チーム天狼院

人生は何歳からでもやり直せる、なんて嘘《川代ノート》


スタッフの川代です。
人生は何歳からでもやり直せる、ってよく聞きます。私、結構それを信じてこれまで生きてきました。
でもあれ、嘘ですね。最近自分の周りで起きている結婚ラッシュの波に揉まれる中で、それを確信するようになりました。

「24超えたらいきなりくるよ」と一つ上、二つ上の先輩たちに前々から予告されていたので覚悟はしていたのですが、本当に来ました、結婚ラッシュ。
まさか本当にこれほどの勢いで次々に知り合いが結婚するとは。
Facebookを見れば1ヶ月に一回は誰かが結婚しているという状況です。本当にみんな結婚するんだなあ、となんだか感心してしまいます。

そもそも、自分が25歳になったときも「あ、本当に25歳になるんだ」と驚いたのですが、知り合いがどんどん結婚するようになると、「結婚」とは現実に起こるものなのだ、とようやく実感してきます。とはいえ、私自身も一度は結婚して離婚しているので、一応結婚していた記録はあるのですが、それでもなんだか自分が結婚するより、周りのみんなが結婚する方が、自分が歳をとったのだということを実感しやすいように思います。

よく「Facebookで元彼・元カノの名字が変わっているのを見てショックを受ける」なんていうことを聞きます。たしかに付き合っていた人が結婚したって聞いたらなんか変な気分というか、ちょっと傷つきそうだな、なんて思っていたのですが。
つい先日、まさに、その現象が起きました。毎月のようにやってくる「結婚しました」報告が、元彼のものだったのです!!!

付き合っていたのは随分昔とはいえ、それでも付き合っていた記憶は残っています。その当時は好きだった人です。
うわ、いよいよ来た! 私、どんなことを思うんだ!? 何を思う!? どう感じる!? 辛い? 傷つく? 後悔する? さあ、一体どれだ!?
なんて、どんな感情の波がやってくるのかと、ドキドキしながらその投稿を読んだのですが、何も、こない。
うーん、特に、何も思わない。
別に、動揺することもなく、傷つくこともなく、かといって「おめでとう!」という祝福の気持ちが湧き上がってくるわけでもなく。

なんだかただ、「へー」と思っただけでした。なんなら、同級生の女の子の幸せそうな写真の方が動揺するかも、と思いました。

興味がわかないというか、なんというか、「前に付き合っていた人が結婚した」という事実が、ただの情報として私の眼の前を素通りしていく。そんな感じです。
あー、元彼が結婚するって別に大したことないんだな、とも思ったのですが、それと同時に、ふとどうでもいいことを考えました。

私、この人と結婚してたらどうなってたんだろう。

そうです。
私はもしかしたら、彼と結婚していたかもしれないんです。

別れてしまったけれど、もしあのとき、別れ話をしなければ。もっと頻繁にデートしていれば。すれ違いがなければ。もっと価値観の差を、受け入れることができていたら。

もしかしたら、私は今、この人と一緒に人生を歩むことになっていたのかもしれない。

っていうか、別に、この人だけに限らない、よね?

そう考え出すと、妄想が止まりません。そうです。この人に限った話ではありません。私がこれまでに付き合っていた人とは誰とでも、結婚する可能性があった。それだけじゃありません。これまでに私が知り合った人、デートした人、飲みに行った人は、どの人でも私が付き合う可能性があった。私の彼氏になる可能性があった。私が気になっていた人とだって、付き合う可能性があったんです。だとすれば、だとすればですよ。

もしかして、私が結婚するかもしれなかった人って、この世に37人くらいいるんだ。

まあ、37人というのは体感値ですが、たぶんそれくらいの人と私はある程度の会話をかわし、男女としてある程度意識している人同士のやりとりをしてきたと思います。デートとかだけに限らずとも。

もし、私があのとき、あの人ともっと何度か飲みに行っていたら。
もし、私があのとき、あの人とシフトがもっとかぶってたら。
もし、私があのとき、あの人の隣に何度も座っていたら。

今更そう言ってもどうなる話ではないですが、ただ、ありえない話ではありません。私が結婚する可能性がある人は、37人くらいはいたはずです。
となると、私の人生は一気に変わる。

たとえば、私が離婚せずに結婚したままの道だってあった。でも、そもそも私の元夫と結婚する前に付き合っていた元彼と結婚していたかもしれない。何度かデートしていた、別の誰かと結婚していたかもしれない。

