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メディアグランプリ

ご飯を炊きながら、子どもを育てることについて考える。

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:香月祐美(ライティングゼミ・平日コース)
 
 
学校の夏休みも最終週
夏休みが終わる、ということは塾の夏期講習も終わるということだ。今週が夏期講習の最終週なのだ。
 
「学校の夏休みの宿題、どう?」
と、塾生たちに聞いてみる。
 
「全部終わったよ!」という子もいれば、
「まぁまぁ……」と言う子もいる。
 
「まぁまぁ……ヤバいの? それとも、まぁまぁ……大丈夫なの!?」
と、心配で思わず突っ込んでしまうと、苦笑いで返されてしまった。
 
そんな中、すっと私のそばにやってきた小学生の男子。
「夏休みの宿題、全然やってないって言われる。俺はやってるんだけど」
ちょっと困った顔で私にそう言ってきた。
確かに、まだ宿題が終わっていないのは知っている。先週見たときは、本人があまり好きではない算数が残っていた。
 
「誰に言われるの?」
私が言うと、
「家族みんなに言われる」
と。
本人の思うペースと親の期待するペースが違うのかもしれないな、と思う。
「今日は学校の宿題、塾に持ってきた?」
と聞くと、持ってきていないらしい。
残念だ。塾では宿題のフォローもしているからだ。
仕方なく私が準備した課題に取組んでもらうことにした。
 
夏休みの宿題は、学校によるけれど、休み期間が長い分、量が多い傾向がある。そうすると、どんなことが起こるか。
その男の子に限らず「苦手だな」と思っている教科ほど、後回しになってしまう。「明日からやろう、明日からで間に合う」と思っているうちに夏休みが終わってしまう。
 
やっと夏休みの宿題に取りかかりはじめたとしても、まだ問題がある。
苦手だなと思っている教科ほど、ペースが遅く時間がかかるのだ。なにせ、1学期に習ったことが範囲だ。忘れてしまっていることもある。
 
その様子を見ていると、親は心配になって
「早くやりなさい、全然できてないじゃない」
と言いはじめる。
 
子ども自身も、そんなの言われなくても分かっているし、あまり好きではないことに対して急かされるとストレスになる。そしてケンカになる。
 
私は、子ども達に勉強を教える立場だけど、常々思っていることがある。
好きではないこと、苦手なことに取組もうとしているだけでも、本来すごいことではないかと。
 
いやいや、すごいもなにも、子どもは学校に行くのが仕事みたいなものだから、習ったことはできて当たり前だ、と思うかもしれない。
それに、周りの子ができていて、自分の子ができなかったら不安になるでしょうと。
 
私は思うのだ。
もし、時間さえ無限にかけることができるなら、勉強だけでなく大抵のことができるようになるのではないかと。
ただ、時間は有限なのだ。
学校の勉強も、決められた時間数での学習が終わったら、次に行ってしまう。
 
学校での学習時間はみんな同じで限られているけれど、ひとり一人の習得ペースには差がある。
だから、子どもを育てるためには「待つ時間」が大切なのだと思う。
子どもが苦手だと思っていることほど、理解して定着するまで待つのだ。
 
待てないというのは、例えば、米を炊飯器に入れて、炊飯ボタンも押す前から
「もうできた? できてないじゃない、どうして?」
と言っているようなものだと思う。
あまりにもせっかちすぎなのだ。
 
お米を洗って水に浸して炊飯ボタンを押したら、炊きあがるまで待つだろう。
それを、グツグツ炊いているそばから、
「まだできないのかな?」
と炊飯器のフタを何度も開けて中の様子を確かめていたらどうなるだろう。
上手く炊けないのではなかろうか。
お米を炊飯器の中に準備したら、ボタンを押して待つのが一番だ。
 
子どももそうだ。
学んだことを自分の力でできるようになるまで待つのだ。
周りから見たら、遅いとか色々思うところはあるかもしれない。でも、
「まだできないの?」
と炊飯器のフタを何度も開けるようなことをする必要ない。
本当に困っているときでない限り、自分の力でできるまで待つのだ。人に教わるのと自分でやってみるのは大きく違う。知識を自分のものにするために、自分の力で繰り返しやることが必要だ。
 
炊飯器の種類によって、炊きあがる時間は違うだろう。鍋で炊くと更に違ってくる。
子どもによって学習のペースだったり、理解するまでの時間が違うのも似ていると思う。

炊飯器のフタを開けるようなことをせず、待っているとどうなるか。
子ども自身が、分からなかったり困っていることを伝えてくるようになる。
そうすると、問題が解決しやすくなる。
 
もしくは、何か困っていることがあるかどうかを聞いてみるのもいい。
何か分からないことがあるせいで、学習ペースが落ちていることもあるからだ。
理由が分かれば、一緒に解決できる。
 
炊飯器の予約ボタンを入れ忘れた朝、支度をしながら「まだかな、まだかな」とご飯が炊きあがるのを待つ間、おいしいご飯を炊くのと子どもを育てるのは似ているなぁと思うのである。
 
 
 
 
***
 
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2019-08-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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