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人生の課題に腰を落ちつけて取り組む方法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ブロムベリひろみ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「逃げてばかりの人生でした」
 
つらいこと、いやなこと、耐えられないことから逃げる。コツコツ努力なんてできない。苦節何十年なんて信じられない。与えられた役割を同じ場所でやり遂げることが私に与えられた使命だとは思えない。
 
壁にぶち当たる度に私がとっていた行動「逃げる」は、どうやらこういう心理に裏付けられていたようです。私はこれまでに5回、転職しています。
 
でも、自分ではまったく逃げているつもりはありませんでした。最近の退職のお知らせによく書いてあるように「さらにチャレンジングな課題に取り組むために」次へと進むのであって、逃げるだなんて、そんな卑怯な臆病な恥ずかしい行為とはさらさら関係ないのよ、と思って、いや思い込もうとしていました。
 
自分が「逃げていた」と気づいたのは、実は初めて転職したときです。
 
転職先はアメリカに本社がある外資系企業。私は帰国子女でもなく、留学経験もないのですが旅行好きのおかげで英語が少しでき、新卒で入社した元の会社でも顧客として外資系企業を担当していました。その流れで次の仕事も決まったようなものです。英語をどっぷり使う環境は自分から望んだものであって、まったく後ろ向きな選択肢じゃない、はずでした。
 
転職してみると超日本ドメスティックな会社で外資系企業を担当するのと、外資系企業の中で働くということの間には、本当にびっくりするほどの差がありました。日本企業の中で必要とされる程度の英語はできていたかもしれませんが、そのレベルでは次の職場ではまったく役に立ちません。
 
英語で仕事ができるから採用されたはずなのに、英語を勉強するために仕事をするような日々になりました。でも、それだけ勉強しても毎日のコミュニケーションを完璧にすることはできない。そしてそのうち、私の英語はとりあえず伝える必要のあることを伝えることを重視するものへとシフトしていきました。
 
そして気がついたのが、「そうか、私はこれをやりたくなくて前の会社を逃げたけど、逃げた先でやらないといけない状況が待っていたということなのか!」ということ。
 
前職で、自分の壁であり超えなくてはいけない課題であるとなんとなく理解しながら避けようとしていた、文法とか美しさとかを考えないでとりあえず間違っていてもいいからどんどん英語でコミュニケーションする勇気を持つこと、が新しい職場で私を待ちうけていた人生の課題のようでした。
 
「これをクリアするまではあなたはこれ以上先には進めません。以前、もう、いやだー! ってほっぽって逃げたでしょ。だから今しっかりやるのよ」といわんばかりに。そして恥ずかしがらずに批評を恐れずにボロボロの英語で話し始めたことで、そのあと開けた道の多かったこと。
 
それからは、自分が逃げた時には気がついていなくても、あとでみっちりひとつの課題と腰を落ちつけて取りくむ必要がでてきた時に、「ああ、私はあの時これから逃げだしたんだ!」と気がつくことが増えました。
 
例えば、私は今、スウェーデンのニュースから毎日一つ選んで日本語で紹介するブログを書いていますが、これは「スウェーデン語の文章を読むことを習慣にする」、「仕事以外の文章を日本語で書く」、「毎日なにかを継続する」ことから、なんやかんやと取り繕くった理由をつけて逃げてきたことに起因すると考えています。
 
逃げている事実を自分にもカモフラージュするために、それぞれの課題には「文章を読むことに時間を割くなら日本語を読みたい」、「文章を書くより今はポッドキャストや動画では?」、「続けることに意味はなく、大切なのは質では?」というようなもっともらしい理由をつけて避けてきたのです。
 
でも、だれがどこで決めているのかは知りませんが、人生の中でそれを解決してから先に進むべきとなっている課題からは一時的には逃げることができても、課題はきっとその先どこかのタイミングで自分をもう一度待ち構えてくれています。
 
そして、私の気づいたこの法則が仮に他の人にも当てはまるのなら、壁にぶち当たっている時には打開策の一つとして、確信犯的に「逃げる」ことを選択するのもいいかもしれません。
 
この苦境から逃げるなんてそんな卑怯なことはできない、と息苦しい状況でも頑張っている人は「逃げることは近づくこと」と割り切って行動する手もありではないでしょうか? そして、逃げっぱなしにさせてくれるほど人生は甘くない。一時は尻尾を巻いて逃げても、きっとちゃんと後から、時にはすっかり忘れて落ち着いた頃に「そろそろ落とし前つけてみようか?」と、課題はどこかで待ち伏せしてくれているはずです。
 
さて、逃げる際には逃げているというはっきりとした自覚はないことの方が多い私ですが、ひとつだけ明らかに「逃げた……」と最初から自分でも思っているのが、もう20年以上もヨーロッパで暮らしていること。
 
スウェーデン人の夫と一緒に暮らすという大義名分はあるものの、ことこれに関しては「ヨーロッパに住むこと=日本社会や職場の窮屈さから逃げたこと」なのは、自分が一番よくわかっています。
 
そしてこの逃げた行為の一番の宿題がなんであるのか、実は私はまだわかっていません。もうすぐ「え、これだったか、私の課題!」って、びっくりするような形で姿をあらわしそうな気がしています。この課題に関してはかなり長い間逃げ続けているので、きっと難易度も高く、克服の痛みも大きいに決まっています。でも「さて、どういう形で落とし前つけるのかな、私?」と、少しドキドキ・ワクワクしながらその出現を待っています。
 
 
 
 
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2019-07-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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