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大切な人に愛を伝えるのに言葉より有効なこと


  

*この記事は、「ライティング・ゼミ」を受講したスタッフが書いたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:後藤美由紀(チーム天狼院)

 
 

医師より母はもう長くないと伝えられ、個室に移動してから家族が面会できるようになった。今母の隣りで寝顔を見ながら書いている。

 

緊急搬送の知らせを聞いて来たときは意識がなかった。ゆすっても大声で話しかけても一度も目を覚まさなかった。
その後二本の点滴を入れるが、静脈がボロボロになり一本の点滴しか入らなくなった。もう一本も漏れ出して危なかったが、看護師さんが機転を利かせて新しい太い静脈に差し替えてくれた。

 

個室に移れてからは妹と24時間交代で部屋にいる。その後酸素濃度が下がったり、痰がからんだり、何度も山があった。

 

母に会えたときは喜び爆発で何度も何度も「お母さん大好き」と伝えた。それから4日目、母の意識は徐々に回復し、手だけでなく足も動かせるようになった。常にだれかが隣にいて、個室の中に家族写真を置いて目が覚めたらいつでも見れるようにした。
 

私は介護福祉士をしているので、何度も看取りを体験している。その中でもう何も医療処置が出来ない方にマッサージをしている。
これは本当におすすめなのだ。ハンドマッサージのやり方は今の時代、動画を検索すればすぐに出てくる。私も通信でDVDを見ながら学んだにわか資格ではあるが、それがあるから大手を振ってマッサージが出来る。

 

マッサージをするとリラックス効果で眉間のしわが薄くなる。呼吸が安定し気持ちよさで表情が変わる。
むくみも軽減し、カサカサの皮膚がしっとりする。ひざ下、ハンド、顔、頭のヘッドスパでフルコースが終わる頃には冷えていた全身の巡りが良くなりポカポカになる。

 

妹にもやり方を見せて互いの体で練習して教えた。気持ちよすぎて終わるとすぐに病室の簡易ベッドでゴロリと横になり、寝てしまった位、最高であった。それからは、母が眠っている間は手を握る、マッサージするがルーティンになった。母の眠っている時間が長かったので、手持ち無沙汰にならずにも済んだ。

 

職場でも、もう長くありませんと主治医に宣言された寝たきりのおばあさんに、寝ながら死を待つだけの状況だけれども、マッサージは出来るので、毎朝お顔と足もみを続けていたことがある。顔マッサージをすると、えもいわれぬ夢心地のお顔になるので、それがうれしかった。いつも声掛けはしていたけれど、肌のぬくもりを通して感じる力は偉大だな、と思っていた。
その方は「もう長くない」と言われてから一年も生きて、亡くなる二日前に娘さんが面会に来られると、娘さんのお声掛けに満面の笑顔になった。一年のマッサージ効果で表情筋はすっかり鍛えられ、余分なむくみも肌のくすみもなくツヤツヤで、キラキラ輝いていてその美しさに驚嘆した。亡くなる直前には全身温かいタオルで拭いて、ハーブオイルを薄く塗ることもできた。悲しいお別れだったが、やれることはやり切った。という清々しさが残ったことを覚えている。

 

今回、母の面会の初日は、ただひたすらに会いたかった母に会える嬉しさで、視界に母の顔だけしか入れたくなくて、ずっと手を握りながら見つめていた。「愛してる。大好き」と声をかけまくった。
三ヵ月ぶりに会う母の体重は27キロまで落ちて、あばら骨は浮いて、ふっくらしていた頬は落ちくぼみ、別人のようになっていた。それでもひたすらに生きようとしている。

 

母にマッサージを始めて二日目にそれまで動かなかった足が動くようになった。意識レベルは格段に上がり、目の焦点が合って、こちらの言葉は殆ど聞いていて、唇を動かして返事をしてくれるまでになった。もともと色白できめの細かい肌だったので、足のかかとなどはスベスベになり、私よりずっと美しい。リハビリの先生にもふくらはぎは第二の心臓と言われるくらいなので、優しく揉んであげて下さいと言われた。

 

三日目に主人からの電話に出て「早く元気になって、お寿司を一緒に食べましょう!」の声掛けに「嬉しい。楽しみにしています」と答えた母。面会に来た高3の孫に彼女が出来たと聞いて大きく目を見開いた母。

 

希望を失わず、懸命に生きているのだ。娘として出来るすべてを注ぎたい。意識はなくても耳は聞こえている。そして、手から伝わるぬくもりと安心は時に言葉を超える力になる。夜中に血中酸素が下がった時も、辛い痰の吸引のときも母の手をぎゅっと握って「頑張って、大丈夫だからね」と声をかけ続けて持ちこたえた。

 

小さいころ胃腸の弱かった私は、お腹が痛くなるとお母さんがいつもお腹をさすってくれた。そのぬくもりと安心感は今も覚えている。

 

あなたの触れる手から愛が流れていく。母に面会してからまだ泣かずにすんでいる。今まだ生きているから。そして肌に触れたらまだ温かいから。

 

あなたの大切な人が近くにいるのなら、今日、愛をこめて触れてみましょう。思春期で反抗期のお子さんだったら寝ているときにそっと頭をなでてあげましょう。
お父さんの肩を叩いてあげたり、赤ちゃんの頭をなでたり、抱っこしてあげましょう。私たちの手は愛の伝達ツールとして最強なのだから。

 

ちなみに母のおすすめは首より頭、頭より顔のマッサージが気持ちいいとのことです。

 
 
 
 

  

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2021-03-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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