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チーム天狼院

「『すずめの戸締まり』を観るのは後回しにしよう」そう思えるぐらいの衝撃に襲われた。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」を受講したスタッフが書いたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:永井聖司(チーム天狼院)

 
2022年11月12日、土曜日の朝、布団の上にて僕は、1つの決断をしました。
前日に公開された映画『すずめの戸締まり』をその日観に行くことを、辞めることです。
 
多くの人がそうであるように、『君の名は。』『天気の子』を劇場で観て、感動しました。『すずめの戸締まり』に関する新たな情報が出る度に歓喜し、特報・予告編を何度も観ていました。
勤務時間の前後でどうにか公開初日に行けないかと考えましたが、予想を遥かに超える混雑状況に断念しました。ならば2日目、土曜日の朝イチに観に行こうかと考えました。天狼院書店における時間術的にはご法度な考え方ではありますが、『勤務前に観に行くと、仕事に悪影響があるかもしれないな……』と考え、予約をせず、朝になってから決めようと思い、眠りました。
 
あくる日の朝、上映時間よりもだいぶ早く起きてしまった僕は、枕元に置いてあった読みかけの本を手に取ったのです。
それから1時間半ほど経った後、布団の上で、僕はつぶやきました。
 
「今日、観に行くのはヤメよう」
 
読み終えた瞬間に思わず声を出してしまった本は、どれぐらいぶりだったかわかりません。期待を大幅に超える満足感に、気持ち悪くニヤニヤ笑ってしまっている自分がいました。
 
こんな状態で、『すずめの戸締まり』を観に行くなんて馬鹿げている、と思いました。
『すずめの戸締まり』がどんな内容なのか、どれぐらい感動的なのか、その時の僕にはわかりません。でも、もしもこの本と同じぐらい、ものすごい衝撃を受ける作品だったらどうしようと思ったのです。
あまりにも凄まじい衝撃を連続で受けることになってしまったら、1日に受け入れられる衝撃の容量が一気に溢れてしまうかもしれない、と思ったのです。そんなことになったら僕はどうにかなってしまうのではないか、なんて想像が膨らんでしまったのです。
 
だから僕は、その日に観に行くことを、辞めました。
そしてそれは、とても良い決断だったと思いました。
 
1度本を読み終えてから1時間ほど、何度も何度も、最後のシーンを読み返しました。もちろん、読み返した所で、文章が変化するわけではありません。とても読みやすく書かれている本ですから、新たな発見があった、というわけでもありません。
 
ただただ、同じ文章を味わっていました。
 
読み終えた瞬間に声が漏れてしまう、笑ってしまうぐらいの衝撃を与えられた、鮮やかすぎるラストシーンを、何度も何度も楽しみ、それでも鮮やかさがまるで消えないことに驚きながら、僕は仕事へと向かいました。
 
『救われるのは誰か?』
『この衝撃は一生もの』
とても目につく帯のコピーと一緒に並んでいる、ミステリ評論家・作家の方々の絶賛の声に、何度か手に取り、買うかどうか、悩んでいた本でした。
口コミ効果とは恐ろしいものです。帯にコメントを寄せられている先生の中に、以前に、天狼院書店の小説系講座にお越し頂き、実際にお話ししたことのある先生のお名前があれば、あの先生が言うならば、ということで購入に至りました。
 
しかし読み始めたは良いものの、途中まで、いえ、最後の最後まで、騙されたな、と思っていました。
『この衝撃は一生もの』なんて、言いすぎじゃないか、K談社さん! なんて、本気で考えていました。
その気持ちは、エピローグのたった数ページで、ひっくり返されてしまいました。コピーに偽りなしでした。疑いの気持ちを持ったことを、恥ずかしく思いました。
読書家と言えるほどではありませんが、それなりに本を読んできた34年の人生の中で、中身をサッパリ忘れてしまった本は、数多くあります。
この小説『方舟』は、違います。
 
読み終えてから1週間以上が経った今、まだ僕は、時折ガマンができなくなって、エピローグを読み返してしまいます。
そのせいもあって、ラストの鮮やかさが、まるで色褪せません。きっと長い間、もしかすると本当に『一生もの』で記憶に定着してしまうのではないかと、感じています。
 
『すずめの戸締まり』も、見に行きました。
あの日の自分の選択は間違いではなかったと、心の底から思いました。
 
『方舟』のラストと『すずめの戸締まり』と、もしも同じ日に観た(読んだ)人がいたら、どんなことになってしまったのか、是非教えてほしいです。

『方舟』を課題本とした読書会を、11/27(日)開催します!
この『衝撃』を体験した人同士で集まり、どうしてこの『衝撃』となるのか、分析し、語り合いましょう!

◽︎永井 聖司(チーム天狼院)
おそらく日本で唯一のビジネス書専門店、天狼院書店「Esola池袋店」STYLE for Biz店長。
大学卒業後、出版と採用コンサルを主な柱とする企業に就職し、コールセンター業務などを経験。30歳以降の人生について思い悩んだ20代後半、『人生を変えるライティング・ゼミ』を知り、2017年8月開講コースを受講。その後、ライティング・ゼミの上級コースにあたるプロゼミ(現ライターズ倶楽部)を3期受講し、2018年11月より天狼院書店に合流。
2019年4月より、ライティング・ゼミのフィードバックを担当。2019年9月より、シアターカフェ天狼院店長、2020年1月より現職。天狼院書店全体のビジネス書の担当を務める一方、ライティング・ゼミで学んだノウハウを活かし、ビジネス書著者を招いたイベントを多数開催している。
メディア出演 雑誌「ダ・ヴィンチ」「リクナビNEXT」

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