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メディアグランプリ

麗しのアメーラ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:長谷川せつ子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「やっぱり、アメーラでした。 ご名答‼」
 
初めて出会ったのは、デパ地下で、買い物をしていた時だった。
新宿、伊勢丹。
ここに来るのは、有機栽培の野菜がお目当てだ。
実に、魅力的な野菜がたくさんある。
 
やけにじっくり選んでいる人がいた。
そのコーナーの一角。
まあるい、真っ赤なその子たち。
箱で買ったら、結構なお値段なものが、小分けになって、お得に売られていた。
なかなか、決まらないようだった。
思わず、「それ、そんなに美味しいんですか?」 と、真剣な眼差しで吟味していた女性客に、声をかけて聞いてみた。
「えぇ、大好きなんです。うちは、こればっかり」
なんだか、そう言われると、買ってみたくなるものだ。
 
普通のトマトは、「桃太郎」が定番といったところだ。
「桃太郎」という名の品種で、値段は、大きさや時期にもよるが、1個100円前後とごく一般的なもの。市場に出回っているものは、多くがこれである。
それが、この「アメーラ」と書かれた、フルーツトマトの箱には、あろうことかウン千円と表記されている。(確か、3000円ほど。15個くらい入っていたかなぁ?)
フルーツトマトといったジャンルで括られ、フルーツというからには、甘い。
栽培方法が異なり、糖度8以上を総称していう。
小粒の、真っ赤な、お肌でいうと、張りのあるそのトマトは、「アメーラ」と名前を付けられて堂々と、陳列されていた。
しかも、その箱には、「高糖度」と言いきっている。
なんと強気な。
桃やスイカだって、「甘いですよ~」ぐらいなのに。糖度13とか15とか数値で示してあるだけなのに、だ。
「これは、買いだな」
その人に倣って、買ってみた。
箱ではなく、カップに5~6個入っている、リーズナブルな価格のほう。
早速、家へ帰って、切ってみた。
大きさからして、4等分が丁度いい。
姿、形が美しい。切られても、凛として佇んでいる。
「あぁ、麗しのアメーラさま」 といった感じだ。
切り口が、とても綺麗。
料理がオシャレに見える。
トマトの中の、タネやそのまわりのどろどろしたのが流れ出ることなく、ぎゅっと留まっている。
一切れ、口に運んでみる。
「あ、あまい!」
そして、「おいしい!」
しかも、しっかりトマトの味が濃い。
今まで、食べてこなかったなんて、なんともったいない時間を過ごしてきたのだろうと悔やんだ。
 
「アメーラさま」と呼びたくなるくらい素敵なネーミングだが、知るとびっくりするだろう。
静岡県で開発されたので、静岡弁の「~らー」を、「甘い」に付けて、
「甘えらー」 (あめえらー : 甘いだろー) という意味からだそうだ。
 
そんなことを知らなければ、「アメーラ」、どこか遠い異国の女性を思わせる。
容姿端麗。真っ赤な衣装を身に纏い、力強いステップを踏んで、「オーレッ‼」と最後はポーズを決めまくる。そう、フラメンコのダンサーみたいだ。
味にもパンチがある。なんとなくトマトですよ~といった普通のトマトとは別格の、酸味の中にも凝縮された濃い味のトマト、そして、力強い甘み。
もう最高傑作だ。
収穫時期によっても、酸味と甘みのバランスが多少変わるので、年間通して違いを味わうのも楽しみだ。
 
なぜ、高糖度なのか調べてみたら、極限まで灌水(水やり)を抑えた養育栽培で、通常の三分の一の大きさ故のようだ。
そして、栄養価も凝縮されていると来たら、もうとりこになる。
試しに、他のフルーツトマトも食べてみたが、皮が硬くて好みではなかった。
「アメーラ」は皮もそのまま、口の中に残るといった、違和感なく食べられる。
あれ以来、私の頭から「アメーラ」は離れない。
美味しくて、甘いトマト。ちょっと高い、でも大好き。
ちょっと贅沢に、オシャレしたい時、みたいな感じで「アメーラ」を買って食べる。
 
こんなに甘くて美味しい「アメーラ」を、間違えるはずがないのだ。
ある店で、カプレーゼを注文して供された、フルーツトマト。
「あ、甘い。これはもしや……」
食事が済んで、店員さんに尋ねてみる。
「美味しかったです。ちなみに、このフルーツトマトは、アメーラ?」
「え?なんですか、それ」と、店員さん。
 
知らないなんて、勿体ない。
 
会計を済ませて帰ろうとしたとき、先ほどの店員さんが、「アメーラでした、ご名答‼」
シェフに聞いてきたのだろう。
 
やっぱりね、これが一番おいしいと思ったもん。
シェフのそのチョイス、そちらこそ「ご名答‼」ですよね。
 
あの時の真剣に選んでいた様子が、伝播して「それ、そんなに美味しいの?」
「私も買ってみよう」に繋がった。
デパ地下の、八百屋さんの店先の、「アメーラ」は、みんなの家に招待されるのを待っている。
四つに切って、食卓に並べて、オリーブオイルと共に食べてみよう。
なんなら、モッツアレラチーズと塩、黒コショウも一緒に、カプレーゼで。
普通のトマト以上に、キレイに、オシャレな料理に見える。「アメーラ」ならではの佇まい故だ。
見えるだけではなく、当然、最高にうまい一品料理の出来上がり。
 
この夏の疲れを、抗酸化物質のリコピンがたっぷり入った、この「アメーラ」で回復しよう。
陳列されている「アメーラ」をみかけたら、それは、チャンスだ。
一度買って、食してみたら、忘れられなくなるでしょう。
 
そして疲れた脳の、糖分補給にも。
 
「アメーラ」
甘いよ‼
 
 
 
 
***
 
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2019-09-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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