チーム天狼院

女はみんな、頭の中に童貞を飼っている《川代ノート》


「なんで、女の人って女が好きなんだろうなあ?」
「えー、綺麗だからじゃないですか?」
「いや、それだけで説明できない何かがある気がするんだよ」
「ふーむ、そうですかねぇ……」

みなさまこんにちは、スタッフの川代です。
上記のような会話を、これまでに何度、うちの店主三浦としてきたでしょうか。
おそらく、今人気のイベント秘めフォト部の前身となる、「裏フォト部」が出来た頃から、ずっとこれが私たち天狼院スタッフの間では、疑問でした。

いったいなぜ、女性は美しい女性を見るのが好きなのか?

女性10名限定、毎月東京、福岡、京都の各店で開催している「秘めフォト部」は、天狼院の中でも人気で、満足度の高いイベントです。「自分至上最高にセクシーな写真を撮る」というコンセプトのこのイベントでは、プロカメラマンの店主三浦が、参加者の女性たちが「一番綺麗!」「一番色っぽい!」と思われる角度・衣装・表情を探り当て、それを撮影するというものなのですが。

「なにそれ、三浦さん役得じゃん、一人男で女の人のセクシーなところ見られるなんてずるい!」と、あるいは男性はお思いになるかもしれません。

けれども実は、違うのです。
このイベントを開催するとき、参加者の女性たちがどんどんセクシーになっていく姿を見て最も喜び、興奮するのは、40代男性である三浦ではありません。
参加者の女性たちなのです。
秘めフォト部に参加される女性たちは、20代〜50代と様々ですが、どの年代の方も、目を輝かせて撮影の様子を見ていらっしゃいます。

イベントの最中、一人ずつ撮影をするのですが、その撮影風景を、他の参加者のみなさんは、固唾をのんで見守るのです。
というより、もはや、「凝視」です。「ガン見」です。もう穴があくほど見ています。みんな、じっと息を殺して見ているので、撮影の間に聞こえるのは、ただ、パシャ、パシャ、という三浦がシャッターを切る音か、参加者のみなさんの「うわぁ……」とか「やば〜い」とか「綺麗すぎ!」とか、そんなため息のような声ばかり。ごくり、という唾を飲み込むような音すら聞こえてきそう。それが秘めフォト部なのです。

この秘めフォト部の前身だった「裏フォト部」時代から、疑問だよね、という話は三浦とよくしていました。

「だって、男は男のセクシーなところ見て興奮とかしないよ」
「この男の人かっこいいな、こうなりたいな、とかは思わないんですか?」
「いや、それくらいは思うけど、別にまじまじと見たいとかは思わないかなあ」

三浦はいつもいつも、不思議そうに首をかしげていました。
でも、たしかに女性である私も、不思議で仕方がないのです。
自分がどうしてここまで、興奮しているのか。
同性である女性が美しく、セクシーに変化していく様を見ていると、なぜこうも楽しいと思ってしまうのか。
私自身が、秘めフォト部で写真を撮られることがない場合でも、他の綺麗な女性たちが写真を撮られるのを見ているだけで、満足してしまいます。

よくよく考えると、そういえば、私はたしかに中学生の頃から、綺麗な女性がとても好きでした。
中高一貫の女子校に入ったのですが、私が入学した学校は「美人が多い」と評判の学校でした。宝塚に入った子も何人かいましたし、目立たなくてもハッとするような美人がうじゃうじゃいるような学校でした。そして、私の女子校では、「女子が女子を愛でる」というのは、普通の行為でした。

挨拶代わりのハグは当たり前。スキンシップが激しい子は、腕を組んできたり手をつないできたりします。とくに、顔が可愛い子はみんなから愛され、ハロウィンの日にコスプレをすれば自撮り祭りが開催されていました。みんなかわいいかわいいと写真を撮りまくり、その子が写っているプリクラちょうだい、とせがむ。それが当たり前でした。

女子は、可愛い女の子が好き。
それは自分にとってあまりに当たり前のことだったので、三浦から「なんでだろう」と言われるまで、それが異常であるということにすら、私は気がついていませんでした。

念のため断っておきますが、私の恋愛対象は男性ですし、女性を好きになったことはありません。それは他の私の友人たちも同じでした。普通に彼氏をつくっています。秘めフォト部に来ている人だってそうです。家庭を持っているママさんもいますし、彼氏に自分が綺麗に写った写真を見せたい、という願望から参加している人もたくさんいます。でも、結婚していてお子さんもいらっしゃる人でも、かわいい女の子を見るのが好きなのです。大好きなのです。「かわいい!」「きれいすぎる!」「美人!」と言って、目をキラキラと輝かせて秘めフォト部に参加しています。それはそれは楽しそうに。だからこそ、秘めフォト部は満足度が高いのでしょうが。

