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チーム天狼院

あざといとかいう言葉は滅びろ!モテるための行動が何もできなくなるだろうが!《川代ノート》


最近、不穏な空気がする。
不穏な空気が漂っている。非常に嫌な予感がする。
最近、モテるための努力が、とてもしにくくなってきているように思う。マジで。本当に。
これはまずいことになった。
一体これから私は、どうやって「モテ」に近づいていけばいいのだろうか。困ったものだ。

いや、まず、実名でこのような記事をネットにアップし、自分の元彼の話から離婚の話、さらには生理の話まで書いてSNSで拡散している時点で、そもそも「モテ」という土俵に上がることすら許されていないのは重々承知しているのだが、私も一応25歳の独身女性。世間一般的にはこれからが「華」だと言われる年齢である。これからモテ期が来るという話も耳にする。いくらあけっぴろげな記事を書いているからといって、「モテ」を諦める気には到底なれないのである。

私はもともと承認欲求がとてもとても強いタイプで、とにかくいかに人から好かれるか、いかにこの人は魅力があると思ってもらえるか、ということがすごく気になってしまう体質である。それは子供の頃からそうで、小学生の頃から「人気者」の研究をしていた。どうすればクラスの人気者になれるかということを日々、周りの人間に聞き込み調査したり、本や漫画を読んだりして研究していたのである。母親が持っていた『キャンディ♡キャンディ』を読み、漫画の中ではみんなの超人気者であるキャンディの行動や口癖を真似したりしていた。もちろん、それでモテることはなかったけれど。

世間のことをよくわかっていない小学生時代は、そのように堂々とモテ研究をしていたわけだが、中学、高校と進むにつれ、あまり「モテたい」と口にすると逆にモテなくなるのだと気がついた。だから、表には出ないように気をつけながら、ひっそりとモテ研究を続けていた。

それは大学生になり、就職してからも変わっていない。むしろ大人になると「仕事」などの要素も加わり、さらに「結婚」を視野に入れて「モテ」を考えなければならなくなって、「モテ」研究はより複雑化していった。まあ、面白いからそれでもいいのだけれど。

で、まあそのときそのときで大体こういう風に振る舞えばモテるのだな、とか、こういう人がモテるんだろうな今の時代は、とかいうことは徐々につかめるようになってきたのだが、最近一つ、問題がある。

そう、ある一つのにっくきワードが、私の「モテ」を大きく妨げているのである。

「あざとい」。

このワードを聞いたことがあるという人も、多いだろうと思う。最近になって、よく耳にするようになった。

どのメディアが発端で流行りだしたのかはわからないけれど、とにかく「あざとい」という言葉はこの1、2年で一気に広がっていると思う。ガッキーがバラエティ番組に出てモテ仕草をやれば「あざとい!」「これはあざといわ〜」と言われ、盛り上がる。なんだ。なんなんだこれは。アニメのキャラクターがファン受けを気にした行動を取れば、「これはあざとい」などと言われる。え!? どういうことなのと思う。「あざとい」ってなんなんだ、一体。

大辞林で調べてみると、こう出た。

 

あざと・い [3]
( 形 ) [文] ク あざと・し

抜け目がなく貪欲である。あくらつだ。 「 - ・い商法」

小りこうだ。思慮が浅い。 「愚人ばらが-・き方便(てだて)に討たれさせ給ひしは/浄瑠璃・神霊矢口渡」
[派生] -さ ( 名

 

要するに、もともとはモテとかそういうこととは関係なく、「したたか」とか「ずる賢い」とか、そんなニュアンスで使われる言葉のようだ。なるほど、奥が深い。しかし、今では「ぶりっ子」的な意味で使われるようになってきたみたいだ。

「あの子ってぶりっ子だよね」というセリフは、主に陰口として使われていた。
私が中学の頃、男受けを気にした行動をとっていた女の子は「あの子ぶりっ子だからな〜」と嫌がられる対象とされた。ボディタッチが多い。すぐに上目遣いとかする。裏表がある。そんなイメージだった。

もし「ぶりっ子」をして男からはモテたとしても、女からは邪険にされる。嫌われる。だから、あんまり「ぶりっ子」に当てはまる行動はしないほうが良い。逆に、「ぶりっ子」になることを避けた上で、どう行動すればいいのかを考えれば良い。そんな風に思っていた。なのに。

なのに、今度は、「ぶりっ子」よりも強烈なインパクトを残す言葉として、「あざとい」という言葉が出てきやがった!!!

