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就活は合コンだ


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記事:Nalu(ライティング・ゼミ 平日コース)
 
 
私は、大学のキャリアセンターでキャリアカウンセラーをしている。毎日たくさんの学生が様々な相談に訪れる。相談件数は延べ3000人を超えてきた。私が勤める大学は、優秀な大学なので、勤勉で努力家の学生が多い。それでも、就活において正解を求めにくる学生が後を絶たない。そもそも、人生は人それぞれ、幸せも人それぞれ、キャリアをどうするかという相談で、私が答えを持っているはずはない。内定ではなく、就職した先の人生に焦点を当ててほしいのはやまやまだが、まずは受かりたい。その気持ちはわからないでもない。そこで、就活のスタンスを、わかりやすく分かってもらうために恋愛を用いて説明してみようと思う。
結論から言うと、就活は合コンである。彼氏または彼女をみつけるため(内定をとるため)自分をPRするための手段が合コン(面接であり、グループディスカッション)である。つまり、彼女・彼氏を作るぞ! という張り切った感じで参加した方が成約率は高い。向こうにも張り切っているな! という感じが伝わる。企業は本気で働く仲間を探している。両者ガチ合コンなのだ。
就活が合コンならば、志望動機はラブレターである。
よく学生が言う。「説明会行ったんですが、取り立てて事業内容にも興味がなく、業界最大手っていうわけでもないので、志望動機っていっても、これといって、見つからないんです」   いや、それはつまり、「まあ可愛い子かなと思ったんですが、モデルってわけでもないし、特徴もよくわからないし、どう褒めていいのかわからないんです」 という相談と言える。そんなテンションで口説けるだろうか。現在、日本には400万社以上の企業があり、学生の企業エントリー数は平均で20~30社程度だ。少なくとも応募するという行為に至っているわけなのだから、無意識であっても、なんとなくであっても、400万社の中から、自分で選んでいるのだ。好きな人に告白するとき、なんとなく好きです! では伝わらない。好きなところを観察せねば。そして、意中の相手を褒めるのに、「好きになったのはなんとなく雰囲気が良かったんで」 なんてふわっと褒めるだろうか? もっと他にあるだろう。よく学生がいう「会社行ったら人の雰囲気が良かったんで」 という理由だけでは向こうは選んでもらった感がない。一つずつが弱いなら色々書けばいい。ラブレターである以上、思いを込めて書かなくては伝わらない。入りたい(付き合いたい)と少なくとも思っていることを伝えよう。感情を込めず、淡々と事実を述べるのは、「あなたは高学歴で、収入があり、家柄も問題ないので付き合いたいです」 という告白に近いだろう。一緒に働く仲間としてはかなり味気ない印象と言っていい。
もう一つよく受ける相談は、「第一志望じゃないのに、第一志望っていうのが嘘なので心苦しいです」 という話。例えば、何度か合コンに行って、最初の子が一番良かったが、3番目の子にも聞いてみたいと思ったとする。3番目の子に「初めにあった人が本当は良かったんだけど、今聞いてるんで、それがダメだったら付き合ってもらえませんか?」 と言って3番目の人は気持ちが良いだろうか。そこで正直さが重要だろうか。企業とすれば、学生が少なくとも入りたいというから時間を取って会っている。「入りたいのでお願いします」 というシンプルなメッセージで良くはないか? そして、相手に好きなのでぜひお願いしますというのは、嘘というよりは礼儀の一環のような気がしてならない。「本当はもう少し細くてスタイルが良い人が良かったんですが、あなたでも合格点ではあるのでお願いします」 という仕方なさを出すのが嘘をつかない人としてありなのか。大人の誠意として考えてもらいたい。
たまに真面目さが災いして面接で暗記した内容を読んでしまう学生がいる。面接は会話だ。付き合いたいという話を切り出す食事で急にロボットのように決めてきた台本を読み始めたら相手はどう思うだろうか。今後のコミュニケーションが思いやられ、緊張しているのを考慮しても、会話が成り立たない相手とは付き合いたくないだろう。
もう一つ、就活が合コンならば、内定辞退は付き合おうと言ったけど、気が変わりましたという状況である。とりあえず、電話一本で断るにしても、いろいろ考えてもらったのに申し訳ないという誠意を出そう。特に今期は新卒採用2人だけというような中小企業にとってはやっと見つけたお相手。学生の言う保険に扱われた感は確実に伝わり、若干弄ばれて捨てられた気持ちになるだろう。自然消滅はあまりに不憫である。
そして、晴れて内定を勝ち取ったという事は、新しい彼女・彼氏ができましたという状態だ。今後どう付き合うか、結婚して生涯を共にできるかはまだわからない。始まりでしかない。内定をゴールにしないように、その先の人生の始まりとして就活をしよう。
 
 
 
 
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2019-06-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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