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「変」とは最大限の褒め言葉

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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:おひさ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
女の子は赤、男の子は黒。
さて、それは何でしょう?
 
正解は「小学生のランドセル」である。しかし私のランドセルはピンク色だった。
 
入学式を迎える6歳の私は、ピンク色がとても好きだった。何故そんなに好きだったのか覚えてないが、おそらく可愛らしいお姫様カラー=ピンクという認識があったのだろう。身の回りのモノは全てピンク色で揃えていた。だからどうしてもピンク色のランドセルがほしかった。
 
私が入学式を迎える90年代はまだランドセルは赤と黒が多かった。6歳の誕生日を迎えた私は両親と祖父母とランドセルを買いに行った。当然赤いランドセルを見せられどれが良いか聞かれた。「何でも好きなのでいいよ」といてくれた祖父母に感謝しかない。しかし当時の私は空気を読むということを知らなかった。
 
「ピンクがいい」
 
そう言った私にみんな唖然としていた。当然その売り場にはピンク色のランドセルはなかった。赤いランドセルがどれほど素晴らしいかをプレゼンする両親。一度決めたことは意地でも曲げない頑固者の私。どうしたものかと困り果てる祖父母。ちょっとした喧嘩になってしまった。
 
「赤色にしなさい」
半ば強制的に赤いランドセルを買おうとする両親に向かって、これでもかというほど大声で泣いてやった。普段から活発で大きい声で返事すること褒められる私が泣くのだ。一気にその場は修羅場となってしまった。
 
「無理矢理赤いランドセルを買ったとしても、こいつはランドセルを背負って学校行かんやろう」
 
よくわかっている母親。そう私は先程も言ったが、頑固者でこだわりが強いめんどくさい人間。私を説得することを諦めた両親とピンク色のランドセルを探すドライブが始まった。朝から出かけたのに帰る頃には空が赤くなっていた。大人達は帰る頃には終始無言だった。結局見つかったのは理想のピンク色ではなく、赤に近いピンク色のランドセルだったが、それでも私は手に入ってウキウキしていた。
 
ピンク色のランドセルを背負って登校した私は一気に目立った。「ピンクなんだー!」「可愛いね! 」など言ってくれるので私は鼻高々だった。
 
同じようにクラスに色が違うランドセルを背負っている子がいた。ランドセルは薄茶色でデザインも可愛いくて、上品なお姫様っぽくていいなと思った。しかしその女の子はいつもシュンんとしてうつむいていた。登校してくる度に教科をすばやく出してランドセルを教室後ろのロッカーにしまっていた。私なんて見せびらかしたいがために、ゆっくり教科書を出して、ギリギリまで机の上に置いていたのに。
 
「自分のランドセルの色、変や言われるから嫌やねん……」
 
仲良くなった時、それとなく聞いてみて私は驚いた。「薄茶色のランドセルというだけで、そんなに変と言われるんか」と思った。具体的に何と言われるのか聞いてみた。
 
「『薄茶色なんや〜(笑)』とか、『色、変やない?』って言われるねん」
「……ん?!」
 
どこかで聞いたことのあるセリフだと思った。少し考え、私も実際同じことを言われていたのに気づいた。「色が変だ」と確かに言われた事はあったが、自分が欲しかった色を買ってもらえなかったから、羨ましいんだろうと勝手に解釈していたからだ。
 
親が「どうしても赤にしろ」と言った理由がわかった。みんなと違うというだけで、イジメられてしまうという事を心配してくれていたのだ。母親の心配はよそに、何事もなく6年間ピンク色のランドセルを背負い小学校生活を終えることが出来た。
 
ある日の買い物帰り、小学校の前を通ると小学1年生くらいの子達を見かけた。女の子は赤、男の子は黒のランドセルを背負っている子は多い。
 
「未だに赤は女の子、黒は男の子というのがあるのか……」
 
未だにみんな同じことが良いとされているのかと思うと少しガッカリした。「ランドセルじゃ無くてもオシャレなリュックサックでも良いのでは?」とさえ思う。
 
しかしそこは日本の伝統的なものもあるのかもしれない。ジェンダー的な問題は日本はまだまだだと思う。親の心配もあるのかもしれない。だが個性を徐々に認められる時代になったからこそ、ランドセルが様々なデザインや色ができ選択肢が増えてよかったと思う。
 
「みんな違ってみんな良い」
 
十人十色とあるがまさしくその通りだと思う。みんなが違うランドセルを持っているのならば、私の同級生のように「変」と言われて傷つく子はいなくなるだろうと思う。
 
私の学生時代からはみんなと違うことが恥ずかしいと思う子は前よりは減ったかもしれない。それでも「みんな同じことが良いことだ」という考え方はまだまだあると思う。堂々と「好きなものを好き」と主張でき自分が「変」なことが評価してもらえる学校が多くなれば、イジメとかは減るのではないかと思う。
 
 
 
 
***

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2021-01-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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