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お風呂でPDCAを回すと、子育てが楽しくなった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:久田 一彰(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「たいへ〜ん、きて〜。壁とひざが大変なことに〜」
お風呂にいる私は、ひざの上に息子を抱えたまま、リビングにいる妻に向かってそう叫んだ。
 
それは、ぶびっという音と共に息子のお尻から噴き出された。
身構えることもなく突然起こった。
ロケットの発射よりも凄まじく、水鉄砲よりも勢いよく、まばたきより早い一瞬のことだったように思えた。
 
こうなると、もう笑うしかない。
いや、人はこういう場面に遭遇すると、笑うこと以外できなくなるのだ。
そして、ようやく事態を把握してから、妻に向かってSOSを出すことができた。
 
とりあえずシャワーで息子の身体をお湯で洗い流し、壁やひざの上を綺麗に洗い流した。
あとはベビーソープでもう一度息子を洗ってから妻に預ける。
自分ももう一度ボディーソープで洗い、壁も綺麗に洗い流した。
ハプニングという壁を乗り越えられた。
 
息子を初めて妻の実家に連れて帰り、沐浴でビクビクしながら洗っていた頃とは違い、随分とお風呂を入れることにも慣れてきた。沐浴とは乳児の身体を洗うときのことを指す。
 
最初の頃を思い返すと、生まれて間も無くの息子を、台所の上に小さな緑色のビニル製のベビーバスを置き、その中で大事に洗った。
お湯の温度に気をつけ首と頭を支える。
「沐浴の仕方は、助産師さんがネットに上げている動画をみて参考にしてね」と妻から教わって、見よう見まねでやってみる。
 
しかし、いきなり1人では心もとないので、妻に横についてもらい教わっていく。
そっと慎重に息子を支える。
シャボン玉を扱うように、薄い氷を扱う様に、そ〜っと、そ〜っとだ。
 
ポンプ式のベビーソープを軽く手に取り出し、頭や髪の毛、身体をやさしく洗う。
ガーゼの様なタオルで身体を拭き、おくるみという赤ちゃん用の着るものを着せる。
残り湯を台所の流しに捨て、ベビーバスはタオルで拭いて干しておく。
台所の水気をタオルで拭いたら、ここでようやく一息つけるのだ。
 
結婚指輪は、息子の顔や身体を傷つけないよう、今もはずしたままだ。
しばらくはつけないだろうから、ケースへ大事に仕舞い込んだ。
 
沐浴のときはおとなしかった息子も、それが今はどうだ。
 
お風呂に入る前に自動車や電車のおもちゃを持ち込む。
カニやサメ、ペンギン等の形をしたビニル製のおもちゃも持ち込む。
そして、それを湯船に投げ込んで喜んでいる。
自分で投げたのに、取れなくなって、必死で手を伸ばして、「うあ〜」と言いながら手のひらをひらひらさせている。
 
たまに浴室に入るのを渋るので、湯船のフチにおもちゃを並べて誘い込む。
すると入ってきて全てを落として満足げにしている。
 
頭や身体を洗ったら、鏡で見せると、満足そうに笑顔でにっこりしている。
 
湯船に浸かれば、おもちゃをフチの上に並べ、自動車なんかを走らせて遊んでいる。
お湯をバッチャンバッチャンかけてくるので、大袈裟にリアクションすると大笑いして、声が浴室に響き渡っている。私の背中に隠れて、かくれんぼのようなこともしている。
 
まるで浴室全体が、息子にとってはホールの様な遊び場になっているのだ。
 
最近は、水に濡れてもOKなシート、数字や時計の勉強ができる様になっている、をお風呂の壁に貼り付けておく。
そして、一緒になって数字を勉強する。
「あか」や「あお」も言える様になってきた。
「これなんじ?」と聞くと「ご」と数字を言える様になった。
「いーち、にい、かんー」と言いながらも、10までをおぼろげながら言えるようになった。
 
こんな賑やかなお風呂は楽しい。
 
まるで親子一緒に学校にいるようだ。
でも、ここでは私が先生というより、息子から父親というものを教わっているような感覚だ。
 
父親になるということについて、書籍や本、ブログもたくさん世の中にある。
大いに参考になる部分もあるが、何より息子とお風呂に入り続けるということは、どんな育児書を読むよりも学びになる。
 
最初は完璧に洗えていなくて、妻から「手首のシワの間も洗ってあげてね」と言われれば、次の日はそこに気をつけて洗う。
 
つまり、毎日のお風呂の中で、PDCAを回すのだ。
 
何も会社の仕事の時だけにPDCAを回すのではなく、家事や育児、家族でいる時や父親の間もPDCAを回せばいい。
 
一日で上手くお風呂を息子と入るようにはなれない。
今は、ポチっとパソコンをクリックすれば、欲しいものが注文でき翌日には届く世の中だ。
でも、子育てや育児はそうはいかない。
 
それこそ10日、100日、372日間連続でお風呂に入り続けたからこそ、楽しさがわかるようになってきた。
 
だから毎日のお風呂に入りながら、息子に学んでいけばいい。
これこそが子育てを楽しく長くできるポイントなのかもしれない。
 
そんなことを思いながら、もうすぐ息子は2歳になるな、とお風呂の中で思い出した。
 
「ハッピバースデー息子、ハッピバースデー父親としてのオレ」
と、心の中で自分にもそっとお祝いしておいた。
 
 
 
 
***
 
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