一体これは何なのか。どういう現象が起こっているのだろう。この秘めフォト部という秘密の花園で生まれているこの「女子は可愛い女の子が好き」理論には、どんな理屈で説明をつければいいんだろう。

綺麗な人を見ていると自分もその綺麗オーラを分けてもらえるから、綺麗になれる気がする。
綺麗な人を見ていると美意識が上がる。
そういう理屈もわかりますが、なんだか、そんな理性的なものではないような気がするのです。もっと、自分の中の本能的な何かが揺さぶられている感覚があるのです。

これは、天狼院七不思議の一つと言っても過言ではないくらいで、もしかしたらもうこの謎が解明されることはないかもしれないな、と私は思っていたのですが。

きっかけは先日、長い付き合いの男友達と飲んでいるときに、呆れたようにこう言われたことでした。
それは、私が好きなアニメだか漫画だかの女の子キャラについて熱く語ったあとの反応でした。

「なんかさ、さきちゃんって頭の中に童貞を飼ってるよね」

ぴたり、と私の動きが止まりました。
……童貞、だと?

「……はい?」
「いや、なんか反応とかがちょいちょい童貞っぽいんだよ」
「え、そこはせめて百歩譲って処女じゃないの?」
「いや、違う。童貞。童貞が住んでる、頭の中に」

言われたときにはもうなにを言われているのかがわからなくて軽くショックでした。童貞ってなんだよ。処女っぽいとかならまあ許してやらんでもない。でも、童貞て。童貞て!!!!! 性別超えてるんですけど!!!!!

でも言われてみればたしかに、私の頭の中には、「女性として男性を好きになる私」と、「童貞的なスタンスで女性をかわいいと思う私」の二人が存在するような気がします。
別に本気で女性のことを好きなわけじゃない。女性とセックスしたいという気持ちもない。でもどこか、遠いところから綺麗でかわいい女性を眺めて「あ〜かわいい〜〜〜好き〜〜〜癒される〜〜〜」と自分の中でこっそりと盛り上がっていたいみたいな、まさに「学年のアイドルに憧れる奥手な童貞」みたいな自分が潜んでいるのです。

そこで、ハッとしたんですよ。あ、もしかして、秘めフォト部で起こっている現象ってこれなのでは? と。

もし、仮に。仮にですよ。仮にですけど、ほとんどの女性の頭の中には、「女性」という性とは別に、童貞的な自分が住んでいて、その童貞が、ずっと他の女性を見ることに喜びを感じているのだとしたら?
女性というものは、成長の過程のどこかで、童貞的思考を脳内で育成してしまうのだとしたら?

そうだと考えれば、ある程度、つじつまが合う。

だって、そうです。冷静に考えてみてください。
女性は女性である限り、永遠に女性とセックスすることはできないんです。
いや、本当に同性愛者の方は別ですが、一般の、男性が恋愛対象の人が女性とセックスをするということは、一生ありません。

特に私のように、女子校で育ってきた人たちは、性に対して一番興味を持ち始める14歳〜16歳くらいの思春期を、女性しかいない世界で過ごします。
性というものへの興味はあるけれども、周りには女子しかいないという環境の中で、じわじわと、少しずつ、少女たちは、女性になっていく。
同じ女だけど、胸の膨らみ方が違ったり、ウエストのくびれ方が違ったり、肌質が違ったりして、子供の頃にはなかった違いが、次第に生まれてくる。

自分という人間の体は自分だけのもので、みんながみんな、同じように成長していくわけではないのだということを実感するきっかけは、「男性」とセックスすることではありません。更衣室や温泉で、自分以外の同世代の「女性」を認識することです。もしかしたら、女が最初に「性」というものの強烈なインパクトを得るのは、「男」ではなく「女」なのではないでしょうか?

