天狼院通信

広島のお好み焼きを2枚連続で食べて、これからは演劇だと確信した。《天狼院通信》


記事:三浦 崇典(天狼院書店)

「もしかして、できるんじゃないか?」

ふと、山陽新幹線の中で思った。
もう一度、冷静に考えて、できる、とまた確信した。
確信してしまうと、ワクワクが抑えられなくなった。

何をできるかといえば、新幹線を途中下車する間に、広島のお好み焼きを、はしごして2枚連続で食べることだ。
できれば、僕の人生にとって、革命だ。
でも、冷静に考えると、きっとできる。
ただ、1軒目のときに、そばをWにするのをやめればいいだけだ。
1件目で豚玉を食べて、また、2軒目で何ごともなかったかのように、豚玉を食べる。

うん、できる。

なにせ、広島のお好み焼きは、そば以外の部分は、クレープのように薄い生地と、卵と数枚かの豚肉と、そして山盛りのキャベツなだけだからだ。

2枚食べたとしても、まあ、クレープのように薄い生地と、卵と数枚かの豚肉と、そして山盛りのキャベツが増えるだけだ、うん、いける。

僕は、お好み焼きの魅力に取り憑かれている。正直言えば、福岡にいる際にも、必ず、広島のお好み焼きを食べる。キャナルシティに入っている電光石火には毎月行っている。電光石火は、ちょっとモダンな進化型のお好み焼きだ。まんまると仕上げて、見た目にもかわいい。そばが特徴的でこだわっているのがわかる。何より美味いのは、サブメニューのせせりだが。

いつからか、福岡から京都に毎月新幹線で移動する際に、スタッフにも気付かれないように、40分だけ途中下車して、お好み焼きを食べ、食べたくせに何食わぬ顔で京都に現われていた。もう、何年か、これをやっているように思う。

なぜ、お好み焼きの魅力に取り憑かれているのか?

それは、鉄板という舞台の上で、言ってしまえばありきたりな、家の冷蔵庫にもあるような、食材で職人たちの演出によって、あれほどまでにコンテンツ力の高い食べ物を目の前で作ってしまう、魔法のような体験に中毒のようにハマってしまっているからだ。

作られるお好み焼きは、信じられないくらいに、うまい。

月商が1,850万円になる店もあるという。
ビジネス的に見ても、恐ろしい。

今日も、当然のように鉄板前のカウンター席に座り、とにかく、眺める。コテとともに、キャベツが舞うのを観る。至近距離なのでその熱までも感じてしまう。

なんという、LIVE感――

そう考えているうちに、似ていることがあると思った。

そうだ、演劇だ。

舞台という鉄板の上で、演出家のコテさばきで、役者が舞う、熱く舞う。

至近距離で観る観客は、その熱までも感じるのではないか。

先日、福岡天狼院で、鳥井が主宰する劇団天狼院「いぶき」の旗揚げ公演があった。
なんと、2公演、フルフルの満席で、しかもリアルタイム配信/見逃し配信含めて、全部合わせると90名様以上の方に鑑賞いただいた。

