アラフィフの小町
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【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:かおりん(ライティング・ゼミ日曜コース)
最近、人が、私をいないもののように扱う。
以前は違った。
例えば、すれ違いざまにぶつかりそうになったりしたとき、本心かどうかは別にしても、相手は大抵よけようとしてくれたり、多少の配慮のかけらを見せてくれるのが普通だった。
最近は違う。ぶつかりそうになったり、実際ぶつかっても、大層不愉快そうな様子をされるだけ。
以前は人は私を見ていた。最近、私は人の目にはいっていないらしい。ぶつかった人は自分のことしか見ていない。わたしのことなどまさに眼中にない。
くやしいことだが、年をとったぶん、多分女性として、あるいは人間としての魅力が減ったのだと思う。
そんなことが重なり、年をとったら若い時以上に、自分自身を上手に表現していくことが大切だと最近ことに思っている。
意識して表現しないと、私がいることに気づかれない。
また、新しいことをやろうとすると、ここ最近
「よくがんばりますね。」とか言われるようになってしまった。
言外にいい歳なのに、という言葉が聞こえる。
これもくやしいことだ。
よくがんばるって、普通にやっているだけなのに、と思う。
くやしまぎれに、あなたは、私より勝ってるんですかと、言いたくなる。しかし相手は一人ではなくて、世間一般常識である。一人に、たてついてみたところで無意味だ。
人生は歯医者の椅子に座っているようなものだ。
さあこれからが本番だ、と思っているうちに終わってしまう。(ビスマルク)
客観的、一般的には、タイムオーバーな感じなのかな。
でもわたしは、これからの自分の本番に期待したい。
そういえば母の場合は母の考える本番に間に合わなかったかもしれない。
もう10年以上も前になるが、母は胃がんで74歳で亡くなった
亡くなる前母は、娘の私から見るとすっかりおばあさんにみえたが、これからパソコンをマスターしてホームページを作ったりする仕事をするのだと言っていた。
そのように言いながら、車で青汁を訪問販売しながら、地域のチラシの後援者を取りに行くという完全歩合の営業をずっとやっていた。
わたしはその頃の母に、もうタイムオーバーだと思って、全く期待してなかった。
どうせタイムオーバーでも、もっと応援したり、協力してあげたりすればよかったと、今になって思う。
母は、残念ながら、自分のやりたいと言っていたことを試す間もなく亡くなってしまったが、
わたしは、まだ粘ってみるつもりだ。
それは、私のためだけではない。
わたしは、若いころ声楽を学び、一時は当時ついていた先生に、「世界で通用する。俺が言ってるんだから間違いない。」と言われたこともあった。確かにその先生の門下生で、世界レベルで評価された人がいたので、その言葉の信憑性が高いかもと期待した。あまりにうれしかったので、その言葉は、全然違う仕事についた時期を経て、今に至るまで、ずっとわたしの記憶の片隅に残っている。その言葉の記憶が、未だにわたしを励ましてくれることもある。
だからかどうかは自分でもわからないが、今年になって、今ごろ音楽ユニットを作った。
よく聞く話は、若いころバンドをやっていたけど、芽が出なくて諦めて、別の道にすすんだ、という類いのものだ。
しかし私の場合は、若いころやらずに、今ごろになって始めている。
今回のユニットでは、大学の同級生の作曲家を捕まえた。
ユニットで演奏する曲のアレンジを頼んだ。
その作曲家は、私からみると、要領が悪くて、まだそんなに売れているようには見えなかった。でもとてもやさしい気持ちの持ち主で、作曲する曲も気持ちと同じくらいやさしい。
宮澤賢治の「雨にも負けず」の詩を地で言っているような人だと思った。
昨日、その作曲家と、メッセンジャーでやり取りしていると、
人生で最後のチャンスだと思って(音楽ユニットでの活動を)頑張りたいと言っていた。
私が今ごろ始めた音楽ユニットは、自分でもはっきり意識しているわけではないが、自分の自己実現が目的だったかなと思う。
それが、私と同じくらい情熱を持って音楽ユニットに関わってくれると言ってくれるのは、最上級にうれしい。
音楽家は、音楽を通じて思いがひとつになることができる。また、なにより演奏するのを喜ぶ人種である。
でも、それだけではなく、作曲家が自分の人生のチャンスと思ってくれているということは、演奏者であるわたしの力もある程度、認めてくれているということだと思い、それがとてもうれしい。
信じて、期待してくれている人がいる。
昨日の作曲家からのメッセンジャーの言葉を、そのようなメッセージに翻訳した。
そして、私も、自分のためだけでなく、表現し、共に自己実現するために、できることを精一杯やろうと、感動レベルで心に誓った。
人生、完璧後半戦に入っているが、仲間と一緒に、世間の一般に抗ってみる。
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