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週刊READING LIFE vol.158

日々の積み重ねが未来を創る。Instagramを活用して好きな分野を極める実験を始めたら、最適な仕事につながった話。《週刊READING LIFE Vol.158 一人称を「吾輩」にしてみた》


2022/02/22/公開
記事:三武亮子(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
どうせ同じ時間を使って作業をするなら、仕事につながるモノに時間を費やす!
吾輩は、とうとう4年近く投稿を続けていた雑記Instagramの更新を止める決心をした。
 
昨夏、「料理」という分野に限定したInstagramを活用し、仕事につなげる作戦を開始したところ、小さいながら流れができ、レシピ動画と最新グルメニュースを配信する日本最大級の食特化型WEBメディアでのライター枠を確保することができたのだ!
 
Instagramは、投稿するカテゴリーを絞ることで、フォロワーがつきやすくなる。フォロワーが1万人に達したら他のユーザーへの影響力が増すため、企業から商品を紹介する仕事の依頼がくるようになると言われている。
 
この循環を仕事に応用したい。
という表向きの理由と、吾輩は、料理の話を文字に置き換えた時、”くいしん坊”を豪語するわりには、表現が単調で使う言葉も変わり映えしないことが不満だった。料理や食材への知識が浅いから、誰にでも表現できそうな文章でつまらない。
 
最高に美味しい料理と料理人の技、そして店が提供する空間を、鋭い切り口で臨場感溢れる文章にして読者に届けられるようになりたかった。
 
もっというと、常々、料理人と対等に会話できる人になりたいと思っている。食の世界を深掘るために食談義に花を咲かせたいという自分本位な気持ちと、「食」を題材にした何か面白いコトをして、内外問わず心に刺さったものを伝える場面を増やしたい、と密かに目論んでいる自分を開放してあげたい気持ちが勝ってのことだった。
 
料理の中でも、大好きなビストロ飯の再現やパスタを中心に、まずはプロのお手軽料理を真似ることから始めた。「食材の探求と料理の成長記録」専用のアカウントを作り、初心者の料理を恥をしのんでインスタに投稿し続けていたのだ。
 
当初は、フォロワー1万人か……。
と、気が遠くなりそうな数字にためらい、尻込んだ。
 
フォロワー1万人とは、国内のInstagram利用者のわずか9%ほど。利用者数は、約3300万人。ざっと計算して270万人。
 
そのリストの大半は芸能人が占め、世界に名だたる自動車会社や1ブロック歩いたら出会えるコーヒーチェーン店など誰もが知る企業が名を連ねる。
 
「1万の壁」、エベレスト級。
 
緻密に行程を計算して進むというより、進みたい方向をあらかた決めて動き、動きながら微調整するタイプの吾輩。
眺めていても答えはでない。
まずは、山に向かって歩いてみようじゃないか。
 
アカウントのカテゴリーは、「料理」と決めていた。
 
単純に、美しく撮影された美味しそうな写真を眺めたら、それだけで幸せになりませんか?
という右脳に訴えかける戦法だ。
1日1投稿を目標にして、再現料理やオリジナルレシピの料理を投稿していく。
 
数件の「いいね!」くらいを想像していたら、数十件「いいね!」が定期的につくではないか!
見てもらえていることが嬉しくて、モチベーションがあがった。
 
それだけではない。
吾輩が「料理をやってみよう!」と思うきっかけをくれた料理系YouTuberの料理を再現して、アカウント名のハッシュタグをつけたりユーザーネームをメンションしてInstagramに載せると、ご本人が「いいね!」をしてくれる!
 
フォロワー間のコミュニケーションが、こんなに自分のモチベーションにつながるとは、想像していなかったから、Instagramを続けるのが、楽しくなってきた。
 
吾輩と同じ料理系YouTuberの料理を再現する”ジョジョ友”(と吾輩は読んでいる。YouTuberの名前「料理人城二郎」から文字ったものだ)からメッセージが届くようになると、楽しさは倍増する。
一人で粛々としていたら、いつまでも自分の殻から出ることはない。安心な環境かもしれないが、刺激もなく成長は鈍化するに違いない。
 
”楽しい””いいね”の連鎖が続き、みんなの頑張りを応援する気持ちが芽生え、1つの道標だったアカウントフォロワー数が、100に達した!。
飽きっぽい吾輩が、Instagramに料理の投稿を続けている!
 
