【NHKプロフェッショナル】「制度の狭間」で苦しむ人を支える地域福祉のスペシャリスト“CSW”勝部麗子氏
天狼院書店店主の三浦でございます。
知りませんでした、この番組を観るまでは。
CSWとはCommunity Social Workerの略で、生活保護などの様々な制度で救いきれない人々を救うことを仕事とする、地域福祉のスペシャリストのことだそうです。
地域のSOSに向き合うプロであるCSWは、ゴミ屋敷の住民や孤立老人などの問題と日々向き合います。
問題解決は、そう簡単ではない。
たとえば、ゴミ屋敷問題では、その家の住民に注意するだけでは済まない。
近所の人たちを上手く巻き込みながら、解決していきます。
ゴミ屋敷問題が起きたときのことです。
地域の住民とその当人たちとの話し合いの場が儲けられ、実際に片付けるという段になると、「困る」と苦情を言っていた人たちも、自然と手伝うようになります。
それまで、迷惑だとばかり思っていた人たちも、ゴミ屋敷の人と会話するようになります。
それが徐々にコミュニケーションに発展して、その人だけの問題ではなくて、地域全体の問題として捉えられるようになる。
おそらく、大昔は隣近所も顔が見えていて、そういった関係性が自然とできていたのでしょうけれども、特に都会においては、顔が見えない無数の人が犇めき合うように生きているので、中々、そうした繋がりを持つのが難しい。
コミュニティ・ソーシャルワーカー(CSW)のパイオニア、勝部麗子さんは大阪生まれ。
クラスで給食費も払えずに、いなくなったクラスメイトがいたことにショックを受けて、貧困の問題を知る。
当初は教師を目指したものの、22歳のときに、制度に守られない人々の中で働き、どうにかしなければならないと社会福祉協議会に入りました。
社協のモットーは「住民が主体となって地域の福祉を向上すること」。
ボランティアで人は集まるものの、現実として目の前の問題を解決することができないでいました。
転機となったのは、阪神淡路大震災でした。
そこで勝部さんは気づきました。
一番大事なのは地域で繋がっていることだと。
阪神淡路大震災を経て、地域の意識は確実に変わりました。
協力者が増えたのです。
けれども、簡単に問題を解決することができませんでした。
いろいろ研究を続けると、解決するための専門職が必要だとわかりました。
コミュニティ・ソーシャルワーカーの制度ができると、その第一号に就任。
彼女が挑む問題は、ゴミ屋敷や孤立老人だけではありません。
社会からドロップアウトした人の社会への再復帰の助けもします。
ある問題で自暴危機になってドロップアウトした鶴田さんという人が登場。
鶴田さんはこう言います。
「ここまで立ち直れたのは、常に気にかけてくれる人がいたから」
そうして、鶴田さんは、勝部さんからの留守番電話を取材陣に聞かせます。
「やっぱり、支援してくれるのがありがたいなと思って。支援してくれるとこっちも相手に奉仕したいなと思って」
鶴田さんは勝部さんとともに市役所に行きました。
介護保険を使った、車椅子のレンタルビジネスを始めたいのだという。
その名も「鶴田商店」。手づくりで看板らしいものも作っていました。
ただし、それを実現するためには様々なハードルを越えなければなりません。
勝部さんは、自分の店を始める前に、鶴田さんに週2,3日働くことから始めてほしいと考えていました。
まずは、夢を持つのはいい。
夢は社会に出る原動力となるからです。
けれども、やはり、現実をみなければならない。
社会でビジネスをやるのは、そう簡単なことではないからです。
できることなら、目を背けたくなる状況や、人々に手を差し伸べることを仕事にする人がいる。
本当に頭が下がります。
以前、天狼院に日本屈指の心臓外科医新浪博士さんに来ていただいたのですが、その時、僕はこう思いました。
「職業に貴賎なし」とはいうが、本を商う本屋と命を救う外科医を同じ「仕事」とくくっていいのだろうかと。
今回も同じように思いました。
みんなが目を背けたくなるところを、あえて見つめる仕事。
もしかして、「賤」なる仕事はないかもしれませんが、「貴」なる仕事はあるのかも知れない。
そして、一般的に「賤」とみなされる仕事でも、きっと、「貴」とならせることができるのだろうと思います。
それは自分次第なのだろうと思います。
そして、あらゆる職種で自らの仕事を「貴」とさせる人こそが、プロフェッショナルなのだろうと僕は思いました。
僕も書店業を「貴」なるものにしたいと改めて思ったのでした。
考えさせられる、いい回でした。
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