チーム天狼院

人生最後の日に、あなたと出会いたい


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:徳竹のどか(チーム天狼院)
 
平成最後の夏がやってくるというに、一緒にステキな思い出をつくってくれる彼氏がいない。
あの子の隣には花火大会で「離れるといけないから」って手をつないでくれる彼氏がいるけれど、わたしの隣には誰もいない。わたしに唯一ときめきをくれるのは、手の届かないアイドルだけだ。
 
今まで彼氏なんていたことがないから急にできるわけがないのに、平成最後と騒いでいる日本中に、わたしだけが、わたしの青春だけが取り残されているような気持ちになる。
もう、青春というのはおこがましい年齢かもしれないけれど。
 
「最後だから」という解放感はあるのに、何をしたらいいのかわからない。
結局好きな人がいない、出会いがないと言って、今年の夏もいつものように終わっていくのだ。
 
 
彼氏がいる友達の話を聞くたびに、「彼氏ができたら、どんな毎日になるんだろう」と想像せずにはいられない。
 
何気ないLINEがきただけで嬉しかったり、隣を歩く彼の横顔を盗み見て、幸せな気持ちになったりするんだろうか。
目があうたびにふわふわした気持ちになって、彼とならどこへでもいけそうなんて夢見心地で過ごしていたら、些細なことで喧嘩して。
でもその後、一緒においしいラーメンを食べに行ったら、彼の手が、箸の持ち方が綺麗で、きっと見惚れてしまうのだ。
それでやっぱり好きだな、なんて思ったり。
 
そんなふうに幸せな日が続くんだろうか。
 
もう成人して1年が経ったのに、彼氏いない歴イコール年齢なのに、まだ現実が見られなくて、少女漫画のような運命の出会いや恋に、憧れを捨てられずにいる。
 
いつか王子様が現れるはず。いつか。必ず。
そう夢見て生きてきた。
 
でもわたしはその王子様と結婚するつもりはない。
 
「彼氏がいる」ということに憧れはあっても、「結婚」への憧れは少しもなく、一生独身で気ままに生きると決めている。
 
最近はフォローしていなくても、Twitterで旦那への愚痴や育児の大変さを嘆くツイートがわたしのタイムラインに流れてくるようになった。
きっと我慢してきたものが抑えきれなくなったからつぶやいたら、拡散されてしまっただけなのだと思う。でも、明らかに幸せなツイートより辛いというツイートの方が多い。
そんな辛い思いをしてまで、結婚したくない。
 
「あ、結婚してもいいかもしれない」と思った時は、Yahoo!知恵袋で、嫁姑問題の投稿を漁ることにしている。
「出産直後は来ないでほしいと言ったら、孫を見せないつもりかと揉めた」「体調が悪い時に旦那が義母に連絡して家に来られた」など、読んでいると空気の読めない旦那と、気の使えない姑にだんだんイライラして、「やっぱり結婚したくない」と思う。
 
ただでさえ、他人と一生を共にすると考えただけで嫌になるのに、そこに子どもや親戚などの人間関係に、生きていくためのお金などを考えなくてはならないなんて、耐えられない。
 
 
だから、彼氏ができたばかりの、楽しい時だけ味わいたい。
たった1日でも、彼氏ができたら満足。恋人同士の楽しい時間と女としての経験ができればそれでいい。
 
「そんなこと考えているから、彼氏ができないんだよ」と同性の先輩に言われたけれど、まったくその通りだと思う。
わたしが男だったら、こんな先の見えない女とは付き合いたくない。
 
もし、運命の王子様がいるのなら、わたしは人生最後の日に、あなたと出会いたい。
1日だけの恋をして、幸福感に包まれて、この世を去りたい。
 
それがたとえ一瞬の恋だとしても、誰がわたしの気持ちを否定できるだろう?
このまま死ぬ間際まで彼氏ができないとしても、最後の日にわたしが幸せならそれでいい。
 
きっと王子様はしばらく迎えに来ない。
 
***

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