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メディアグランプリ

この世の中は素敵な企みで満ちている!


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:延原恒平(ライティング・ゼミ 平日コース)
 
 
「あっ、またやってしまった!」
どうしても慣れないことがある。それは、エスカレーターを乗る時の乗り方だ!
大阪と福岡を往復する単身赴任の生活をはじめて、3年目を迎えるが、大阪と福岡でのエスカレーターにおける、立ち止まって乗る時の乗り方が違うのだ。
 
大阪は、右側に立ち止まる「右立ち」
福岡は、左側に立ち止まる「左立ち」
 
なんでも、全国的な乗り方は「左立ち」が主流であり、大阪をはじめとする関西圏だけが「右立ち」のようである。大阪出身の私としては、戸惑いが生まれる原因がここにある。
特に、大阪と福岡を往復する頻度が多い時ほど、「あれ、どっちだったっけ?」と困惑する。
その土地のみんなが、正しいと思う乗り方に対し、自分だけが違う乗り方をしていると、「大人になって、マナーも知らないのか!」とばかりに、周囲から怪訝な顔で、視線を浴びる。
こうした時、人間、一度染み込んだ習慣は、なかなか修正しようにも抜けだせないものだと、自分に少し嫌気が差す時がある。
 
また、別の日に、姪と街歩きをしていると、ふと、姪から、こんな質問を受けた。
「なんで、ここだけ、色が違うの?」と道路を指差し、交差点付近のアスファルトが黒色ではなく、赤茶色になっている箇所に対しての疑問を投げかけられた。
「それはね、交差点付近では、人が飛び出してくる可能性があるから、ドライバーにここは危険だよと注意喚起を促すように、色が違うんだよ!」と、当たり前のように、告げた。
 
すると、その言葉を発した後、ある疑問が自分の頭の中を過った。
「普段、自分では、全く意識はしていなかったけど、エスカレーターの乗り方も交差点の注意喚起も、ひょっとしたら、これら二つの共通点って、誰かが企みを考えて、みんなが、知らないうちに乗せられているだけかもしれない!」
そう考えると、面白くなり、このような事例が他にはないかどうか調べてみることにした。
 
「あった!」
「これ、面白い!」と思った事例は、アムステルダムのスキポール空港の事例だった。
この空港では、男子トイレにおける、床の清掃費が高く、少し困っていた。
そこで思いついたのが、「小便器の内側に一匹のハエの絵を描く」というアイデアであった。何でも床の清掃費が高くつく原因は、小便器から飛び散った粗相であり、その原因を解決する上で、小便器の内に、ハエの絵を描くことで、利用者は、そのハエを狙って用を足すこととなり、粗相が劇的に改善されて、なんと清掃費が8割も減少したのである!
 
このような、人間の心理的な傾向を利用し、強制ではなく、自発的に望ましい行動を選ぶように促す企みを「ナッジ(ひじで軽く突く)」というらしい。
 
「ナッジって、面白い!」と思い、
どうやったら、ナッジができるのかなぁと思って、参考事例を探してみることにした。
 
すると、どうだろう、面白い事例を発見した!
それは、臓器移植の事例であった。
臓器提供希望者を国別にみると、30%にも満たない国がある一方で、90%近い国もある。
 
「この差は何?」
 
なんと、この差の原因は、臓器提供希望者の意思表示カードが違う点にあったのである!
臓器提供希望者が少ない国の意思表示カードは、「臓器提供を希望する」人が、わざわざチェックを入れなければならない。一方で、
臓器提供希望者が多い国の意思表示カードは、「臓器提供を希望しない」人が、わざわざチェックを入れなければならないのである!
 
「そう、デフォルト(あらかじめ設定されている標準の状態)が違うのである!」
 
このナッジを使って、自分のデフォルトを変える実験にチャレンジをしてみることにした。
実験内容はこうである。普段、何かうまくいかない時に、「しまった!」と思うことが、度々あるのだが、そんな時の口癖のデフォルトを「よっしゃ、ラッキー!」に変更してみた。
 
万事、全てがうまくいくわけではなかったが、デフォルトの口癖を変えることで、一時は、感情に流される側面がある、不運と思っていた出来事も、「なんで、これがラッキーなの?」と、その出来事に対するポジティブな側面を探すようになったのである。
ほんの些細なことではあるが、口癖の変更によって、行動が変わったのである!
 
この実験を通して、感じたことは、
「注意しないと、人は、無意識的なオートパイロットのような状態で、日々を過ごし、誰かの企みに、ついつい、気軽に乗っかってしまう!」
でも、「この無意識のデフォルトを、ポジティブな行動として、ナッジとして活用すれば、みんなの暮らしが、きっと、素敵な行動で満ちてくるんじゃないか!」と思った。
 
実際、公共政策として、既に医療・環境分野でのナッジの導入事例が存在しているらしい。
でも、そのような大掛かりな誰かの手法を待ち望むだけでなく、自分が望む毎日に向けて、
 
「自分らしい生活ができるように、家の模様替えをする」
「朝、職場で出会う人に、今まで見せたことがない笑顔で挨拶する」
 
といった、自分の半径2mの範囲から、誰もが可能なデフォルトを変える、ナッジを企んでみてはどうだろうか?
そうすることで、きっと、周囲の人が気づかないうちに、社会を素敵に変えていけるのではないだろうか?

 
 
 
 
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2019-08-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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