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カンブリア宮殿

「あふれる想いが、人を動かす」~IT業界のゴッドマザー・奥田浩美さんをお呼びして~《海鈴レポート》


天狼院スタッフの海鈴です。

皆さんは、小さい頃、こんな経験がありませんでしたか?

ある日突然、クラスの男子の一人が、こう言い出します。

「秘密基地、作ろうぜ!」

休み時間になるやいなや、彼はダッシュで校庭に飛び出していきます。それを見た周りの子は、どんな秘密基地なのか、どのように作るのか、全貌は分からないまま、しかし一方で、なんだかおもしろそうだぞ、と内心ワクワクしながら、彼の後を追って外に出ていきます。
校庭に集合した仲良しメンバーは3、4人。言いだしっぺの男子は、キラキラと瞳を輝かせて、こう言うのです。

「敵が来たらいけないから、見張れるように、高いところに作ろう!」

小学生にとっての敵が何なのか、大人になった今となっては分かりかねるところではあります。しかし、敵の存在を想定し、万全の対策を練る。それがたとえ仮想であったとしても、プランを聞いただけで、非常に胸が躍るような話ではありませんか。
そうして、秘密基地の設置に適した木の捜索が始まるわけです。じゃあ、11時にいったん時計の下に集合ね!などと召集を呼びかけたりして。
校庭に散り散りになった初期メンバーが捜索をしているうちに、新しい子がおもしろがって、何やってんのー?なんて、聞いてきたりもします。作戦を話すと、ぼくもやる!わたしも!と、新しい賛同者が増え、知らない間に勢力がどんどん拡大していきます。

気が付けば、一人の男子が突発的に始めた秘密基地計画は、最終的には、クラスのほとんどを巻き込んだ、大掛かりなプロジェクトとなっていたのです。

はい、わたくし先日、天狼院にて行われました、こちらのトークイベントに参加させて頂きました。

【6/24】IT業界のゴッドマザーついに天狼院に登場!Googleやマイクロソフトなどシリコンバレーの世界的IT企業と仕事をし、日本のITベンチャー企業に多大な影響力を持つ奧田浩美氏がシリコンバレーと「見切り発車」の天狼院について語る!

その際に、奥田さんがおっしゃられていた、
「カッコイイと思えることをいちばんにやろう」
という言葉を聞いたとき、冒頭でお伝えした私の幼少時代の記憶が蘇ってきたのでした。(ちなみに私は、言い出しっぺの男子の秘密基地作ろう発言にすぐ乗っかった、初期メンバーです。)

現在、時代は、「人類史上最速の道具の変化の時代」にあるといいます。

一人一台、携帯を所持しているのはもはや当たり前の現代。それも、ここわずか数年の間に、端末は携帯電話から、より多機能で、SNSと密接な繋がりを持つスマートフォンへと移行しています。私なんて、スマートフォンが出始めたばかりの頃、スクリーンが全面タッチパネルだという、それだけで非常に感動していたのを覚えています。しかし今となっては、タッチスクリーンではないボタンをプッシュするなんて考えられない。慣れというのは、おそろしいものです。

そんな、目まぐるしいスピードで革新的な道具が産み出されていく現代において、デジタル・デバイドは常に存在し続けるものであると、奥田さんはおっしゃいます。デジタル・デバイドとは、パソコンやインターネットなどのいわゆるIT(情報技術)を活用できる人とできない人の間に生じる情報格差です。
常に新しい技術は開発され、更新されていくのだから、常に取り残される者が出てきてしまう。ひとつ課題を解決しても、技術革新によって新しいツールが流通してしまえば、また新しい課題があらわれます。常に、誰かしらユーザーに対する課題が山積している状態となり、決してデジタル・デバイドは無くならないのです。

しかし、それはまったくマイナスな点ではなく、むしろ「課題は宝」であるといいます。

現代は、常に商品とユーザーの間にギャップがあり、そのギャップを埋めるものをビジネスとして提供できる時代なのです。それも、技術革新が早い現代だからこそ、

「カッコイイと思えることをいちばんにやろう」

なのです。いちばんにやらなければ、チャンスは他の人に奪われてしまいますから。

では、「カッコイイ」とはどのようなことなのでしょうか?

奥田さんの目の奥に、光が宿りました。握った拳に、いっそう力が入ります。そして、次に発せられた彼女の言葉が、私の胸にまっすぐ飛び込んできました。

「それは、『想い』です。
あふれる想いが人を動かすのです。」

想い。たとえば、ITの発達で人と繋がる幸せを感じてほしい、など内容は人それぞれです。ただ、大事なのは、当の本人がそれを成し遂げたいと本気で想っているかどうか。本気で想っているからこそ、それが「カッコイイ」、価値のあるものだ、と周りの人は感じられるのです。そして、カッコイイことには必ず協力者が現れます。本気の想いの強さに、周りの人の心は動かされるから。

そうであるならば、奥田さんのいう「見切り発車」は、一般に認識されているような意味と違い、全くマイナスな意味を持たないのです。自分が行動を起こし、目指す最終地点に向けて走っているぞ、という姿を見せていれば、周りは応援してくれて、どんどんその勢力は大きくなっていくからです。「見切り発車」は、共感を呼ぶものなのです。

さらに、幸いにも、現代は「見切り発車」に最適な時代であるといえます。
SNSの発達により、個々が自由に情報を発信し、交流することができるようになった今。実は、想いの発信も簡単なのです。もし、現状で足りない部分があったとしても、「自分には、こういう想いがある!」その熱意さえ強く発信されれば、必ず共感して一緒についてきてくれる人がいるのです。

私も以前は、想いはあっても、人に発信するのが苦手でした。

比較的、何でもそつなくこなせるタイプだったので、人に求めるより自分で全部やってしまった方が効率がいい、なんて思っていたんですね。そうして自分の殻に閉じこもる。でも、自己完結で選んだ行動は、自分ではベストだと思っていても、現実には、実のある行動に起こせていないことが多かったんです。何より、一人は、不意に、無性につらくなる。

それに、思うんです。人に自分の想いを伝えること、人に頼ることって、その人のことを本当に信頼しているからこそできることであって。その想いを受け取った方は、単純に、嬉しいと思うんですよ。だって、その100%の想いを伝えられるほど、あなたのことを大きな存在だと思ってます、っていう証を示してることになるから。

だから、まずは、想いをあふれさせよう。行動してみよう。もちろん、想いの源泉を決して枯らすことなく。

最後に、奥田さんのおっしゃっていた言葉をひとつ、紹介します。

「掌の上に10個くらい乗せて全力で走った時に、残っていたものを信じればいい。」

・・・ああ、なんてカッコイイ。

今選んでいる道が最短なのかは、誰にも分からない。ただ、私には譲れない想いがある。だから、今はがむしゃらに前に進もう。大丈夫、何があっても、最後まで私の味方でいてくれる人がいるから。改めて、そう強く感じさせてくれた言葉でした。

奥田さん、貴重なお話を、本当にありがとうございました。

ここで語り切るには到底足りないくらいの、奥田浩美さんの魅力・熱い想いが凝縮された「人生は見切り発車でうまくいく」(総合法令出版)は、天狼院書店でもお買い求めいただけます。

 

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