週刊READING LIFE vol.212

人生を変えてくれた天狼院書店《週刊READING LIFE Vol.212 ライターとしての自己紹介文》


*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

2023/4/10/公開
記事:久田一彰 READING LIFE編集部ライターズ倶楽部
 
 
自分の人生は、天狼院書店によって、書く事によって変わったと言える。今ならはっきりと言える。
 
普通の会社員で一児の父親だった私は、知人が参加している「ライティング・ゼミ」というものを知った。なんとなく私もやってみたいと思いながら、講座に参加して記事を書いてみた。思ったより面白いのと、記事が掲載されなくて悔しいのと、掲載された嬉しい気持ちが混ざり合い、それがモーターボートのエンジンのような推進力となり、書くことを今日までぐいぐいと進ませてくれた。もちろん大きな波に飲み込まれそうにもなるし、スイスイと波を乗り越えられることもあるし、エンジンが何かにからまって全く進まなくなったこともある。
 
振り返ってみると、天狼院書店の「ライティング・ゼミ」への参加に始まり、これまた面白そうと参加した、「取材ライター入門ゼミ」、「取材・編集ライティング入門講座」を経た今では、企画が通過した連載記事を持てるようにまでになった。つまり、ライターとしては、3つの顔を持つ阿修羅像のようなものになったのだ。
 
会社員としての顔を持ち、ビジネスに関する記事、オヤジの子育てが楽しくなる視点を伝える記事、取材を通じて地方や自分の住んでいる街が好きになり、作り手の話を聞き多くの方に伝えたいと思う記事を書いてきた。
 

会社員としての顔で書いた記事


同じ会社に勤めて19年経つが、その中でも数多くの壁にぶつかってきた。この壁の乗り越え方は、社歴が上がるにつれて段々と経験値も増え、上司や同僚との接し方、トラブルの対処方法も分かってきたけど、もっと早くに、入社3年目に知っておきたかったRPGの攻略サイトのような記事だ。
 

入社3年目に知りたかった、仕事の壁の乗り越え方《週刊READING LIFE Vol.194 仕事で一番辛かったこと》

オヤジの子育てを書いた記事


 
そして一歩会社を出て、妻と息子の待っている家へ向かうと、これからは家族の時間になる。父親になってから3年経つが、子育ての大変さや楽しさを、他のオヤジやこれからオヤジになる方へのエールレターとして書いた。何気ない家族との生活も、視点を変えると面白くなったり、新しい発見があったりする。
 
例えば、我が子への最初の贈り物である名付け。朝の幼稚園までの送りを前に繰り広げられる、息子を着替えさせて朝ご飯を早く食べさせたいのに、トラブルが次々と迫ってくる障害物競走。寝かしつけの時に発動してしまう、布団に置いた瞬間の背中のスイッチをいかにして止めるか。教育番組を見ていて、出演者が卒業すると分かった最終回で思わず涙が出て泣いてしまった、息子よりもオヤジが夢中になっていたこと。
 
そして、毎日お風呂に入りPDCAを回すことで、子育ての楽しみがわかるようになったこと。
 
 

お風呂でPDCAを回すと、子育てが楽しくなった

取材を通じて想いを伝える


「取材・編集ライティング入門講座」で、誰に取材を申し込むかという時に、真っ先に浮かんだ方がいた。私の住んでいる地域でママ・パパレポーターとして、地域のイベントや面白いことを探していると、多くのことに携わっている、とあるキーマンというべき人物。ツテを頼りに知り合いにお願いし、この人物へ取材させてもらえる事にもなったし、この取材がキッカケで新しい仕事を依頼される事にもなった。
 
この時から取材をする楽しさを本格的に感じられるようになった、私にとってのターニングポイントだった。
 

〜福岡県の宗像経済新聞副編集長に聞く〜0から1を生み出す企画力と、地方で仕事をする上で大事にしている7つのポイント〜


好きなウイスキーを飲んでいる時に、この琥珀色の液体はどうやってできるのか? その製造現場では何が行われて、どんな想いで造られているのか? ふと、そんな疑問から立ち上がった企画。日本各地で立ち上がっているクラフトウイスキー蒸留所を訪ねていく連載記事だ。
 
ウイスキー蒸留所では、そこに携わる方の熱い想いを感じると共に、遊園地のアトラクションのような見学ツアーに参加することもできる。ウイスキー蒸留所は、一つとして同じものはなく、日本の四季折々や環境に応じて、蒸留所ごとの味が変わっていくことも、取材を通じて知れた大きな収穫もある。
 

