NHK「プロフェッショナル」北の大地の三つ星シェフ/中道博
天狼院書店店主の三浦でございます。
そのシェフがレストランを開いたのは、北の大地、札幌だと言う。
その料理が食べたくて、全国からお客様が押し寄せると言う。
北海道の食材を中心に添えた料理を出し、ミシュランで三つ星に輝く。
今回のプロフェッショナルは、フレンチシェフ中道博さんです。
どんな時も楽しげで陽気な中道シェフの元には、毎朝、北海道中から新鮮な野菜や食材が運ばれてきます。
実に豊富な食材が運ばれてきますが、中道シェフはあえて食材を絞り、その食材の良さを技によって引き出します。
中道シェフが目指す料理は
「粗野でありながら、上質」
なもの。
野生の良さを活かしながら、基手を加えて上質なものに仕上げていく。
決して派手なことをするわけではない。
基礎を徹底的に突き詰める。
その料理に、「上質な」お客様が反応する。
契約農家のところに出向き、仲間である農家の方々をもライバルだと言う。
「いい野菜ができた! よおし、負けていられない」
となる。
しかし、中道シェフもはじめからうまく行っていたわけではありません。
「ずっと北海道が嫌いだった」と言います。
元々は金沢が故郷。
そこで金箔職人の職を失った父は、北海道に越して食堂を始めました。
金沢に比べて、北海道が味気なく見えました。
調理師学校に進み、23歳のときにフランスに渡ったのは、北海道を離れたいと思っていたからでした。もう北海道には戻らないと思っていました。
メキメキと腕を上げ、有名レストランで働けるようになった3年目のことでした。
父が難病を患い、一人息子の中道さんは仕方なく、北海道に帰りました。
札幌に小さなフレンチレストランを開きました。
すぐに話題となり、ローカルのテレビにも取り上げられるようになりました。
けれども、中道シェフはわかっていました。
物珍しさで取り上げられているだけで、料理の腕を評価されてのことではない。
「埋もれてしまうんじゃないかなという焦りがあったかも知れませんね」
本当は世界で戦いたい。しかし、もう北海道に埋もれてしまうのかも知れない。
いらだちがつのり、スタッフに当たり散らす日々、友人が、中道シェフを誘いました。
山に行き、水を飲むと、驚くほど旨かった。
野菜も、信じられないほどに旨かった。
「北海道には世界のどこにも引けの取らない食材がある!」
そうした確信を得たのです。
そして、こう決意したのです。
北海道の食材の良さをを極限まで引き出す。
中道シェフには、全国各地から、出店のオファーがあると言います。
けれども、すべて断っていると言います。
北海道こそが、自分が生きる場所だと思っているからです。
実は、今回のプロフェッショナルは、途中から観ました。
作業をしながら、何気なく観ていました。
けれども、
「すぐに話題になり、ローカルTVにも出たけれども、物珍しさで取り上げられているだけだと思っている」
というくだりになったときに、僕はふと画面を見つめたいのです。
僭越ながら、僕の今の状況に似ていると思ったからです。
雑誌に新聞、テレビやラジオに天狼院は取り上げられます。
けれども、こたつや昼寝という物珍しさで取り上げられているというのは、自分でも、良く分かっています。
中には、BS11さんのように、途中で本質に気づいて、「部活」を中心に取材してくれたところもありましたが、僕はそれを一過性のものだと思っております。
まだまだ、天狼院の本質が知られているわけではない。
もちろん、このまま「アクロバット」的にワザを繰り出していけば、メディアの露出は増えていくことでしょう。けれども、それがお客様から受け入れられることとは必ずしもイコールではない。
中道シェフが、周りに素晴らしい水や食材があることを気付いたように、きっと僕は今、「何か」に気づかなければならないときなのだろうと思います。
そこからでしょう。天狼院が本領を発揮するのは。
それが「何」なのか、真剣に考えてみたいと思います。
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