恐ろしいのは、「あざとい」というのは「ぶりっ子」よりも非常に使いやすいという点である。
私の周りの人間でも、とても気軽に、日常的に使っているようだ。

うるうるした目で見つめる、誰かのことを思い切り褒める、甘える……。
こういった行動をとると、みんなわりと気軽に「うわ〜あざとい〜」などと言う。言ってしまう。
普通に誰かをいじる言葉として、あるいは定着しているのかもしれない。

「お前、それはぶりっ子だぞ」と面と向かっては言いづらいけれど、「お前、あざといな〜」だとわりと言いやすい。そんな汎用性の高い言葉が生まれてしまったのかもしれない。
「ぶりっ子」という言葉はかつて、悪口として使われていた。「あの子ってぶりっ子だよね」と言われてしまうことは、女社会においては非常にまずいことであり、いくら「男はぶりっ子な女がどうしても好きだ」と頭ではわかっていたとしても、ぶりっ子とは言われないようにモテを目指すのがベストだと思っていた。
しかし、「あざとい」という言葉に「ぶりっ子」的要素が吸収され、よりカジュアルに「あざとい」というワードが使われるようになったことにより、どうやら、「モテるための行動をすること」は、それほど悪い意味とは捉えられなくなってきたらしい。

男も女も「あざとい」という言葉を使う現代では、「うわ〜、ガッキーあざといな〜」という言葉は悪口ではなく、「うわっ! もともとかわいいガッキーがさらに可愛く見える! これはやばい! 自分のかわいさわかってる! すばらしい! もっとやれ!!!」という賞賛として使われるようになっているのである。

「モテたい」のカジュアル化。一般化。
あるいは、「承認欲求」の一般化と言ってもいいのかもしれない。

人が「モテたい」とか「人に好かれたい」と思うことは、ごくごく自然なことで、別にそう思っていることを恥ずかしいと思う必要はないという空気が、徐々に広がりつつあるのかもしれない。もしかすると。

人は、「周りから好かれたい」と主張することや、自分に承認欲求があると暴露することに対して、それほど高いハードルを感じなくなってきているのかもしれない。

 

いやー、困った。これは困りましたわ。

「あざとい」なんて言葉が生まれ、周りから好かれようと行動する人が増える。素直な人が増える。

困った。これはまずい。本当に困った。

これでは、可愛い子が、自分がもっともっと可愛く見えるような行動をすることに抵抗がなくなり、「可愛い」がどんどんインフレしてしまうのではないか!?

「可愛い子が可愛い行動をとる」という行動は「ぶりっ子」ではなく「あざとい」と認識され、賞賛されるべきものとして分類されることによって、モテる女はさらにモテるようになり、そして、さらにモテない女との差が広がってしまうのでは?

いやー、まずいですよこれは。これは困った。非常にまずい。
これでは逆に、モテるための行動、とりにくくなってしまったじゃないですか!
だって「あざとい」と言われるためには、もともと「かわいい」枠に入っている必要があって、「もっとやれ」と言ってもらえるポテンシャルを秘めている必要があるわけですよ。
ということは、もともと「あざとい」要素があんまりない女があざとい行動をすると、「いや、お前には求めてない」扱いされる可能性が高くなるわけですよ!
どうしてくれんのこれ! どうすんのこれええええ!!!

モテ研究も結構煮詰まってきたし、そろそろ自分も行動に移していいかなとか思ってたのに!
可愛いがインフレ化して、可愛い子が余計可愛くなったら、モテる子が余計モテるようになったら、こっちがモテる側に近づくルートが狭まってきちゃったじゃないの! 
やばいよ! どうすんのこれ! もう道ないよ! 他に残された道ないよ!? 行動とか仕草で差をつけられないとしたら、どこで差つければいいの!? 仕事!? 仕事頑張ってどうすんだよ! 余計にモテから遠ざかるよ! 
え!? そもそもこういうこと書いてる時点で終わり!? うるせー! わかってるよ! わかってますよ! こんなブログ書いてる時点で終わり! 知ってます! すいません! でもしょうがないじゃん! 書かずにいられないんだもん! ここだけが私を爆発させられる聖域なんだもん! 許して! 許してえええええ!!!!

あああ! もう嫌だ! 何だこれ! にくい! こんなに言葉に対してにくいと思ったのはじめてだよ! いい加減にして! いい加減にして! みんなモテようとしないで! 素直にならないで! いい時代にならないで! 女性が生きやすい時代にならないで! こっち側の人間は余計生きづらくなるんじゃぼけええええ!!!

ああ! もう嫌だ!
滅びろ! もう滅んじまえ!「あざとい」なんて言葉は滅びろ!
モテるための行動、何もできなくなるだろうがー!!! 
私が!!!

もー! まったくもー! 素敵な世の中になりやがってー!
私に都合の悪い世界、呪いあれー!!!

 

 

 

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*この記事は、人生を変える「ライティング・ゼミ《平日コース》」フィードバック担当でもあるライターの川代が書いたものです。
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❏ライタープロフィール
川代紗生(Kawashiro Saki)
東京都生まれ。早稲田大学卒。
天狼院書店 池袋駅前店店長。ライター。雑誌『READING LIFE』副編集長。WEB記事「国際教養学部という階級社会で生きるということ」をはじめ、大学時代からWEB天狼院書店で連載中のブログ「川代ノート」が人気を得る。天狼院書店スタッフとして働く傍ら、ブックライター・WEBライターとしても活動中。
メディア出演:雑誌『Hanako』/雑誌『日経おとなのOFF』/2017年1月、福岡天狼院店長時代にNHK Eテレ『人生デザインU-29』に、「書店店長・ライター」の主人公として出演。
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2018-01-25 | Posted in チーム天狼院, 川代ノート, 記事

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