週刊READING LIFE vol.235

自己啓発で毎週9000字書いたのは大切だと伝えたいから《週刊READING LIFE Vol.235 文章術》

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

2023/10/9/公開
記事:村人F (READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
毎週2000字の文章を天狼院書店の『ライティング・ゼミ』では書かないといけない。
原稿用紙に換算すると5枚分である。
過酷な課題だと思う。
私も最初のうちは書き上げるまで3時間ほどかかった。
さらに厳しいフィードバックも返ってくる状況に心が折れかけた。
それでも4ヶ月間、1度も欠かすことなく課題投稿ができた。
そして過酷なこのゼミを受けることは、もうないだろうと思っていた。
 
だが私は今、この文章講座の課題投稿を週9000字も行っている。
5000字の文章1本、2000字の文章2本だ。
自分でも異常だと思う量である。
自己啓発の範疇を遥かに超えている。
副業ライターでもここまでの人はどれほどいるだろうか。
そう思うほど、私は大量に書いていた。
 
ただ、ずっとわからなかった。
何がそこまで私を駆り立てるのか。
恐ろしい文字数を書きたいのはなぜか。
そういう理由を知らないまま、ひたすら文章を出し続けていた。
 
しかし、続ける中で見えてきた。
 
私の「大切なこと」
これを伝えるために書いてきたのだ。

 

 

 

最初に受講を決めた理由は、文章に対するコンプレックスだった。
会社の上司から「お前の書く文はわかりにくい」と毎日のように言われ続け、何度直しても改善することのない状況。
そのせいで精神を病むほどに疲弊していた。
 
ただ、だからこそ『ライティング・ゼミ』を受けたいと思えた。
かつての上司を見返してやりたい。
わかりやすいと褒めてもらいたい。
そういう欲望は、強い動機になった。
 
しかし、初めの段階は全く書けなかった。
2000字を書くのに3時間はかかり、フィードバックでも厳しい言葉が返ってくる。
ただ、ここで折れたらダメな自分のままだと奮い立たせて、なんとか続けていった。
そして最初に合格した時の喜び。
あそこまでガッツポーズをした日は、記憶にも中々ないほどだった。
この快感が忘れられなかったからだろうか。
4ヶ月の課題投稿が終わった後も、私は『ライティング・ゼミ』の受講を続けていた。
もう受けることはないだろうと思っていたのに。
人はつくづく移ろいゆく存在だ。
 
この日々が1年続いたころ、プライベートでも変化が表れていた。
友達の数が、だんだん増えていったのである。
といっても出会ったキッカケは天狼院書店である。
ここで同じ講座を受けた人や、私の文章を読んでくれた人。
こういう方々がFacebook上で友達になってくれたのだ。
それまで数年間、全く友達は増えなかったというのに。
長く続けていれば、不思議な副産物も生まれるものだと思った。
 
とはいえ月日が経つごとに『ライティング・ゼミ』へのモチベーションも下がってきた。
もはや惰性で続けている状態。
そういう感覚の中で書いていた。
 
しかしこの倦怠感も、ある時に突然吹っ飛んでいった。
これもやはり、コンプレックスが原因だった。
 
文章講座を続けるうちに友達も増えた。
そして、それと同時に上手い文章を書く人との出会いも多くなった。
これが、また私に実感させたのだ。
伝える力が全くないことを。
 
プロとして稼げるほどの筆力はない。
それどころか、まだまだ自分の言いたい内容を正確に届けることすらできない。
私のスキルが未熟であることを、友達との触れ合いで実感させられる。
この改善には、もっと文章を書かなければいけない。
そういうコンプレックスが、私の中で再燃したのである。
 
だから、週9000字を書く生活を選んだ。
もちろん、苦難の道のりである。
休日は、ほぼ文章作成の時間で終わってしまう。
頭の中も課題のことだけで精一杯になり、他の趣味も満足にできない。
まさに修羅の道といえる状況である。
 
ただ私に灯った炎が、それをさせたのである。
もはや沈めるには、毎週9000字を書き続けて実力を示すしかない。
そういう反骨精神で課題に取り組んでいた。
 
しかし、続ける中でわからないこともあった。
ここまでして伝えたいことは何か、という点である。
 
もともと惰性で書いていたから、全世界に広めたい内容があるわけでない。
そもそも9000字を書いた理由も、文章の下手な自分が嫌だったからである。
こういう状況だったため続ける目的が何か、自分でもわからなかった。
 
ただ毎週9000字の文章を書き続ける日々は、だんだん答えを示してくれた。
大切なもの、これを書きたかったのだ。
 
実際、周りから評判の良かった記事はそういう内容だった。
1年ほど続けている天狼院書店の囲碁教室で学んだ処世術。
いくら推しても推し足りないアーティストSound Horizonの紹介。
通いすぎてもはや家と同じくらい落ち着く空間になってしまった天狼院書店。
そして、一生に1人会えるかわからないほどの親友。
 
