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メディアグランプリ

なんですって? 山を走るんですってよ!


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ふやま のぶえ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「はあ? 山を走りに行くんですか?」
 
最初聞いた時は耳を疑った。
山っていえば、歩きに行くところでしょ。
それを走りに行くってどういうことですか?
 
山の中の道=トレイルを走る、だから「トレイルラン」というそうだ。そうか、そんな趣味もあるんだとびっくりした。
 
山なんてどう考えたって走れるようなところじゃない。道はボコボコしているだろうし、アップダウンもある。ハイキングだって疲れるのにわざわざ走るのか……。
 
それも水や食料というか携行食といってカロリーバーみたいな軽くて簡単にカロリーが摂れるもの、必要なら上着だったり救急セットを持って行くために専用のザックを背負っていくらしい。登山用のザックより軽くて薄いが素材は丈夫そうだ。
 
いまいち想像外だったが面白そうな気がしたので初心者向けの「トレイルラン」イベントに参加してみた。
 
普段ランニングしている格好に専用のザックを背負う。今回は初心者向けということで標高差もあまりなくトレイルも整備されたところなので普通のランニングシューズでも大丈夫らしい。トレイルの状態によってはシューズも専門のものにした方が安心して山を走れるそうだ。
 
シューズの裏側がスパイクほどではないにしても多少の突起がありグリップが効いて下り坂でも滑りにくくなっている。そのうえ登山靴より軽いため、走っていても重さが気にならないシューズがあるのだ。
 
イベントの日は良く晴れていた。トレラン日和だ。
 
トレランといっても実際にはほぼ歩きだった。やや速足ぎみとはいえ登りは登山と変わらないくらいの歩きで、他の参加者とおしゃべりする余裕もあるくらいだった。途中で見つけた花を写真に撮ったり周りの景色も楽しみながら山の中を移動していく。
 
普通の登山と変わらないなぁと思っていたが、大きな違いのひとつはお昼休憩かもしれない。
山登りであれば山頂の眺めのいいところでお弁当を広げてゆっくりと休むところだがトレランでは途中休憩も立ったままで一度にガッツリ食べるというよりちょこちょことこまめに休憩と補給食を摂るという慣れないスタイルだった。
消費したエネルギー分を常に補充していくことで速く遠くに行けるのだ。
 
ややフラットなトレイルや下りになるとゆっくりだけど走り始める。木々に囲まれながら細い道を風が感じる程度に走ってみるのは思ったより快適だった。適度に踏み固められたトレイルはアスファルトと違ってふかふかして走っていても足に優しい。
 
歩きよりも木漏れ日の見せる景色が新鮮に見える。スピードを出すことで緊張感があるのか神経が少し敏感になっているのかもしれない。なんだかロードを走るよりわくわくしてきた。
 
自分も獣の一種になったような気分だ。鹿やうさぎやきつねはこんな気分で森の中を駆け抜けているのだろうか。
 
駆けだしてつい歌いたくなる感じ……。
そんなシーン、どこかで見たなぁ。
 
「サウンド オブ ミュージック」の冒頭だ。「ドレミの歌」のミュージカル映画といえばご存じの方も多いだろうか?
主役のマリアがオーストリアの山々に囲まれた緑の大地の上で歌いだすのだ。
 
綺麗な山なみ、新鮮な空気、青い空、花々が咲く斜面に立つと両手を広げて大自然の中に飛び込みたくなる。それこそ歌いだしたり、転げまわったり、走りたくなったり。
 
なんて気持ちのいいことなんだろう。
 
山を走るなんて不自然なことだと思っていたけど自然とわき起こる気持ちだったんだ。
 
久しぶりに仲の良い友達に出会った時、思わずはしゃいで小走りに走り寄ってしまうような、自然な気持ちだったんだ。
 
今までに走ってみたくなるトレイルに出会ったことがなかっただけなのだ。あるいは身軽な装備で来ていたこともあるだろう。登山のような重い荷物を背負ったり足かせのようながっしりとした重い靴では走り出す気分にはならない。
 
山での楽しみがまた一つ増えた。
えっちらおっちらのんびり歩くのも楽しいが風を受けて走ってみるのもまた楽しい。
一粒で二度おいしいグリコのようだ。同じ山行でもプランの立て方に広がりが出る。テント泊でないと行けない工程もトレイルランなら日帰りも可能になったりする。古くは「かもしか登山」とも言われたらしい。新興のスタイルというわけでもないのだ。
 
「え? 山の中って走れるの?」
久しぶりにあったランニング友達にきかれた。
 
「そうだよ、楽しいよ。」
思わずにやりと笑ってこたえた。
 
「どこかでお茶しない?」
 
立ち話だけでは済みそうにない。
 
 
 
 
***
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2019-06-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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