チーム天狼院

運命の人がいるのなら


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:高野いづみ(チーム天狼院)
 
母と電話をしていたら、ふとドラマの話になった。
「ねぇ、あんた今やってる朝ドラのストーリーって知ってる?」
「へ?その時間起きてへんもん。今回全然知らんわ〜」
「なんかな、幼馴染の話らしいねんけど」
「ふうん?」
「同じ日に同じ病院で生まれた、女の子と男の子の話やねん」
「……まじで!?」
 
同じ日に同じ病院で生まれた男女の幼馴染が、
まだ物心つかない頃から兄妹のように一緒に育ち、
小学校に一緒に通い毎日放課後に遊び、中学に上がって思春期になるとすれ違って、高校になるとお互いの進路が気になって、お互いが恋をする中でよき相談相手になりやっぱり一番近くて一番大切な存在だからやっぱりこの人が運命の人なんだ……! と幸せな結婚をする。
どの作品ともわからないけどどこでも聞いたことのありそうな王道ストーリー。
その朝ドラは現在進行系なのでどんなストーリーを辿るのか私は知らないけれど、あらすじだけ聞くと「ベタだなー」と思いこそすれ違和感を感じる人はあまりいないだろう。
 
私が驚いた声を上げたのにはわけがある。
 
いるのだ。
同じ日に同じ病院で生まれ同じ町内で育った異性の幼馴染が。
私は今23歳で、すでにもう23年の付き合いになる。
 
早速、その彼に連絡してみた。
「今の朝ドラのあらすじ知ってる?」と訊くと、「今テレビないから知らん」と返ってきた。あらすじを伝えると「たぶん、俺らがモデルになってるんやんな?笑」と返ってきた。
 
そんな彼は、私の運命の人なのだろうか。
 
私たちが生まれた病院は、初めての沐浴は他のお母さんが入れる方針だったらしい。彼を初めてお風呂に入れたのは私の母だった。
 
小さいころは毎日のように遊び、彼の家でぬいぐるみのお医者さんごっこをしてた。うちの父が二人ともまとめて公園へ連れて行ってくれた。何気ないホームビデオには、結構な頻度私と、弟と、彼が写っている。
 
小学生に上がると、登校班が同じだったので毎日集まって登下校をした。夏休みは毎日彼の家でカルピスのかき氷を食べた。彼の習い事のスケジュールは覚えていたし、彼の妹が生まれたとき、まだ生まれたての小さな赤ちゃんを抱っこさせてもらえた和室の情景は未だに覚えている。
 
中学校は、お互いに受験をして地元ではない学校に進学した。学校はバラバラになり、中学と高校時代の彼についてはほとんどなにも知らない。でも、二人揃って、二つ隣の市の、中高一貫校に進学した。隣の学校だった。
 
大学に進学するとき、彼は付属校だったので内部進学だった。私は、公立校だったので大学受験をして、盛大に失敗した。どうしても進みたかった道と、自分に対する自信のなさと、その先の可能性を悩みに悩んで、家から一番近い私立大学に進学を決めた。
同じ大学の同じ学部、学科に彼がいた。
 
同じ学部にはいるものの、私と彼の行動領域はまるで違ったので大学内で会うことはほぼなかった。学年は800人いるのでまぁおかしくはないのだが、それにしても共通の友人もほとんどいなかった。私が卒業を1年伸ばすことを決めたところで、ついに足並みがずれるかなと「そういや就職どうするん?」と訊いてみた。そういえば彼は途中で1年休学をして海外に行っており、私より先に1年卒業がずれていた。
 
そんな活動領域がまったく違うと思っていた彼は、さすがに2年ずらすことはなく卒業していったが、現在自分のビジネスモデルを形にしようと奮闘している。
……ん? それは、スタートアップ界隈で学生時代を過ごしてきた私の領域なのでは?? と不可思議な気持ちになりながら、お互いのプランに対して意見交換をするのはとても楽しく盛り上がった。
 
これが、私たちの物語。
私が私の友達だったら、「それは、もう絶対運命の人やん!」と言うだろう。
お互いの人生がくっつきすぎることなく、でも幾度となくリンクする。列挙するとなんだかストーカーかのように見えてくるが、お互いの進路選択において相手に合わせたなんてことは決してない。いや、本当に。
不思議な縁だなぁと思う。
 
ただ、彼を私の「運命の人」とするにはどうにも解せない点がある。
「運命の人」と語られるような、王道ストーリーで語られるような甘酸っぱい関係ではないのだ!
幼馴染王道ストーリーの少女漫画を読むたび、私は首を傾げていた。「あれ?こんな展開起こらないよ??」と。
最近集まるともっぱらの話題は「結婚できない気しかしない」になるほどの歳になったが、「そうは言っても結婚式呼んでよ?」とはなるけど「じゃあ私たち結婚しましょう」とはならないのだ。当たり前やけど。
 
白状しよう。
私の初恋は彼……と当時幼い私は言いふらしていた。3歳くらいの頃の話である。まだ保育園に行っていなかった私の周りの男の子は、ほとんど彼一人だった。 対して彼は幼稚園に通いだしていて周りに可愛い女の子も複数いたので、「すき!」と言う私に「うーん……」と渋い反応をしていたらしい。 それを目撃した私の父が「いづみの何が不満やねん!!」と3歳児に対して怒っていた。
 
それから、20年。
いつのまにやら甘酸っぱい関係なんて想像もつかなくなってしまった。誕生日が来れば思い出すので存在を忘れることはないにしろ、めったに連絡はとらないしそもそも恋愛対象に上がることがない。たぶん、お互いに。
このまま付き合って結婚なんてしちゃったら話が早いのに、と思わなくもないけれどそれは話が早いだけで幸せとは限らない。
第一、家族からも町内からも注目された末の結婚がもしうまくいかなかったら、冷静に恐ろしいことになる。
 
ということで、恋愛、結婚における「運命の人」では彼はきっとないと思う。
 
だけど、
同じ日数生きてきた比較対象がいること。
何年経っても素の自分で思い出話ができること。
私たちの成長をまとめて喜んでくれる家族がいること。
彼はきっと、私の人生を所々で支えてくれる運命の人なのだろう。
 
事実は小説より奇なりという。 私たちのこの繋がりが、どんなストーリーとなっていくのか、 私たち自身も楽しみである。
 
***

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