そういう大切な存在について書いた文章が、良い評判を得られる。
これは私が最も表現したいことを書き切れたから頂けた賛辞なのだと気づいた。
そして私も大切な存在に対してもっと「ありがとう」と言いたい。
それこそ、私が伝えたいメッセージだったのだ。
 
これは文章講座の真髄と一致していると思う。
ここで口を酸っぱくして言われることは、読者を徹底的に意識して書けという話だ。
つまり、この文章作成を通じて相手の気持ちを一生懸命考える大事さを身体に叩き込むゼミだった。
 
そして9000字を毎週書く極限状態だからこそ、この軸が明確に浮き彫りになった。
そういう意味では、挑戦した甲斐があったと断言できる。
 
しかし、こうして浮かび上がってみると、私にはまだまだ実力がないとハッキリ自覚させられる。
大切なものについて、全然書けていないからである。
囲碁、推しSound Horizon、天狼院、親友。
これまで色々と書いてきた。
しかし、彼らの素晴らしさを私はどれほど書けただろうか。
氷山の一角すら十分に表現できていなかったのではないか。
 
もちろんいい評判は友達から頂いている。
ただ、これで満足できない自分がいることも事実だ。
はたして私は自分の持てる力を全て尽くして、大切なものについて書いてきたのか。
出会えた感謝を全力で伝えられたのか。
目的が定まったからこそ、振り返って再び後悔が沸き起こる。
 
私はまだまだ、書ききれていない。
力が足りていない。
これは未だにアマチュアでいることからも明らかだ。
 
世の中にはプロとしてお金をもらって文章を書いている人もいる。
その方々の記事は、同じ大切なものを表現しているのに、鮮明に伝えている。
些細な動作でも見落とすことなく魅力を閉じ込める。
そういう文章と比べたら、私の文章はまだまだ自分本位で甘い。
 
そして彼らとの差は、やはり書く量なのだ。
私は週9000字を書いて悲鳴を上げている。
しかし、プロは毎日1万字を普通に書き上げる存在だ。
これに比べたら、私の努力など頑張った部類に全く届いていない。
この程度で力が付いたと言っているようでは、まだまだ甘いのである。
 
ならば私もより一層、真摯に文章と向き合っていかないといけない。
自己啓発のレベルだと、文字数を増やすのは正直限界がある。
ただ、だからこそ少ない文字数にたくさんの想いを込めないといけない。
 
なぜなら本当に大切なものについて書くのだから。
1文、1文字、些細な表現でも徹底的に考え抜いていく必要がある。
大好きという気持ちを全力で伝えるため、細部まで魂を込めなければならない。
この愛を書きたいから、私は文章講座を受講したのだ。

 

 

 

毎週9000字を書く生活も、今週で終わる。
講座費用もいい値段がするため、この過酷な日々を続けるのは金銭的にも厳しかった。
そのため、来週からは週2000字しか書けない状況となってしまう。
 
しかしその分、余裕ができるのも確かだ。
この空いた時間にしたいことは何か考えてみる。
1番は書くこと以外の伝える手段を身につけることだった。
 
いいカメラを使って写真を撮る。
衝動買いしたキーボードを使って作曲をする。
文章を書きすぎて手を出せなかったが、表現するための手段は文章だけではないのだ。
こういった新しい伝え方を手に入れることで、今まで記せなかった部分も鮮明に示すことができる。
そう考えると、新たな生活も楽しみになってくる。
 
これに気付けたのは、週9000字を書き続ける過酷な日々を3ヶ月間続けたからである。
極限状態だからこそ、本当に書きたかった存在を浮かび上がらせた。
同時に実力がないことも示されてしまったが、これに対するショックは少ない。
伸びしろがあることを表すからだ。
 
つまり私はもっと、大切なものについて伝えることができる。
心に灯っている大好きな気持ちを、まだまだ作品に閉じ込められる。
この可能性ほどワクワクするものはない。
そういったポテンシャルを私は持っているのだ。
 
この力を開花させるため、これからも本気で続けていこう。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
村人F(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

名乗る名前などありません。私などしょせん村人のF番目でございます。
秋田出身だが、茨城、立川と数年ごとに居住地が変わり、現在は名古屋在住。
読売巨人軍とSound Horizonをこよなく愛する。
IT企業に勤務。応用情報技術者試験、合格。
2022年1月から、天狼院書店ライターズ倶楽部所属。

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2023-10-04 | Posted in 週刊READING LIFE vol.235

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