メディアグランプリ

建築士と私が、白いノートに書く物は


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:てぃーこ(ライティング・ゼミ夏休み集中コース)
 
 
私は焦っていた。
時間が迫って来ている。内容に自信があるわけでもない。
久しぶりに開いたノートパソコンに、間に合ってくれと願いながら文字を打ち込んだ。
 
 
私は、天狼院書店の「ライティング・ゼミ夏休み集中コース」を受講している。
このゼミの存在は以前から知っていた。受講してみたいと思った事もある。
 
 
受講しなかったのは、知ってしまうのが怖かったからだ。
 
 
昔から書く事が好きだった。
得意だと思った事はなかったが、SNSでの投稿や感謝の気持ちを伝える手紙など、書く事を率先してやって来た方だと思う。
SNSの投稿を褒められるのも、手書きの手紙に感動してもらえることも嬉しかった。書く為の原動力だった。
 
 
ライティング・ゼミを受ける決意をし、福岡天狼院書店を訪れた際、8月開講の通常通りの4カ月コースを勧められた。
9日間仕事は全て休みだが、予定がちょこちょこ入っている。でも、課題提出は毎日頑張りたい、という私の甘い考えを一蹴するアドバイスだったのだろうと、1回目の課題を終えた今、身に染みて感じている。
 
 
今後の課題はどうしよう……と、考えながら、私はただひたすら書いていた。
 
 

今の私は、書く事に関して何者でもない。
仕事で使う為にライティングを学びに来たという人が羨ましいし、書くことを仕事にしている人はもっともっと羨ましい。
与えられた「自由」というテーマでも、枠組みがあるのとないのとでは意味合いが違って来る。
何者でもない私にとって、「自由」とは「無」に近かった。
 
 
無から有を生み出す。
 
 

書きたい事って何だろう?  私が表現したい事って何?
ノートに思いついた言葉を書き出した。
あれも違う、これも違う……
書き殴って読みにくくなったノートを見て、私はふと気が付いた。
こんなにも「書くこと」に向き合ったのは初めてじゃないか。
私、楽しいかもしれない。
 
 
思考を全て文字にすると、自分の考えていることの軸が見えてくる。
何かを伝えるには想いや目的があって、それに合う言葉を一つずつ組み立てて行く。
デザイナーズマンションを買った友人の家を訪れた際に教えてくれた、デザイナーのこだわりはそれに似ていた。
自然光を取り入れられる大きな窓、コンクリート打ちっ放しのお洒落な外観、高い天井から吊るされた照明、そして自生していた植物を活かした庭。
 
 
たくさんのこだわりが詰まったその家は、デザイナーの想いが形になり、住む人を幸せにしていた。
私は、私のこだわりを文の中に施して良いんだ。
何について書こうか。どういう目的で書こう。
段差のないバリアフリーだとか、ペットと住むだとか、リフォームのように、テーマが明確な方が書きやすいとは思う。
でも、今は何もない私だからこそ伝えられる想いが必ずあるはずだ。
言葉やリズム、想いを乗せて、私も「誰か」に届けたい。
 
 
何になりたいのか、何をしたいのか分からないまま大人になり、分からないことさえ忘れている大人は私だけではないだろう。
でも、私は今こうやってパソコンを前にして文字を打っている。
何者でもない私は、ライティングを学ぼうと決意した。
どう活かせるのかは、今は分からないし、目標や目的があるわけでもない。
 
 
でも、書く楽しさを知ってしまった私は、書かない過去にはもう戻れない。
 
 
インターネットが一般的になってから、文字だけでなく動画や音で届けられる時代になった。でも、書くことは消えたりしない。
スピードを求められる時代だからこそ、伝わるのに時間のかかる言葉の重みは増して行くのではないだろうか。
 
 
このインターネット時代に私も乗っかって、言葉で伝えられる幸せを、言葉を残せる幸せを発信したい。
今日も、課題提出の時間が迫って来た。取り掛かるのは遅くはなかったはずだ。
小学生の頃から、夏休みの宿題はいつも最終日に追われていた。完璧に計画通り宿題を終わらせられる兄弟を疑問に思いつつも、青い空の下、私は夏休みを精一杯楽しんで来た。
変わらないなぁと、飽きれながらも、もう一度学びをやり直せているワクワク感がある。宿題に追われるのは、私にとって愛嬌みたいなものだ。
明日の朝は、小学生に交じってラジオ体操から始めてみようかな、なんて頭をチラっとよぎったが、きっと朝は起きられないだろう。
 
 
ぐしゃぐしゃに乱れた文字が並ぶページをめくり、真っ白なページを開く。
 
 

また白紙と向き合う時間がスタートだ。

 
 
 
 
***

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2019-08-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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