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「凪のお暇」を見て、HSPが生きやすくなる方法を考えてみた


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:高山 聖子(ライティング・ゼミ夏休み集中コース)
 
 
自分の気持ちより、周りの人の気持ちに合わせて行動してしまう。
周囲の空気を読みすぎるあまり、いつも呼吸が苦しくて、あげくの果てに恋人が放った裏切りの言葉を聞いて、息ができなくなって倒れてしまう。
 
 
そんな繊細な女の子、凪(なぎ)を主人公にしたのが現在放映中のドラマ「凪のお暇(なぎのおいとま)」だ。
夜のオフィスで倒れた凪は、家も仕事も家具も捨てて、ぼろアパートに一人引っ越す。
そのアパートを舞台に、いろいろな人との出会いが始まる……といったストーリーが展開されている。
 
 
放映後のTwitterは、凪の元彼を演じる高橋一生派と、新しい恋人を演じる中村倫也派、さらにどっちも選べない派のコメントで、大盛り上がりだ。
何を隠そうこの私も、魅力的な二人の男性陣を前に、年がいもなく一生と倫也の間で揺れ動いている。
 
 
しかし、このドラマの魅力は、単純な三角関係の物語ではないところにある。
ドラマの冒頭、職場で同僚の思惑や気持ちを察し過ぎてしまう凪を見て、「もしかして、凪はHSPじゃないかな?」と感じ、このドラマが一筋縄ではいかないことを感じた。
 
 
「HSP」とは、「ハイリー・センシティブ・パーソン」の略で、エレイン・N・アーロン博士が考案した言葉だ。
生まれつき普通の人より敏感に周囲の刺激に反応してしまったり、他人の感情を感じ取ってしまったりする人たち、共感能力が高い人たちのことを言う。
ちなみに、空気を読むのが美徳とされる日本人は、ほかの国よりHSPの割合が高いそうだ。
 
 
「HSPって何? よく分からない」と言う方は、サバンナのシマウマを想像してもらいたい。
のんびりと草を食べているシマウマの群れ。
そこに、お腹を空かせたライオンが近寄ってきた。
あわや危機一髪!
 
 
その瞬間、真っ先に危険を察知して仲間に知らせる一頭のシマウマ。
おかげで、群れは無事にライオンから逃げることができた。
 
 
「その敏感なシマウマ、めっちゃ有能やん!」
みんなそう思うだろう。
しかし、それが人間の場合はちょっと違う。
 
 
群れを守るために、ほかの個体より刺激に敏感に反応するという、生物としてはとても大切な気質が、現代を生きる人間としては少々やっかいなのだ。
 
 
学生時代、先生に怒られるクラスメートの気持ちを感じ取ってしまって、怒られている当人より、自分の方がつらくなって胃が痛くなったり。
職場では、イライラしている上司の気持ちがビリビリ伝わって、帰宅後に寝込んでしまったり。
この記事を読んでくれている人の中にも、思い当たる人はきっといると思う。
 
 
実は私も、子どもの頃からこの気質があったのだろう、ずっと胃薬のお世話になってきた。
 
 
他人の気持ちが分かるとは言わないが、場の雰囲気を読み過ぎてしまうし、怒っている人の近くにはいられないし、グループ内のメッセンジャーのやり取りから、機嫌が悪い人は誰かといったことや、誰と誰が仲が悪くなりつつあるのかということが伝わってきてしまうのだ。
 
 
そういえば昔、仕事で何回か訪問した会社の担当者さんに、「私、ずっと隠してたんですけど、同僚の○○さんと結婚することになりました」と言われた時には本当に驚いた。
なぜなら、二人が付き合っていたことは、とっくに分かっていたからだ。
 
 
こんな敏感な気質、凪じゃなくても生きづらいよね。
 
 
でも、こんな気質の私だが、今はいたってずぶとく生きている。
最近では、人の気持ちの変化に全く気が付かないことも多くなってきた。
 
 
肩の力を抜いて、共感能力をオフにする方法を見付けたからだ。
それは、おおらかな人と交流したり、その行動をまねたりすること。
 
 
私の場合、夫がそのターゲットだ。
夫は「この人大丈夫かな?」と思うほど、周りの空気を読まない。
 
 
そしていつもにこやか。うらやましいほどだ。
 
 
結婚生活30年、夫の気楽さがうらやましくて無意識にまねをしていたのだが、気が付いたら私もお気楽人間になっていた。
小さな積み重ねが、私の「鈍感力」を培ってくれたのだ。
 
 
そして最近、私の友人には、いい意味でおおらかな人が多いことに気が付いた。
 
 

このラッキーな環境を生かさない手はない。
それからは、積極的におおらかな友人の行動をまねることにした。
サークル活動で「あの人、今ちょっとイラッとしたな」と気が付いても、おおらかな友人の口癖「まあ、いいか~」を呪文のように唱えるのだ。
 
 
「あの人にこんなこと言っちゃったけど、気にしてないかな?」と思っても、「まあ、いいか~」。
これだ。これなのだ。
この口癖を言い続けたおかげで、自分の性格も変化してきたように思う。
 
 
以前、何かの番組で、脳科学者の中野信子さんがこんなことを言っていた。
「運がいい人の振る舞いをまねすると、運が良くなります」
運がいい人の行動をまねすると、同じ思考パターン、行動パターンになって、それが運を良くすることにつながるらしいのだ。
 
 
これを聞いて、「私のやっていた方法は間違いではなかった!」と、自信を持った。
運がいい人のまねをすると運が良くなるなら、おおらかな人のまねをするとおおらかになっても不思議はないはず。
 
 
今日もテレビの前で、主人公の凪に語りかける。
「凪ちゃん、一生と倫也で迷ったら、おおらかな方を選ぶといいよ」と。
 
 
それともう一つ。
楽に生きられるようになる方法が実はある。
それは、年齢を重ねること。
 
 
若い頃はあれこれ悩むものだが、年を取ると段々どうでもよくなってくる。
細かいことも覚えていられなくなる。
周りの目が気にならなくなって、自然に肩の力が抜けてしまう。
 
 
鈍感力ならぬ、おばちゃん力だ。
 
 
それが、実に心地いいのだ。

 
 
 
 
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2019-08-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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