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メディアグランプリ

鎌倉にある踏切が外国人の観光地になっていた


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:福田大輔(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
スラムダンクという作品を知っていますか?
 
若い人だと名前ぐらいは聞いたことある程度かもしれない。30代40代で漫画が好きだった人ならほとんどの人が読んでいた人気漫画で、累計1億2000万部を売り上げている。
アニメ化もされていて、漫画は読んでいなくてもアニメを観ていて知っている人もたくさんいる。アニメで使われていたオープニングやエンディングの音楽もヒット曲が多数ある。そして、バスケ部だったら間違いなく読んでいた作品だ。
さらに日本だけじゃなくスペイン・中国・韓国・台湾でも人気がある。
 
そんなスラムダンクのアニメのオープニングとエンディングを自分達を登場人物にして実写で再現する動画を作ったことがあった。
 
事の始まりは社会人バスケチームに所属しているチームメイトが結婚をすることだった。
結婚式で、我々のチームか大学のサークルメンバーに余興をお願いしようと思っているんだけど、どう? と声を掛けられた。
返事は「むしろやらせてもらおう」だった。
そう、全力でふざけられる機会を逃すわけにはいかないからだ。
 
いくつかのサミットを繰り返して決めたのはスラムダンクのアニメのオープニングとエンディングを実写で再現しようだった。
 
結婚するチームメイトの奥さんもバスケ部だったので、式に来る人のバスケ関わり率が高いから絶対にウケるはずと確信していた。
 
動画を作るための撮影を何度か実行し、次のロケの目的地は鎌倉高校前駅だった。藤沢駅から江ノ島駅を結ぶ江ノ島電鉄線にある海岸沿いの駅だ。アニメのオープニングにはこの駅を降りてすぐ近くの踏切が映るシーンがある。そのシーンを再現するために踏切へチームメイトの男6人で出掛けた。
 
今回の撮影に登場するのは2人。主人公である赤い髪をしている桜木花道役と、ヒロインである晴子さん(赤木晴子)役。
撮影のために小道具として赤い髪のカツラと女子高生の制服と長い髪のカツラも用意していった。
 
当日、江ノ島電鉄の始発である藤沢駅から電車内は既に混み合っていた。江ノ島や鎌倉といった有数の観光地に行くためだろう。江ノ島電鉄は単線でローカルな雰囲気を楽しめる電車だ。街の中を縫うように走っていくとやがて海が見えてくる。目的地の鎌倉高校前駅はホームから海が見える小さな駅だ。
 
電車はやがて鎌倉高校前駅に到着した。改札を抜けて線路沿いの小道を歩くとすぐ踏切に着いた。その踏切の遮断機の先には海と空が一体となった、太陽の光が反射したキラキラした景色が広がっている。
 
あれ? 人がいっぱいいる。
 
スラムダンクの連載は終了して20年近く経過している。今でも語り継がれる大人気漫画ではあるが、ブームはとっくに終わっている。特に観光地でもないこの駅は人がいなくて撮影もしやすいだろうと想定していた。
 
ところがその踏切には30人以上の人で溢れていた。
何で?? と思ったがさすが人気作品、まだまだ熱心なファンがいるのだなあと……。そうじゃない!
ここにいる人々は誰も日本語を話していない。おそらく台湾と中国のような気がする。
 
海外からこれだけの人が集まっているのか?!
 
色々と想定外で呆気にとられてしまったが、とにかく撮影をしないといけない。
 
撮影は踏み切りを電車が通過したら開始だ。
電車が通過して踏み切りの遮断機が上がったら晴子さん役が手を振る、それに気付いた桜木花道役が右手を上げるというシーンを撮りたい。
 
踏み切りに車がいないときに鎌倉高校前駅に電車が止まったのでスタンバイ開始。やがて電車が踏み切りを通過した。踏切の音が鳴り止み遮断機が上がって晴子さん役が手を振り、応じるように桜木花道役が右手を上げた。
 
よし! 撮影が無事に出来たと思ったその瞬間に
 
パチパチパチパチパチ
 
さすがに驚いた。
だってここにいるたくさんの人から拍手が起こっている。
 
彼らは我々が何をしているのか、何を再現しようとしているのかをしっかり理解している。絶対に同じシーンを頭の中に思い浮かべていると確信できる。そしてちゃんと撮れるかなあっという同じ気持ちで我々を見守って達成感を分かち合ってくれた。
 
その後、握手を求められたり写真を一緒に撮ったりした。スラムダンクを愛している者同士で一気に壁を超えて交流が生まれていた。
 
同時に何だか申し訳なくなってもきた。ふなっしーみたいなフォルムをした男に赤い髪のカツラを被せた桜木花道。がたいのいい男に女子高生の制服と長い髪のカツラを着せただけの晴子さん。コスプレのクオリティが色々低いな……。
 
一通り撮影が終わってここに来ている人たちを改めて見てみると、とにかくみんな楽しそうだ。
風景の写真を撮る、自撮りをする、立つポイントを色々変えたり、スマホで見比べたりと思い思い楽しんでいる。
 
そして日本人はおそらく我々だけだった。彼らからしたら、日本でもまだ熱心なファンがいることを実感させた存在だったろうか。
 
ここに来ている人々はスラムダンクへの愛ゆえに国境を超えてこの踏切までやって来ている。すごいぞスラムダンク。
 
観光地化されているわけではない鎌倉の踏切へ海外から足を運んでくれている。お金と時間を費やして。小さな町の日常的な風景が、彼らにはスラムダンクにある世界を現実で追体験出来る特別な場所になっている。
 
圧倒的なコンテンツ力は、何でもない場所を観光地にさえ変えてしまう力があることを体感した出来事だった。
 
そして、あの踏切に一緒にいた人たちは
「あのとき、残念なコスプレで撮影していた日本人がいたよね(笑)」
そんな思い出話をきっとしてくれているはずだ。
 
 
 
 
***
 
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2020-08-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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