その誰と人生を歩んでいくかによって、仕事の選び方から、生活から、身の回りの日用品の選び方から、食から、全部変わってきます。

それって、不思議だな、と思います。
同時に、怖いな、とも。

だって、私の選択一つで、大きく自分の未来が変わる。ある意味、未来の自分が幸せになるのか、不幸せになるのか、左右してしまう権利を、現在の自分が握っているとも言える。

人生は何歳からでもやり直せる、なんて、私は嘘だと思います。

何歳になっても、新しいことをはじめられる。何歳からだって、夢を追いかけられる。何歳からでも遅くはない。いつからだって、大丈夫。
そういう言葉をよく聞きます。でも、本当にそうでしょうか?
たしかに、新しくやりたいことを見つけた、例えば今からでも小説家になりたいとか、画家になりたいとか、そういうことにチャレンジするのは良いと思いますし、何歳からスタートしても良い、というのはわかります。

でも、「何歳からでもはじめられる」ということが、イコール「何歳にやっても同じ」なのかというと、そうではないと私は思います。

だって、たとえば私が今これから、誰かと結婚するとしましょう。とても大金持ちで、私の生活費は彼が出してくれて、私は何不自由ない生活をできるようになって、天狼院をやめるとしましょう。
私はお金持ちな彼に飽きられないように、美容に時間を使ったり、子育てを一生懸命やったり、家事を完璧にするようになるとしましょう。
そういう生活を続けていて、それで、子供が成長し、手を離れてから、「さあ、自分の時間ができたから、私は今から小説家を目指そう!」と目標を決めたとしても、果たして、「人生は何歳からでもやり直せる」だなんて、言えるのでしょうか?

というか、そもそも、「やり直せる」っていう言い方が、なんだかピンときません。失礼だろ、と思います。これまでの人生を一緒にしてきた人たちに、自分の選択に関わってきた人たちに、そして何より、これまで一生懸命頑張ってきた過去の自分に、失礼だろ、と思います。とても。

だって、そうじゃないですか。常に、人生の指揮をとっているのは、私です。自分です。「この選択がベスト」と思って、自分が歩む道を決めている。なのに、「やり直す」という言葉が出てくるということは、その選択を後悔しているということになると思うんです。

いや、もちろん、のっぴきならない事情で一つの道しか選べなかった人もたくさんいると思います。家庭の事情等、色々あるでしょう。「死ぬほどやりたくないけど、諸々の事情を加味して、この道を選ぶしかない」という人が、ようやく自由になって、それで「これから人生やり直そう!」とエネルギッシュに動きはじめるというのなら、わかりますが、そうではなく、自分に選ぶ権利があったのに、にも関わらず「人生は何歳からでもやり直せる」って、なんか、違うよなあ、と思ってしまうのです。どうしても。

人生は、何があっても絶対にやり直せない、と思います。そう信じています。
そう信じた方が、楽だからです。

だって、今この瞬間は、今しかありません。25歳の冬の、大雪の日にこたつで記事を書いている私は、今しかありません。今この瞬間に何をするかで、もしかしたら、未来のすべてが変わるかもしれない。

怖いな、と思います。その瞬間、その瞬間の自分に、責任を持たないといけないんだな、と。

たとえ本当に何歳からでも新しい何かをスタートさせられるのだとしても、今、その選択をできる自分は、もう2度と帰ってこない。

未来の自分に、必要のない悲しみを味合わせないために。
過去の自分を、恨まないために。

何よりも、「今」現在、この瞬間を生きる自分しか、選択の権利を与えられていないんです。

生き急いでる、と言われてもいい。
何を必死になってんの、と言われてもいい。
いつからでもやり直せるなんて思って生きるには、人生は、面白すぎるから。

 

 

 

 

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*この記事は、人生を変える「ライティング・ゼミ《平日コース》」フィードバック担当でもあるライターの川代が書いたものです。
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❏ライタープロフィール
川代紗生(Kawashiro Saki)
東京都生まれ。早稲田大学卒。
天狼院書店 池袋駅前店店長。ライター。雑誌『READING LIFE』副編集長。WEB記事「国際教養学部という階級社会で生きるということ」をはじめ、大学時代からWEB天狼院書店で連載中のブログ「川代ノート」が人気を得る。天狼院書店スタッフとして働く傍ら、ブックライター・WEBライターとしても活動中。
メディア出演:雑誌『Hanako』/雑誌『日経おとなのOFF』/2017年1月、福岡天狼院店長時代にNHK Eテレ『人生デザインU-29』に、「書店店長・ライター」の主人公として出演。
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2018-01-22 | Posted in チーム天狼院, 川代ノート, 記事

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