メディアグランプリ

ほとばしる情熱をぶつけるんだ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:不破肇(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「春ですね。断然。その時の景色を見たときに涙が溢れるぐらい美しかったんです」
 
里山十帖オーナーで、自遊人編集長の岩佐十良さんは私の質問に笑顔で答えてくれた。
天狼院書店の旅部で大人の修学旅行に参加した際に、予想外にインタビューの機会を得た。
この旅行企画は1泊2日の旅の間に、15の講座を自分で選択して学ぶという趣旨の内容だった。私は天狼院書店店主の三浦さんが行う「1人出版社」という講座を受講した。
 
その講座の中に里山十帖のスタッフの方に、受講者全員で取材をするということコンテンツがあったが、当日に突然岩佐さんがいらっしゃり、取材をさせて頂くことになった。
 
里山十帖の、101号室という離れのロフトがある大きな部屋で講座を受けていた。
スタッフの山本海鈴さんが「そろそろ取材の時間が近づいて来たので確認して来ます」と部屋を出た。戻って来た表情が出て行く時と明らかに違う。少し緊張している様子で、「なんと岩佐さんが取材を受けて頂けるそうです」と言った。
店主の三浦さんは「わー、すご〜い!あり得ない!」と大きな声で喜びテンションが上がる。
三浦さんのテンションと山本さんの緊張具合から、何かすごいことが起こっているということは理解できた。
 
盛り上がりながら、質問事項を確認しいざインタビューが始まった。
 
そして私は、「365日の四季の中で、ここで一番好きな時期はいつか」という質問に答えて頂いたコメントが冒頭の言葉だった。
この季節に訪れると山々はまだ雪に覆われていて、その雪解け水が流れてくる。そして、ブナの木の葉っぱが鮮やかな緑でとても美しい。そして、ウグイスや野山の鳥たちのさえずりがとても心地良く、毎年涙が溢れるほど感動するとお話をして頂いた。
そして、この宿を経営すると決めたのもその季節、5月12日でしたと教えて頂いた。
 
身長は165cmぐらい、細身な岩佐さんだがその言葉を話されていらっしゃる時、エネルギーがワッと体から出て来たように感じ、思わず圧倒されてしまった。
 
そして、他の方のインタビューが続くがこの宿や自遊人に関するお話はどれも興味深く、このままずっとお話を伺いたいと思ってしまうぐらい楽しく魅力的であった。
 
里山十帖は、今や予約が取れない宿としてTVなどもメディアでも取り上げられるくらいになったが、創業時は南魚沼というマイナーな場所でどうやって経営をして行ったら良いのかとても不安だったと語られた。その不安を払拭して、今の成功があるのは岩佐さんの事業に掛ける思いなのだということが、実際に本人にお会いして直接お話を伺うことでとても良くわかった。
そして、岩佐さんの情熱に絆(ほだ)されて多くの人たちが集まってこの成功があるのだと感じた。
 
一方、この企画を主催した天狼院書店の三浦さんも岩佐さんに負けないくらい事業に対して情熱があると思う。
例えば、今回の旅部 大人の修学旅行の実施は困難を極めたのではないかと察する。
それは、宿泊場所となった里山十帖にて直近に、食中毒により複数の入院患者が出て営業停止命令が出ていたのだ。しかし、彼は事件発覚後すぐに、参加予定者に対して里山十帖が如何に素晴らしい場所なのか、そしてこの旅企画が如何に充実していて参加者のためになるのかを切々と説いた長文のメールを発信した。そして、恐らく彼は同行する社員に「この企画には社運が掛かっている」どうしても成功しなければならないと強く訴えたに違いないと思うのだ。なぜかと言えば、旅の間のスタッフの皆様の動きが半端なかったからだ。とにかく、サービスに徹するという姿勢、参加者を楽しませるという精神が随所に溢れ出ていた。
そして、もう一つ感じたことは、多分この里山十帖の企画は天狼院書店の事業から見れば大変で手間が掛かる上に、そうほど利益が出るような案件ではないと思う。だから、そのような事件があってリスクがある中で、無理して実施しなくても
「ご存知のように……」というインフォメーションさえあれば、中止にしても誰も文句を言う人も無かったはずである。そして、当然キャンセルも出たはずだ。そのような状況でも、宿にも迷惑を掛けず、スタッフを余分に連れていくなどして人数を、予約当初に合わせたはずだ。
なぜかと言うと、私が天狼院で知り合った方でも「妻がどうしても許してくれなかった」と言った理由で、キャンセルをした人を知っているからである。
私はと言うと、逆にそのような状況で「里山十帖」はどのように参加者を受け入れるのか、天狼院書店はどのようにこのピンチを乗り越えるのかということを実際に行ってこの目で見たかったと言う興味の方が上回り、と言うか私は、賞味期限が切れているものでもある程度は食べるし、海外の不衛生な屋台などに行ってもへっちゃらなので、その点は全く気にせず参加したのだが……
 
さて、今回の旅を終えて感じたことは、里山十帖という宿泊施設は素晴らしいし、岩佐さんの理念が随所にというか全部が理念のように思えるエンターテイメントな宿だった。料理も素晴らしかった。そして、露天風呂も恐らく私が過去に入った中で一番だったかもしれない。それだけ感動した。
しかし、それよりも強く心に残っていることは、オーナーが自ら私たちを迎えて頂いたこと、そして、サプライズで快く取材を受けて頂いたこと。そこで自らの施設に対する思いを語ることで、リスクを冒してまで参加者を連れて来た天狼院書店に対して、最大限のホスピタリーを持って迎えたこと。
そのサプライズの取材から伺えた経営者としての情熱に心を打たれた。この情熱が、従業員や関係者の心を動かし、伝染してお客様に伝わって、今までいくつもあったであろう経営危機を乗り越えて今に至るのだということを学ばせて頂いた。
また、三浦さんの元で一心不乱に参加者にサービスを提供する天狼院スタッフの皆様の姿を見て、感動してしまった。
だから、この2人の経営者に触れたことで私は何物にも代えがたい経営者の心意気という目に見えない宝物を頂いた。
 
里山十帖に泊まった朝、1人で夜明け前からずっとタイムラプス用に撮影を行った。
輝くような朝日は出なかったけれど、雲と光が共同作業をして、とても美しい光景を生み出していた。
今回の企画を実施して成功したことで岩佐さんと三浦さんの間にはきっと強い絆が生まれたに違いない。
そして、新しい何かが生まれるだろう。この美しい雲と太陽の光のマジックアワーのように。
 
 
 
 
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2019-09-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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