メディアグランプリ

ムダ毛処理で知った人生の哲学


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記事:大村侑太郎(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
僕はムダ毛が多い。
濃すぎるわけじゃないけれど、多いか少ないかに分ければ間違いなく多い方だ。
しかし、それ故に人生の全てに通じる大哲学を発見することができた。
しかも一つではない。複数の様々な発見があった。
 
毛が濃くなり始めたのは中学生になってからだった。本当に嫌だった。
周りを見渡しても、自分くらいふさふさの男子は数えるくらいしかいなかった。
感受性の強い時期のことだ。本当に死にたくなるくらい悩んだ。
悩みに悩んだ末、頼ったのはたまたま家にあった通販のカタログだった。それには色々な脱毛グッズが載っていた。
今ならまず疑ってかかるが、当時はスマホどころかガラケーすらまだまだ普及していなかった。今のように、気になった商品の評判を簡単に調べるなんてできなかった。
それなりのお金をはたいていくつかの商品を試してみたが、期待していたような効果は得られなかった。
「僕は人より体毛の濃い不幸な人間だ」
当時は本気でそう思っていた。こんな身体に産んだ両親に当たり散らしもした。
 
思い返すと、落とし穴があった。
今ならわかる。毛が薄いと思っていた男子は何てことは無い。何らかのムダ毛処理をしていた。それも、「継続」して。そうでなければ、何百人と言う男子のほとんどがつるつるの肌であった当時の状況に説明がつかない。
僕はそのことに気が付かなかった。ひたすら即効性で、二度と生えなくなるような結果だけを求めていた。だが、当然ながら通販程度でそんな商品があるわけがない。僕は「継続」の必要性をまったく考えていなかった。
思春期の頃はかなり悩んだが、大人になると人前で肌をさらす機会がめっきり減ったためか、以前ほどムダ毛のことを悩まなくなった。
 
転機が訪れたのは最近のことだ。何気なくネットショッピングのサイトを見ていると、ブラジリアンワックスを塗り込んだ脱毛シートという商品を見つけた。使用方法は簡単、シートを張って何秒かしたら勢いよくはぎ取るだけ。
これは、今まで一度も試したことのない商品だった。
「ものは試しだ、やってみるか」
以前色々なグッズで苦い目を見たにもかかわらず、久しぶりなこともあって購入に悩みは無かった。
そして……結論を言えばこの商品は今までで一番効いた。面白いくらい毛が取れて抜いた箇所はつるつるになった。
値段が手ごろであることも嬉しい。嫌なことがあった日などにやると、シートをはがす作業に集中して嫌なことを忘れられる効果まで、少なくとも僕にはある。
勿論、面倒な点もある。それなりに時間はかかるし、処理した後は体がベタベタになるからベビーオイルでそれを落とさないといけない。
 
ある時、そろそろまた処理をするかと思った時にはっと気が付いた。
「ああ、そうか。何事も継続することが大事なのだ」と。
 
以前の僕は、ムダ毛のない体という「結果」ばかりを重視していた。だから、思うように結果が出なかった時は落ち込み、人生に絶望すらした。
だけど、結果以上に大事なものは「継続すること」と「過程を大事にする」ということだったのだ。それなくしては、何も手に入らない。
 
さらに、前述した男子は何らかのムダ毛処理をしていたという気付きも、今ムダ毛処理をしながら気付いたことだ。
きっと自分だけではなかったのだ、体毛に悩んでいたのは。多くの男子が同じような悩みを持っていた。別に自分は孤独じゃなかったのだと今は思う。
 
「継続すること」と「過程を大事にすること」は、人生にとって必要不可欠なことだ。仕事でも趣味でも、何かをやろうと思えばこの二つを抜きにはできない。
僕も含め、多くの人がなりたい自分や理想の自分になるためには継続した努力を続けるしかないのだ。
だけど今思う。それは決して嫌なことばかりではない。
 
「結果」を求めすぎると、それを得るために何が必要なのかを見落としてしまう。昔の僕がムダ毛処理の「継続」が必要だったことに気付かなかったように。
求めていた結果にたどり着けなかったら人は簡単に諦めるし、鬱憤を晴らすために他人に酷く当たり散らすこともできる。だけど、それは何も前に進めるような結果を生み出さない。
 
最後にもう一つの気付き。ムダ毛処理なんていうことからも、生きることに繋がるような気付きを得ることができる。きっと人生に役立つことって、普段気にも留めないよう部分にこそ潜んでるんだと思う。
本当にムダ毛処理には色々な哲学が入っていると今改めて思った。
 
 
 
 
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2019-09-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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