「NO」と言えることは投資である
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記事:ao (ライティング・ゼミ特講)
私の大の苦手なこと。それは「断ること」。
断ることが苦手で損してしまう人はたくさんいると思うが、私も間違いなくその一人である。
日常生活のあらゆる場面で断ることができなかったために損をしている。
その苦手ぶりがとことん発揮されたのは一人で街を歩いているときだ。
ある日、美容室に行くため一人で原宿を歩いていた。予約の時間まで少し余裕がある。
お昼ご飯でも食べようかと近くのカフェの外にでているメニューをのぞいてみる。
「あ、コーヒーしかないんだ……」
その場を立ち去ろうとした瞬間、
「いらっしゃいませ!」
メニューを見ているところに素敵な笑顔の店員さんが寄ってくる。
どきり。
「カフェをお探しですか? アイスカフェラテ美味しいですよ!」
メニューを見ていただけのはずが、店員さんに「結構です」が言えなくていつの間にかお店のカウンター前へ。
アイスカフェラテ550円。少し高いかなと思いながらもここまで来たら注文するしかない。
本当はご飯が食べたかったのにどうしてカフェラテを飲んでいるんだろう……。
でも仕方ない。美容室の帰りに食べよう。
美容室の帰り道。
今度こそご飯を食べよう。さっきのような失敗はしないようにしよう。
またカフェを探す。雰囲気の良さそうなカフェへちょっと入ってみる。
ショーケースには色とりどりのケーキが並ぶ。
「あ、ケーキしかないんだ……」
立ち去ろうとした瞬間、
「いらっしゃいませ!」
店員さんは私が注文するのを待っている。
どのケーキも1切れ750円から。高い。どうしよう。
店員さんは私が注文するのを待っている。
気まずさに耐えきれず、結局私は750円のバナナケーキを注文した。
カフェラテ550円、バナナケーキ750円。
もしかしたら同じお金で結構いいお昼ご飯が食べられたんじゃないか。
断れないせいで本当に食べたいものを食べることすらできない。
余計な出費が増える。
こんなちっぽけなことでくよくよ悩んでいる自分も嫌だ。情けない。
今までもそうだ。
店員さんのおすすめの洋服が断れなかったこと。
あまり気乗りしないお誘いを断れなかったこと。
引き受けたくない係を断れなかったこと。
断れないせいで、私はどれだけの時間とお金を浪費してしまったのだろう。
断れないのはきっと気が弱いせいだ。そう思っていた。
カフェの出来事は些細なことなのかもしれない。カフェラテもバナナケーキも美味しかったからそれでいいやと言えばそれまでだ。
でも、こんな些細な事すら断れない自分のままでいいのだろかと立ち止まって考えてみた。もっと大きなことだったら取り返しがつかなくなるかもしれないと急に不安になった。
私はカフェでの出来事について自問自答してみた。
ノートに書きだしてみた。
なんで断れないのか? 断るのが恥ずかしいから。
なんで恥ずかしいのか? メニューを見ただけで立ち去るのはカッコ悪いから。
なんでカッコ悪いと思うのか? 店員さんに変に思われそうだから。
なんで変に思われると思うのか? 自意識が過剰だから……。
問いを繰り返しているうちにはっとした。
断れないのは、気が弱いからではなく自意識過剰で見栄っ張りだからだ。
私はつい他人の目を気にしてしまう。
でも「私」が気にしているだけで、店員さんは実はそんなに気にしていないのかもしれない。
こんなちっぽけなことで悩んでいる自分に笑えてきた。
ここからこんな事も考えた。
「NO」と言えることは投資である。
断ることさえできれば、自分の自由な時間が増える。無駄な出費が減るからお金だって増える。
自分の本当にやりたいことに時間もお金も使えるようになる―――。
そう思うと気持ちが楽になるし、わくわくしてくる。
断ることは恥ずかしいこと、悪いことだと思っていた。
しかし、断ることは長い目で見たら実は良いことである。
この投資は今この瞬間から、無料で始めることが出来る。
「やっぱり結構です」そのたった一言を、勇気を持って言うだけだ。
それだけで自分の時間もお金も増やすことができるとするならば、ローリスク・ハイリターンな投資ではないだろうか。
私たちは小さなことから大きなことまで毎日選択しながら生きている。
時には選択の余地もない場合もあるが、自分の意思で選択できることも実は数多くあるのではないだろうか。食べるもの一つはちっぽけなことかもしれない。しかし、日常は小さな選択の積み重ねでできている。その時、「選ぶこと」も重要だが、「断ること」も同じくらい重要である。
今、自分に必要でないものを断ることができれば、その分本当にやりたいことや欲しいものにお金と時間を回すことができる。
「NO」と言えることは投資である。断るのが苦手で、くよくよ悩んでいた私が学んだ教訓である。100%「NO」と言えるようになったわけではないが、以前よりずいぶん気持ちが楽になった。もし同じような悩みを持っている人がいれば、声を大にして伝えたい。
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