 
 

自分の楽しいことを記事に


大きく分類すると3つの記事(仕事のこと・家族のこと・取材のこと)だが、これらの記事以外にも好きなことをいろいろと記事にしてきた。生活の中で現代のようなコスパを求めるのではなく、少しスローな時もあったら癒される瞬間を楽しむことができる、と感じたことも記事にした。
 

不便さを求めた快適空間《週刊READING LIFE Vol.204 癒される空間》


こうして振り返ってみると、天狼院書店のライティング・ゼミでは、2020年1月10日に初めて記事が掲載され、これまでに合計31本が記事として掲載採用された。仕事・家族・取材ライターとして三つの顔を持つ、阿修羅像のようなライターとして、三面六臂の記事を書いてきた。これからもこういった記事を書いていきたいが、もちろんまだ書いていない、書けていない多くのジャンルにも挑戦していきたい。
 
たとえば、お酒関係はもっと深掘りしたい。ウイスキーだけに限らず、クラフトビール、ジンやスピリッツなどの業界は大いに新規参入が増えており、それだけ造り手のドラマがある。日本酒や焼酎を製造しているメーカーがウイスキー業界へ参入することによって、魅力や香り・味わい・飲んだ時の喉ごしは掛け算のように増えていくし、ジャパニーズウイスキーらしさという魅力も出てくることを伝えていきたい。
 
そして、日本独自の文化である日本酒業界の盛り返しや、焼酎・泡盛といった文化も負けじとその熱意をアピールしており、そういった声を多くの方へと届けたい。取材を通じて造り手の想いと飲み手をつなぐ「架け橋」になりたいのだ。
 
旅の移動手段としての鉄道や船旅も、大いに書きたい。
 
移動する時間を「つぶす」のではなく「楽しむ」ため、各社は色んな仕掛けを電車・バス、船にほどこしている。たとえば、鉄道。九州では「ななつ星in九州」というクルーズトレインが、九州内を駆け巡り地方同士を結びつけた。その豪華な車内サービス、立ち寄った駅々でのおもてなしが、日本のみならず世界中の人々の人気を呼んだ。乗車したいための最高抽選競争倍率は316倍にもなった。
(参考出典:ダイヤモンド・オンライン 『カンブリア宮殿』で話題沸騰! 最高競争率316倍! 世界一の豪華列車「ななつ星」の内部をついに公開!より)
 
普段使う沿線にも、いい風景や大事な風景があることにも気づいてほしい。仕事で福岡県のJR日田彦山線沿いを車で移動することが多いが、列車にすれ違ったときに、なぜだか、ここの景色と撮っておきたいというセンサーがはたらいた。その時に撮った一枚の写真。これが、JR日田彦山線の利用促進と沿線地域の活性化を目的に活動している、『日田彦山線活性化推進沿線自治体連絡会』が運営しているウェブサイト、「ゆっくりのんびり日田彦山線」のポスターにも採用された。
 
採用されたのは、日田彦山線周辺の7自治体合同イベントの「ひたひこウォーキング」というイベントポスターだ。この時の題名は「変わりゆくもの」として投稿した。変わりゆく景色を、変わらない写真という意味で投稿をした。
 

撮影:久田一彰
 
じつは、写真左側の日本セメント香春工場の煙突は、今は取り壊されていて見ることができない。後ろの工場部分も撤去が進んでおり、どんどんと解体されていき、風景からは消しゴムで消されたように無くなっていく。しかし、記事や写真で残すことにより、そこにあったという事実は消せずに残る。普段の何気ない景色も時代と共に移り変わるが、記事や写真は残せておけることが沢山あるのだ。
 
こうしてみると、ライターとして書きたい! ということは、自分の中のなぜ? を解き明かしたいという、ミステリーを解き明かしたいという、探偵のようなものでもある。シャーロックホームズが推理して解き明かすように、私もライターとして面白いと思ったこの世のなぜ? を解き明かしていきたい。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
久田一彰(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

福岡県生まれ。駒澤大学文学部歴史学科卒。
会社員とオヤジとライターの三足のわらじを履いている。仕事・子育て・取材を通じて得た想いや、現在、天狼院書店『Web READING LIFE』内にて連載記事、『ウイスキー沼への第一歩〜ウイスキー蒸留所を訪ねて〜琥珀色がいざなう大人の社会科見学』を書いている。

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2023-04-05 | Posted in 週刊READING LIFE vol.212

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