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メディアグランプリ

ひどい雨降りだったからこそ……。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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松尾美紀(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
しまった!
もう10分早く出るべきだった。
 
毎週木曜日は恒例となった、うちの13歳になったワンコの病院通院日である。
 
その日はひどい雨降りだった。
いつも30分あれば行けるからと、予約時間の35分前に出発した。
通勤時間から少し時間がずれてはいるが、営業車などが走っている時間帯である。
主要な国道21号と県道1号を通るルートだから、それなりの交通量だ。
しかし運転に慣れた人が多い時間帯なので、スムーズに走ることができる。
ところがその日は違っていた。
少し先で左折するからと、3車線ある左の車線にいたら、突然ピタリと動かなくなった。
数台前の車のハザートランプが点灯しているのが見えた。
(この交通量の多い国道21号で何事?!)
と思ったが、さほどではないだろうと、車線変更することなく、そのまま待機した。
少し動くも、動きはゆるやかだ。
原因がわからないまま、左折する交差点までゆるゆると進んだ。
この時点ではまだ間に合うと思っていた。
ところが左折してからは、全ての車線がいつもより遅めのスピードで走っている。
(県道1号で何が起こった?!)
と思いつつ、流れに添いつつ、ふと前に目をやると……。
パトカーがいた。
県道1号の制限速度は50キロである。
50キロ遵守で走るのは当たり前だが、パトカーを意識するあまりか、それともひどい雨降りだからか、40キロほどでゆるゆると走行する車もありで、軽めの渋滞を生んでいた。
この時点で予約の時間に間に合わないことが確定した。
焦ったところで、早く着く訳でもないし、のんびりかまえましょうと気持ちを切り替える。
 
ワタシの車はマニュアルトランスミッション(MT)車なので、軽めとは言え、渋滞に引っかかると、少しばかり動きが多くなるため、足が疲れるのだが、仕方あるまい。
 
免許をとって以来、メインカーは、ほぼMT車だ。
8台中、オートマチックトランスミッション(AT)車は2台。
 
ずっと前から、MT車に乗れなくなったら、免許証を返納すると決めている。
 
クラッチが重いと感じたら、足腰が弱っている証拠である。
クラッチを踏んで、ギアを変えて、クラッチを離しつつ、アクセルを踏み込む。
この動作がスムーズにできなくなったら、運動神経および判断力が鈍っている証拠である。
坂道発進は、いまどきのMT車にも坂道発進サポートシステムなるものが搭載されており、下がることはなく、焦る必要はない。
ただしワタシが現在乗っているMT車には、そんなステキなシステムは付いていない。
 
MT車がどんどん販売されなくなり、自動運転が注目を集める今、周囲から
「MT車に乗るのはなぜ?」
と問われることは多い。
 
車の運転が好きで、特にMT車の運転が好きなだけなのだが……。
 
MT車なら、最近よく耳にするアクセルとブレーキの踏み間違え事故は起こりえないのでは?
MT車なら、スマホを見ながらの運転は不可能だから、それに関する事故も起こりえないのでは?
 
と考えるようになった。
 
面倒と思える作業があるからこそである。
 
でもMT車に戻れとは思わない。
公共の交通機関が少ない地方に住むものにとって、車は必需品である。
気軽に乗れる方が良い。
ただ車は、凶器にもなりえるってことだけは忘れないでほしい。
 
今の車を買う前の2年間、とある事故が原因で新しい車には乗れなかった。
 
それは6年半乗った車を手放して、新車納車後10日目のことだった。
青信号を左折してすぐ、ドゴッ!! と衝撃があったと思ったら、運転席真横に車が突っ込んでいた。
信号待ちで並んでいる車の間を抜けてきたのだ。
直後、何が起こったのか理解できなかった。
運転席と後部座席のドアが凹み、運転席から出ることが出来ず、助手席から出て、状況を確認する。
運よく、両車のスピードがゆっくりだったのと、運転席を少しずれていたこと、そしてこちらの車が頑丈だったことで、大きな事故にはならなかった。
保険会社的には9対1の事故だが、私的には10対0。
それほど起こりえない事故だった。
事故車はディーラーに引き取ってもらった。
 
私は、この事故以降、左右から出てくる車に神経質になっていた。
新しい車に食指が動くこともなかった。
 
誰にでも交通事故を起こす可能性はある。
いくら気をつけていてもだ。
車は魔法の道具ではない。
たとえ自動運転が発達しようとも、最後の判断は人間のはずだ。
だからこそ判断力や運動神経が鈍ったら、運転することについて、よくよく考えてほしい。
しかし公共交通機関が乏しい地方においては、免許証返納を渋るのも、理解できる。
免許証返納を渋らずにできるような、地方社会を望みたいし、そういう地方社会にしていけるよう働きかけられればと思っている。
 
そんなことを考えて運転していたら、動物病院に予約の5分遅れで到着した。
 
さあ行こう。
今日は抗ガン剤のお注射だね。
 
 
 
 
***
 
 
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2019-07-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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