ぜひ、こちらをご覧いただきたい。

まさに、福岡天狼院であの日、行われたのは、お好み焼きに匹敵するコンテンツの提供だ。

僕がやりたかったことは、まさにこれだった。

普段は書店でしかない場所が、あのとき、熱い鉄板のようになった。

そこで、ストーリーと役者と演出と、そして観客が織りなすコンテンツが完成したのだ。

これを、無限にやりたいと思った。

演劇のことを考え続けているうちに、1軒目のお好み焼き体験は終了した。

汗だくの体験である。

「ごちそうさまでした。どうも、ごちそうさまでした」

といつものようにスタッフの皆様に声がけし、そして、何食わぬ顔で、隣の店に入る。

「カウンターで、鉄板で」

と、そして、当然のように、豚玉を食べる。

また、じっとコテさばきの中で踊るキャベツやらそばやらを見つめる。

こちらの店は、そうか、そばにケチャップを入れるのか。出汁なのか、水なのか、吹き入れて一気に水蒸気を飛ばす。

熱い、熱気がダイレクトだ。

こちらのお好み焼きは、なるほど、下に薄く敷かれた生地が、やや広めにしてあり、皿のように他の具が乗っている。

一口目、美味い。
先ほどの店とも、当然、電光石火とも違う。

ここは、もしかして、卵が美味いのではないか。

見ると、今、コテで潰されそうになっている卵の黄身が盛り上がっている。

やはり、卵か。

そう、演劇も、様々な演劇があっていい。

お好み焼きで言えば、キャベツに特長がある店、そばに特長がある店、卵に特長がある店があっていいように、演劇も様々なスタイルと得意分野と特長があっていいのだ。

劇団天狼院「いぶき」があの形であるなら、京都の劇団天狼院はまるで違うものでもいいのだ。お坊さんだけ出す演劇なんて面白そうだ。名古屋の劇団天狼院は、もう戦国時代に特化してもいい。東京の劇団天狼院は、様々な先生がいるので、様々な劇団が生まれていい。

そう、僕みたいに、演劇をはしごする人が出てくればいい。

各地の劇団天狼院を観たいとみんなが思い、実際に行ってみる。行けなければ、通信で観ればいい。

しかも、何も天狼院書店という鉄板の上で踊るのは、劇団天狼院だけでなくてもいいと思っている。様々な小さな劇団が、我こそはと鎬を削ればいいではないか。

お客様が、今日は、どんな演劇にしようかとワクワクしながら選べばいい。

福岡の劇団天狼院「いぶき」の成功を目の当たりにして、僕は全店に対して、少なくとも3月にはオリジナルの劇団を立ち上げて公演を成功させるように指示を出した。

同時に、ライターズ倶楽部のREADING LIFE企画会議でも、今後、ストーリーをコンテンツにしていく、つまりは演劇化していくという方針を発表している。

そう、これから天狼院が力を入れるのは、演劇だ。

これに合わせて、ライターズ倶楽部は、演劇のストーリーを制作する母体にもなる。

また、1月から大幅なリニューアルが予定されている「天狼院読書クラブ/TENRO-IN BOOK CLUB」では、「演劇の運営」も会員の皆様にしていただこうと考えている。所属の俳優さんを抱える、芸能事務所の機能も、この新しい「天狼院読書クラブ」に内包される予定だ。

さらには、良質なストーリーを大量生産すべく、1月から課題本読書会を

ストーリー・アナリティクス/物語解析読書会

にバージョンアップして、小説や漫画の構造解体に挑む。
読書クラブには物語を研究する仕組みが常設されることになる。

そして、そこで培われた物語のメソッドは、1月からこれもリニューアルされる「天狼院ライターズ倶楽部」の中に常設される

ストーリー工房

で、ストーリーが創られていくことになる。
これを続けることによって、全国の天狼院書店では、様々な味や特長のある演劇が、無数に開催されるようになると考えている。

ライターズ倶楽部の改変は、すでに今期から進められ、1月から大きく変わるが、これは間違いなく「ライティング・パスポート」を買ったほうが安い。Web記事や雑誌ばかりではなく、演劇を創るとなると長期戦になるからだ。

しかも、「リーディング・ノート」で2023年は読書量MAXになっている皆さんとともに解析し、創作するストーリーや演劇は、とんでもなく面白いものになるだろう。

もう、考えただけでワクワクが止まらなくなってしまっているのは、僕だけだろうか?

広島の駅を発つころには、僕の頭の中では明瞭なビジョンが描かれた。
それが実現する近い未来を、早く、皆さんと一緒に体験したいと思っているーー

ん? 広島ではしごしちゃったから、京都の秘めフォト、ギリギリじゃないか苦笑。

まずい!! 今日も確か、10名様ほどの撮影!! まずい、遅れる!!

あ、秘めフォトはこちらです、と抜かりなく笑


2022-11-18 | Posted in 天狼院通信, 天狼院通信

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