もちろんその「性差」というものに対してどれくらいの興味を持つのかは人によると思いますが、「女って、なんなんだろう」という興味の種のようなものが、徐々に頭の中に出来上がっていく。

そうして生きて行く中で、まあ、大人になって男性とセックスをすることで、「あー、男ってこんな感じなんだ」と、ある程度「男」というものに対しては合点がいくというか、納得がいきます。

けれども女性は、自分が女だからこそ、「異性」として女を見ることは、永遠にできません。
「異性としての女」は女にとってはずっと新鮮なままだし、いつまで経っても女とセックスすることはできない。

だから、私の頭の中に住んでいる童貞が、童貞を卒業する機会は、未来永劫、同性愛者にならない限りはずっと来ないんです。
私が頭の中で飼っている童貞は永遠に大人の男になることはなく、「異性としての女」に対して何かしら、神秘的なイメージを持ち続けることになる。

だからこそ、私は「女」という生き物に対する探求をやめられないのではないか、と最近思うようになりました。

夜な夜な、私の頭の中に住んでいる童貞が、こう囁くのです。

「女の人って、どんなことを考えてるんだろう」
「あの子は、どんな風に人を好きになるんだろう」
「可愛いあの子はどうしてあんなに可愛いんだろう。あの子にも性欲はあるんだろうか。それは女である私が持っている性欲とは、別の形をしているんだろうか」

知りたい。知りたい。知りたい。
もっと知りたい。「女」について、もっと深く、詳しく知りたい。

女性への純粋な探究心を失うことのない私の頭の中の少年は、もしかしたら一生、「女性」としての私と、せめぎ合いを続けるのかもしれません。

こうして日々、「性」について考えること、男と女の違いについて知ろうとすることが、面白くて面白くて仕方ない。
こうやって、「女」としての自分を研究対象に、あーでもないこーでもないと、仮説を繰り広げるのは、もはや一種の娯楽だとすら思えます。

女性は、なぜ美しい女性が好きなのか?

とはいえ、この論題は秘めフォト部が続く限り、ずっと私たちの研究対象であり続けるでしょう。
「女はみんな頭の中に童貞を飼っている説」は、あくまでも、私の仮説にすぎません。

この仮説だと、ならば、どうして男性はかっこいい男性、美しい男性に興奮しないのか、という点に説明がつきませんし、生物学を学んだわけでもないただの素人の戯言にすぎませんので、きちんとした証明にはならないでしょう。

裏フォト部創設時からあるこの問題、これからも研究し続けたいと思っています。

「もしかして、こういうことでは?」というご意見があれば、ぜひ教えていただきたいと思っています。女性、男性問わず、お待ちしております。
また新たな仮説が生まれれば、それも改めて記事にするか、関連したイベント等開催しても面白いかなあと思っています。雑誌『READING LIFE』の特集にしても面白いかもしれませんね。

さて、それでは男性のみなさまには唇を噛み締めて悔しがっていただくとして、これを読んで秘めフォト部に興味がわいた! という女性の方は(女性限定ですよ)、どうぞご遠慮なくご参加ください。

魅惑の世界があなたをお待ちしております。

さて、それでは私はまた、私の中の童貞と、あれやこれやと好き放題、楽しい議論を続けたいと思います。

アディオス!

 

 

 

 

 

「川代ノート」は月〜金の22時更新!

 

*この記事は、人生を変える「ライティング・ゼミ《平日コース》」フィードバック担当でもあるライターの川代が書いたものです。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになると、一般の方でも記事を寄稿していただき、編集部のOKが出ればWEB天狼院書店の記事として掲載することができます。

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秘めフォト部は東京・京都・福岡の各店で毎月開催しております!

*福岡

*京都:次回は2月16日(金)19時半開催予定です。
受付ページは近日中にアップいたします。ご参加希望の方はページ下記「お問い合わせフォーム」より、「秘めフォト部」参加希望とご記入の上、お名前・メールアドレスをお送りください。

*東京(1月分は満席のため、締め切らせていただきました。次回は2月開催です)

 

❏ライタープロフィール
川代紗生(Kawashiro Saki)
東京都生まれ。早稲田大学卒。
天狼院書店 池袋駅前店店長。ライター。雑誌『READING LIFE』副編集長。WEB記事「国際教養学部という階級社会で生きるということ」をはじめ、大学時代からWEB天狼院書店で連載中のブログ「川代ノート」が人気を得る。天狼院書店スタッフとして働く傍ら、ブックライター・WEBライターとしても活動中。
メディア出演:雑誌『Hanako』/雑誌『日経おとなのOFF』/2017年1月、福岡天狼院店長時代にNHK Eテレ『人生デザインU-29』に、「書店店長・ライター」の主人公として出演。
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2018-01-19 | Posted in チーム天狼院, 川代ノート, 記事

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