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炊飯の文字を見つけたらラッキー


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:濱田 英樹(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「ねえ、ちょっと来てくれない?」
ある日の日曜日の午前中、私はソファに座ってテレビを見ていると、キッチンから妻の呼ぶ声がしました。
私は返事をして、ゆっくり腰をあげキッチンに行くと、作業服に身を包んだ高齢の男性が一緒に立っていました。その日はガス点検の日でした。彼はガスの検査員で、一通り点検を終え、異常なしという事で妻が作業確認のサインを終えたところでした。
「ちょっと聞いてほしいんだけど」
と妻が言うと、
「ご主人、ちょっとだけお話よろしいですか」
と、その検査員に切り出されました。
彼は少し、前のめりでうずうずしているような感じでした。
「? なんでしょう?」
「ご主人、これ知ってますか?」
検査員が指さしたのは、ビルトインキッチンの三口コンロの一番左側のスイッチ。
「?? なんででしょう??」
私の察しの悪さはすでに織り込み済みかのように、彼はもう一度それを指さしました。
良く見ると、そこには「炊飯」と書かれていました。
 
「ご主人、これで米炊いたことないんでしょう?……いやぁ、折角のいいコンロなのにホントもったいない……人生損してますよ!」
 
え、人生損してる? たかがコンロでそこまで言っちゃうのか!?
と思いつつも、そこまで言われたら気にならないわけがありません。
私も妻も、コンロなんてスイッチ入れて火力を調整して、煮る、焼く事はありますが、炊くという使い道を考えたことなんてありませんでした。また、そもそも我が家には炊飯器があるのです。
検査員が去った後、私たちは、興味本位で半信半疑ながら言われた通りにコンロでお米を炊いてみることにしました。
一旦、電気炊飯器のお釜にいつものお米と水を入れ、それをそのまま鍋に移し替え、ガラス製の蓋をしました。そして、ガスのスイッチを入れ、炊飯のボタンを押す。それだけです。
5分もすると、鍋の中はぐつぐつと煮え始め、ブクブクと泡が立ち始めてきました。
湯気交じりの泡はその後もブクブクと膨張し、ついには、蓋を押し上げ始め、鍋の外側にジュージューと音を立てながら吹きこぼれ始めました。
ああっ! しかしこれ、このままで本当に大丈夫なのか? と思ったその瞬間。
コンロが自動で火力を調整して火の勢いが弱まり吹きこぼれなくなったのです。
すごい。我が家のコンロにこんな賢い機能があったとは……。
お米は、ものの15分程で炊き上がりました。
それから5分程蒸らして蓋を開けてみると、ふわりと湯気が立ち、お米の香りがしました。
まぁ、ここまでは電気炊飯器とそう変わらないのですが、しゃもじで少しかき回してみると、粒がいつもよりしっかりしていてつややかです。
茶碗によそって食べてみると、私たちは、顔を見合わせ驚きました。一粒一粒立っていてもっちりしていて甘くておいしいのです!確実に電気炊飯器よりもおいしいのです。なんなんだ、これは!?
 
米は電気炊飯器で炊くもの。どの家庭でもきっとそれが当り前でしょう。。
私もおそらく家庭では、電気炊飯器以外で炊いた白いお米を食べたことが無かったと思います。当時、我が家では美味しいと評判だった圧力IHの電気炊飯器を使っていました。我が家で食べるお米に特に疑問も不満があったわけではなく、むしろ買い替えて美味しくなったと喜んでいました。少なくともこのガスコンロで炊くまでは。
 
お米は一般的に高温で炊くほど、お米の中のデンプンの糖化が促され美味しくなるといわれています。そのため、電気炊飯器はいろいろな種類のものが発売されており、下は1万円程度、上は電機メーカーが威信をかけて開発した10万円を超えるような高級機も存在します。これらの中で最も重要な性能はずばり火力です。
 
一般的な炊飯器は100℃
我が家にある圧力IH炊飯器の最高温度は、約105℃
最新の高級炊飯器では、250℃を超えるそうです。
 
しかし、しかしガスは、それを遥かに上回る最高1200℃の高温で炊き上げるのです!
はっきり言って、次元が違いすぎます。
 
彼はガス点検の傍ら、ガス炊飯の素晴らしさを伝えるのがステイタスだったのではないでしょうか。なぜ、これほどの性能を持ったコンロがもっと知られていないのか、私には疑問でなりません。
 
とにかくガス炊飯のお米、最高です!
もしあなたの家にコンロがあるならば、是非確認してみてください。
炊飯の文字を見つけたあなたはラッキーです!
その日から毎日極上のお米が食べられます!
保温? 問題ありません。だって、炊飯器があるじゃないですか!
 
さて、食事を終え、先程食べたお米の味を反芻しながら片づけをしていくと、ある一つの問題にぶつかりました。それは、鍋の吹きこぼれです。
お米は文句なしに美味しいのですが、コンロ周りはやや悲惨な状況になっています。
吹きこぼれた白い煮汁は鍋の外側にこびりつき、一部は五徳やコンロ本体まで垂れ固まってこびりついています。お鍋の蓋も、白い煮汁でベッタベタです。
お米はとても美味しいのですが、さすがに毎回これらを掃除するのは大変です。これは嫌だなぁと思いながら鍋を洗い、ガスレンジの吹きこぼれを拭きながら、私は先程の検査員の言葉を思い出しました。
実は検査員の男性は、もう一つ教えてくれたことがありました。
 
それは、ガス炊飯専用のすごい鍋があるって事です。
 
 
 
 
***
 
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