はあまり読まないし、読んでもHOW TO本くらいだった
「本を読みなさい」よく母親から言われたものだ。
小学2年生の私は、読めそうで有名な【ちいさいモモちゃん】を手に取った。
数ページ読んで閉じてしまった。面白くなかった。
中学生になってそろそろ名の知れた本くらい読もうと思って【赤毛のアン】を読んでみた。やっぱり面白くなかったけど頑張って読み終えた。
高校生になって【菊と刀】という本を担任の先生から紹介された。先生が進めるならと思って読んだが、頑張って1/3くらい読んだが耐えられなくて閉じた。面白くなかった。
本はつまらない…と私は本の世界から身を引いてしまったのだ。
そして私は保育士になった。
保育士の仕事のひとつに絵本の読み聞かせがあった。
まずは絵本を選びに書棚へ向かった。
「あっこれも見たことある! これも読んでもらったことがある! 」
幼稚園時代は何度も何度も手に取って見ていたなぁと小さいころの記憶がよみがえってきた。いつから本が嫌いになったんだろう。好きな本はあったのだ。
きっと小学生になって「本を読みなさい」と強要されたのが、本嫌いに拍車をかけたのかもしれない。
本を読むこととは別に、保育士としてのもう一つの仕事に書くことがあった。
毎日毎日一人一人の子供の様子をお家の人に読んでもらうために連絡帳に書いて知らせるのだ。
最初はなかなか書けなかった。
その日の事をどんな単語や文にして伝えたらいいか? ペンが何度も止まった。
十数人分の連絡帳を1時間以内に数名の保育士で書きあげていくのだ。
子どもたちが寝静まった保育室の片隅で、積み上げられた連絡帳の山を囲んで、数名の保育士でもくもくと書いていく。早食い競争みたいな緊張感だ。
いちいちペンが止まっていては仕事にならなかった。
次第にいかに早く的確な言葉で、しかもお家の人に安心してもらえるような文を書くかが、保育士の間での見えない約束事のような空気が流れていった。
本嫌いの私の頭の中に浮かぶ単語や熟語はあまりない。
しかし、毎日が十年以上続くと次第にボキャブラリーも増えてきた。ふと浮かんだ言葉に自分では自覚がなくて「私、どこで聞き覚えてきたっけ? 」なんていうこともしばしばあった。それでも私の読む本は相も変わらすHOW TO本だった。
ある日小学生になった娘が朗読し始めた。
「メロスは激怒した…」
太宰治の【走れメロス】だ
「宿題は毎日お家の人に聞いてもらって、はんこを押してくださいって先生に言われたの」と娘。
耳元で初めて聞く文豪の本の内容だ。
キッチンで包丁を握る私の手が止まった。
そして本嫌いの私がついに、初めて、文豪と言われる太宰治の【走れメロス】を手に取ってひそかに読み始めた。止まらなかった。面白い。
初めて小説本の面白さを知った
次の宿題の朗読は宮沢賢治の【注文の多い料理店】だった。
これも早速借りてきて読んでみた。心の底から面白かった。
それから図書館で待ち合わせをしていると【ちいさいモモちゃん】が目に留まった。
もしかしたら面白いかも…と恐る恐る手に取ってみた。
待ち合わせの時間までが短く感じた。もっと読みたかった。
小さかったあの時、私に、本の行間までも読み取る力があったら、楽しかったのかもしれない。
【赤毛のアン】も、翻訳者の村岡花子を主人公にしたNHKの連続テレビ小説【花子とアン】を見ながら、赤毛のアンの作者の意図をくみ取れたらきっと楽しく読めたかもしれないと思った。
こうして本の楽しさを少しばかり知ることが出来るようになった。
そんな時、フェイスブックの仲間にコメントしていると
「あなたの言葉の選び方が面白い」「どこかで学んだの?」「なんか書いたら読ませて」とまで言われた。
書くことなんで学んだことないし、本嫌いが書けるわけないし…と思ったけれど、書くことってなんだか面白そうと思った。
保育園の連絡帳を頑張って書いていたこと。
娘の読み聞かせの宿題を真剣に聞いた事。
それぞれの日常の“点”と思える出来事が、もしかしたら偶然ではなくて未来への道を開く出来事だったのかもしれないと思ったら、ワクワク感を感じた
そして書いたものを友達に読んでもらった。
その友達はこういった
「読みたくなる可能性は十分にあると思うよ」
ライティングゼミに通ってから、この友達の言葉の意味がとてもよくわかる。
なんて素敵な言葉かけをしてくれたのだろうと今になって思う。
本当は全然人に読まれるような文章ではなかったのだ。
友達は私の人生の“点”と思える出来事を勇気づける言葉で“線”につなげてくれた。
私の未来の可能性を引き出してくれるような言葉をくれたのだ。
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