人生最後のダイエットスタート！
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記事:佐藤薫（ライティング・ゼミ平日コース）
「めちゃくちゃ痩せたね」 女友達からは賞賛の嵐。
「だけど、前は太りすぎだったもんね」男性からは、痩せたから言えた真実の声。
2カ月で10キロのダイエットに成功した私は久しぶりに会った友達からの「やせたね」という声に有頂天になっていた。
ＣＭでよく見る某ダイエットジムではないが、食事指導と週に数回のトレーニングによって2カ月間で10キロ痩せることに成功したのだ。
食事と運動を管理してもらうこのダイエットは全てスマホを通して行われるオンラインのパーソナルジム。食事は糖質制限で食べたものを写真に撮って送れば管理栄養士さんが糖質を計算してくれる。
運動はスマホのカメラを通してヨガやボクササイズ、筋トレを一対一で行ってくれる。
この仕組みはかなり良くできていて、担当してくれる管理栄養士さんからの励ましもあって順調に体重は減っていった。
そして目標体重が10キロだったのでこのスマホのパーソナルジムは無事に卒業した。
ところが……
ダイエットをやめた後、クリスマス、お正月が過ぎて体重を計ってみたら、なんと元の体重に戻ってしまっていたのだ。
2カ月で10キロ減った体重が、今度は2週間で10キロも増えてもとに戻ったのだ。まるでお餅のように、風船のように膨らんでしまった身体。
2カ月間のダイエット中は毎朝、決まった時間に体重計に乗って体重を計っていたのだが、
終わったとたんに体重計に乗るのをやめてしまって気づいた時には手おくれの状態になってしまっていた。
もう、がっかりというか、「なんで？」という思いでいっぱい。
後でわかったことだか、糖質制限をしていると普段より糖を吸収しやすくなるそうで炭水化物などの糖を摂ると太りやすいそうだ。クリスマスにケーキ、お正月にお餅といきなり糖をたくさんとった私はあっという間に太ってしまった。人間は現状維持の本能であるホメオスタシスの機能があるので急激に痩せた身体をもとに戻してしまう。いわゆるリバウンドなのですが、その仕組みを後から知った私は人間の体のすごさに驚いてしまった。
もう、「あーあ」という一言しかない。
その後、何度も自力でダイエットを試みては失敗続き。あの2カ月のダイエットはどうして成功したのだろうか。やはり管理されていたことが大きいのかもしれない。
誰かに自分の体重や食べたものを見られているという緊張感によってダイエットが成功する。
管理が外れたら食欲をコントールできない自分。
「違うでしょー」という心の声がした。
そんな時、単身赴任中の主人が「一人暮らしになって10キロやせた」と言いだした。
主人は1年前から単身赴任で週末だけ帰ってくる。普段の食事は外食かコンビニのお弁当。
これだけ聞くと太りそうなのに80キロだった体重が70キロになったという。毎週末、目に見えて痩せて帰ってくる。
「なんで痩せたの？」という私
「なんでかわからないけど、外で食べるかコンビニ弁当を食べる以外は何も食べてないから」
なるほど、単身赴任をした旦那の家にはレンジも冷蔵庫がない。コンビニがすぐ近くにあるから必要ないと本人が言ったからだがこれがダイエットに良かったみたい。
今まで家で冷蔵庫を開ければお酒、食べ物やお菓子がたくさんあったのに、必要なものしか買わない生活によって痩せたようだ。
それ以前に、家に居たときは全く何もしなかった主人が人生初の一人暮らしをすることで、自分のものだけとはいえ、洗濯や掃除などの身の回りをやることを覚えた。
食事は全く作れないけれど、几帳面な主人の生活は家族と暮らしていた時とは一変。週末、家に帰ってくる前に必ず1週間分の洗濯をコインランドリーでして、布団を干して、掃除機をかけてから帰ってくる。
ダイエットしようと思っていないのに勝手に痩せたという主人に怒りを覚えながら、自分の生活について考えてみた。
ただ、痩せたい、痩せたいと思ってもダイエットは成功しないのかもしれない。ダイエットとは人生なのかもという思いが湧いてきた。生活全般が整って気持ちの面でも安定していないと結局は失敗してしまうのがダイエット。
そのことに気づいた私は人生最後のダイエットをスタートした。人に管理してもらわないと痩せない方法はやらない。生活を整えて、身の回りをスッキリさせた。方法だけにとらわれず、ストレスをためずに精神も穏やかに。すぐに痩せることを目標にしないで、長期的に考える。
ダイエットは人生そのものだから。
そう考えたら、不思議なことに自然と痩せてきた。もちろん、無理のない程度の運動もやって、きちんと食事もとる。気になっていたおなかの脂肪も取れて自転車も楽にこげる。
もう、誰かの称賛はいらない。ただただ、淡々と生活をしていこう。そうすれば、本当のホメオスタシス効果で本来の自分の姿に戻れるかもしれない。
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