それに、めんどくさがり屋の吾輩が、自分で料理をするようになるとは誰が想像しただろう。
いざ料理をしてみたら、発見の連続で退屈している暇はなかった。
 
食材とじっくり向き合うようになると、気づくことがたくさんでてきた。
食材の特徴や活かし方を知り、火入れや塩をふるタイミングを心得て調理をすると、素材の持ち味が引き出され、料理が底上げされ本格的な味わいに様変わりする。
 
それまで、レシピがないと美味しい料理を作れなかったのがウソのように、毎回安定した美味しい料理を創り出せるようになった。
それに、食材と調味料の組み合わせによって、料理を楽しむ可能性が無限に広がることが分かった。
料理は、窮屈だと思っていたが、むしろ、とても自由な領域だと知った。
 
料理や食への理解が深まると、文章に説得力が出てくるようになった。
表現に独自性が表れ、伝えたいことが明確になってくるのだ。
 
料理をする人は「手軽、簡単、身近」な料理を求めている。その傾向、ライティングで言うところの「読者ニーズ」が見えてきたら、本文に掲載する内容も自ずと読者寄りに変わってくる。
これまでコンテンツを書いていても反応を敏感にキャッチできなかった。
でもInstagramの場合は、それがない。
「書き手」と「読者」の関係が見えやすいので、自分が改善すべきポイントややるべきことがイメージがしやすい。
 
他のアカウントの料理投稿を観察しているうちに、投稿する写真に対する意識が変わってきた。
それまでは、そこそこ見栄えよく撮影して投稿することで精一杯だったのが、あれこれ角度を変えて撮影してみたり、マットを敷いて華やかさをプラスしてみたり、さらにはカトラリーを使って、立体的に見せる工夫だってやってみるようになった。
 
魅力的と思うアカウントを、とにかく真似る
真似ているうちにコツがつかめて、自分らしさが出てくるはず。
文章を書くのと同じことだ。
 
文字と写真の双方から料理を表現することに少し慣れてきた頃、Twitterに投稿されたライター募集の文字が目に止まった。
 
「食が好き方が活躍できるメディアかと!」と。
レシピ動画と最新グルメニュースを配信する日本最大級の食特化型WEBメディアが、ライターを募集しているという。
 
半年かけて、そこそこ研鑽を積んだ吾輩の料理のポートフォリオをひっさげ、履歴書を送ってみることにした。
 
提出から数週間。
音沙汰なし。
 
やっぱり調理師とか栄養士、料理研究家のような専門性のある人じゃないと、相手にされないのかな。
あの程度のポートフォリオじゃ、魅力は伝わらないのかもねぇ。
 
と、諦めモードに入っていたある日、面接の連絡がきた。
編集部の方とのオンライン面談が、実現した!
 
量産型の記事をはじめ食べ歩き記事のような軽いテイストのものから、取材記事のような記事とじっくり向き合うものまで幅広く扱っているWebメディアだという。
 
お世辞にも、魅力あるアカウントとは言えない吾輩のInstagram。
それなのに、編集部の人は丁寧にアカウントを見ては、吾輩の強みが活かせる仕事を考えて会社の案件と照合してくれていた。
 
一方的に、会社が求める必要なライティングスキルの話をされたり、料理の専門性を説かれると想定していた吾輩は、肩の力がすっと抜けた。
 
この6ヶ月の試行錯誤が報われ、気持ちが明るくなった。
フォロワーが1万人に達しなくても、仕事につなげることができるじゃないか!
 
どんなことでも興味をもったものはやってみる。
ダメだったらすぐに方向転換をすればいい。
そして、何事もコツコツと積み上げていくことが大事。
 
2年前にメディアで出会った、年収数億を稼ぐビジネス系YouTuber兼ブロガーの言葉に、やっと自分が追いつき、我ながら自分が誇らしくなった。
 
そのビジネス系YouTuberとの出会いは、衝撃だった。
ブログで年収1億円。
 
そんな世界があるの????
 
