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メディアグランプリ

今宵もパブのオヤジのように

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:寺松一寿(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「組織の立て直しがうまい」と最近言われるようになった。
 
無自覚だっただけにキョトンとしてしまうが、よくよく考えると、そうかもしれない、と思う自分がいる。
リサイクル業界に務める職業癖からか、皆が一度手放したものに魂を与えることが知らず知らずのうちに身についている、と勝手にこじつけてみた。
 
真面目に分析すると、本質は何なのか、それを見極めて展開する事に長けてきたのだと思う。いつも本質からその組織が為すべきこと、やるべきことを考えている。そんなヘンテコな癖が身に付いて色んなところに首を突っ込み続ければ自ずと人生経験も豊かになる。
 
不思議なもので、相談されるケースには、磨けば光るダイヤの原石が少なくない。
本来の魅力に惑わされ、リスクを取ってもトライしたくなるは私の悪い癖だ。
 
質は良いのに燻ってしまう理由は様々だが、絡み合った事案ほど原点に返って考える。
組織の本質、属性、規模、構成、そして過去の歩みなど組織の情報を眺め、頭の中で問題点を抽出する。
組織を回すにはどういう手法が適切か思考を巡らせ、そのプランの実現可能性を検討する。
 
たまにはから誰の手垢もついていないピカピカの案件を取り組んでみたいと思うが燻った原石を立て直す魅力も抗しがたいものがある。
 
3年前、まさに火中の栗となっていた、MBA同窓会の代表就任を依頼された。
皆が手を焼いていた集団の舵取りをどうするか。
これは組織の立て直しを引き受ける心構えのお話です(偉そうにスミマセン)
 
私が通ったMBAは地元に根付いた夜間の大学院だった。
エリート然としたところがない、泥臭い場が私は大好きだった。
 
社会で何かを為そうとした時に、同じ共通体験を持った同窓がいる意義は大きい。
 
多様なバックグランドを持った修了生があらゆる分野、職種に散らばっているのだから、同じ共通言語を持つ同窓であれば、少なくとも話は聞いてくれる、そんな素地を作ろうと考えた。
 
きっと誰もが考える思考だ。問題はどう組織をマネジメントしていくかだ。
優秀な層も多いが、故に組織として纏めるのが難しくなることは想像に難くない。
人としての力量が問われるからだ。
 
当初はお手並み拝見といった雰囲気が漂う。これはどこの組織でもあることだろう。
語りたい理想をグッと我慢して、最初は結果を出すことに注力した。
話を聞いてもらうには、まずは皆さんの代表として認めて貰う必要がある。
面倒臭いが、これが大人のお作法だという事は経験で知っていた。
 
初年度は事業の数を徹底的に絞りこんだ。
あれこれと戦線を広げて各個撃破の憂き目を避ける。
やるべき事を絞り込み、戦力の全てを注ぎ、一点突破を図る。
追い込まれた組織を蘇らせる為に選択した方法論だ。
 
1年も経たずに事態は好転する。方針が明確であれば成果は出てくるものだ。
結果が出始めると、周りの顔も徐々に明るくなっていくのが分かる。
 
総会を迎え、2年目の事業計画を発表する。
底が抜けたバケツで水汲みをさせられることほど辛いことはない。
そんなときに何を語っても聞いてくれるはずがない。
底を塞ぎ未来を見通すことが出来たと思えた時に初めて私の理想を叫んだ。
 
母校は港であり、同窓会は港にあるパブの様なものだ、と声を張った。
お酒も飲めるが、大海原を航海する我々にとって頼りになる仲間や確かな情報と出会える場所にしたい。
不確実な時代、信頼できるものと出会えることは前向きに進む大きな力になるし、その重要性は益々高まっているように感じる。
だから、この組織を大事にして、我々の拠り所として育てていこうと訴えた。
 
私はさながらパブのオヤジの様なものだ。
仲間とともにお店を切り盛りする。
皆の居心地が良いように振る舞う。
居丈高にならず、皆の愚痴を聞き、喧嘩の仲裁もする。
等身大の会員の一人として真正面から皆と向き合う。
自分自身の問題として、覚悟を持って、言い難いことも提起する。
 
人には心がある。
コンピュータの様に、プログラム通りに動かない。
ロジカル的な正しさも大事だが、好きか嫌いかの感情論で決めていることも意外と多い。
上から目線ではなく、でも決して下から媚びへつらう訳でもなく、同じ目線で、逃げずに対峙していく。
 
過小評価されている組織に魂を与えることが出来れば戻りも大きい。
 
丸3年の歳月が経った今年。
MBAの同窓会組織として、日本で初めて一般社団法人格を取得することが出来た。
独立した法人として事務局を設け、母校である大学院と連携しながら活動を行う。
誰もが成し遂げたことがない新しい領域で仲間と共に旅を続ける。
 
地力を秘めながらも機能不全に陥っている組織は多い。
大事なものであれば、思い切って時間と情熱を投資してみるのも悪くない。
 
陽気な店主になったつもりで、仲間と共にお店を磨き上げる。
自ら魂を注いだバックグランドを一つでも持つことができれば、人生は一段と楽しくなる。
 
一緒に学び、闘った仲間は一生の宝物だ。世の中を一緒に創れると信じている。
 
志は高く姿勢は低く、世界が少しでも良くなることを信じて、今宵もパブのオヤジになる。
さすれば、そのうち「組織の立て直しがうまい」と言われるはずだ。
 
 
 
 
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2019-11-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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