「書く」と言えば、小説を書くとかエッセイを書くとか、選ばれし人々がする職業だと信じて疑わなかった吾輩からしたら、日常のお役立ち情報や自分の経験を一般人が書いてお金にするなんて、目からウロコだった。
 
いや、たまたまでしょ?
と、訝るが、ブログにはアフィリエイトやアドセンスという仕組みがあることや、自らの知識をノウハウとして売ることで、収益を得られるカラクリがあることが分かった。
 
とは言え、そういう循環を作り利益を生み出す人は、才能があるからでしょ?
もともと、ビジネスセンスがあるからじゃない?
どうせ高学歴なんでしょ?
 
と、次から次へと、いつもの「どうせ、この人は○○だからできるんでしょ」という思考グセが頭をもたげた。
 
YouTubeで聞く限り、ビジネスセンスはあるものの、高学歴でもなければ、調子よくお金を稼いでハッピー! というタイプの人でもなさそうだ。
 
一言でいうなら「努力の人」。
 
コツコツ作業を積み重ね、実績を積み重ね、粘り強く1つのことに向き合っている。
驚くべきことに、ブログが軌道にのるまでに6年もかかったと言うではないか。
その間、ひたすらブログの内容とPV数の関係を分析→見直し→改善を繰り返している。
 
吾輩は、この人の言葉を信じることにした。
 
それだけではない。
「自分の知識や行動が、どうお金に結びつくか常に考えている。そういうビジネス脳になっているから、お金につなげることができる」という話を聞いてから、ずっと気になっているフレーズがあった。
 
得意な分野でネタを探す→経験と結びつける→ノウハウをまとめ、人の役に立つ情報として発信する→多くの人が役にたった!と感謝する→収入を得る。
 
自分だったら何が提供できるだろう?
いや、何を”提供したい”のだろう?
 
情けない話だが、吾輩は、具体的に人に伝えたいことや提供したいことを何年も考えているのに、何も思い浮かばない年月が続いていた。
能動的に生きてきたようで、実はかなり受動的な生き方をしてきたのではないか? と、自分の人生を強制終了したい気持ちが、いつも心に充満していた。
 
困った……。
 
仕方がないので、女子らしく”世の中ウケ”しそうな、コスメ・美容系のカテゴリーでInstagramの運営を始めてみたのだが、まともに化粧道具を持たず、化粧する時間があるなら1分でも長く布団にくるまっていたい吾輩には、不向きなものだった。
 
やるまでもなく、分かっていたことだ……。
 
憧れているものならイケるのではないか? と考え「デザインする」をキーワードに、ちょっと洒落た風景やモノなど、”アーティスティック”なものを投稿するアカウントの運用を始めた。
 
これも早々に挫折。
デザインを学んでいる人特有の、あのカッコよい視点や感性に憧れを抱いているが、自分らしくない。
そんなにかっこよくキメたいわけではない。
 
そんなこんなあってのモヤモヤの日々。
だから、ひょんなことから結びついた「料理」の存在は大きく、Instagramという媒体を通して、「料理」や「食」に関心をもつ仲間と出会えたのも、吾輩にやる気を起こさせてくれた。
 
思えば、吾輩は、SNSを始めた2006年から外食したり旅先で印象に残った料理やお菓子は、ほとんど記録していた。
しかし、あまりにも当たり前すぎて、それを仕事にするなんて思い及ばなかったのだ。
 
結局、Webメディアとの面談では、記事量産型ではなく、じっくり記事に向き合うタイプの私に合う仕事が準備できたら、編集部の人が連絡をくれることになった。
 
「食の世界を通して、地域の風土を知り、土地に根ざした生活や人々の知恵を伝えたい」と願う吾輩にとって、最適な形で話が纏まった。
 
どんな仕事と巡り合うのか。
これが未来に向けての起爆剤になることを願いながら、さらなる高みをめざしてInstagramの活用を続けていこう、と新たなモチベーションが生まれた。
 
SNSの発達で身近になった世界で、誰もが自由に自分を創り上げることができる!
日々の積み重ねが、理想の循環を創り出すと信じて、今日もまたInstagramを更新する。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
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2022-02-17 | Posted in 週刊READING LIFE vol.158

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